EURO BBA LEAGUE 2019 Winter レポート

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Euro BBA Leagueを通じて実現した育成環境

今季は2019年10月~2020年2月までの期間(約5ヶ月間)リーグ戦を展開しました。
終盤に発生した新型コロナウィルス感染症の流行の影響を受けなければさらに長いリーグになる予定でしたが、長期間のリーグ戦を通して参加チームの育成にどう貢献する事が出来たのか、再度考察していこうと思います。

より多くの子どもに試合の出場機会を与える

ユーロインフォグラフィック
今季は全12節中、168試合を開催し、31のチーム、約400名の子ども達が参加しました。
ERUTLUCの理念を皆さんと共有し開催をさせて頂いておりますが、その理念の一つに「より多くの子ども達になりうる最高の自分を目指す環境を提供する」というものがあります。
普段スクールやクリニックの練習では経験できないことがこうした大会、試合にはあると我々は考えています。
試合という環境だからこそ得られるものを子ども達に提供しようと考えた時「より多くの子ども達により多くの試合の出場機会を提供する」事がベストだと考えました。
そこで、年代別でリーグを分け、各年代の選手がメインエイジになるようにすることや、選手の人数が多いチームに、チームを2つに分けるといった複数ユニットでのエントリーを推奨しました。
そうすることで、以下のようなメリットがあると考えます。

各チームのメンバー構成に年齢的な公平性が生まれ、発育・発達段階における差が減少し、実力の拮抗、各選手の責任感などを生み出しやすくなる。

今季は複数ユニットで参加されたチームはありませんでしたが、昨季は実際にチームをAチームとBチームに分けリーグ戦に参加してくれたチームもありました。
それによって、試合に出ることのできる選手の人数が増え、より多くの試合の経験を得ることに繋がりました。



継続的かつ段階的な試合環境

ユーロインフォグラフィック
今季は、U-12、U-14、U-16と年齢ごとに3つのカテゴリーに分けたリーグ編成で、大会を開催していきました。
リーグ戦の文化を取り入れていくことにより、継続的な試合環境を手に入れることができます。
トーナメント式の大会となると、初戦で負けてしまったチームは、1回の試合の機会しか得ることができません。
リーグ戦には、どのチームも一定数の試合数を確保することができるというメリットがあります。
しかし、実際に子どもがコートに立てるかどうかは、チームのヘッドコーチの判断によります。

昨年、「ジュニアバスケットボールサミット2019」というイベントが開催されました。
アルバルク東京 アカデミーマネージャーの塩野竜太氏と弊社代表の鈴木良和とのトークショーのセッションでのことです。
そこで、塩野氏がお話しされていた中で強く印象に残ったフレーズがあります。

「プロ選手は出場機会を求めてチームを移籍する事がしばしばあります。たとえ収入が減ったとしてもです。それだけ選手にとってプレータイムとはかけがえのないものであり、価値の高いものなのです。」

私たちは理念共有として「DNP(Did Not Play)をなくす」という目標を、一緒に掲げてもらっています。
全員が良いバスケットボール選手になるための経験をするべきです。
出場経験が0から1になった時、成長への掛け算は始まっていくのです。

リーグ戦の意義

継続的な試合環境は主体的思考、行動を促す

今季はリーグ全体で168試合を開催しました。
それは、1チームあたり9試合を平均的に行った事になり、ひと月に1~2試合開催のペースとなります。
継続的な試合環境がもたらす大きな意義の1つに、子どもが試合から試合へ試行錯誤を繰り返し成長していくことができる、という点があります。
新たな物事に挑戦しない事には、自らを省みる事は出来ません。また、挑戦には失敗が付き物です。
失敗しても次の試合が継続的に行われると言うことは、ある意味、挑戦・失敗を歓迎できる仕組みがリーグ戦形式にはあったと捉えられます。
本来、子どもには失敗から学ぶ才能があります。
未完成である子ども達にとって、挑戦や失敗の機会は、課題発見、解決能力を養う機会の創出を意味します。



真剣勝負の環境

我々は、試合を経験すること自体に大きな価値があると考えています。
それは、拮抗したゲーム展開になったとしても、点差が離れてしまっても、勝利チームにも、敗戦チームにもです。
ただ、どう価値を見出すのかは本人次第です。
もちろん勝利を目指してプレーするのは大切なことだと考えています。
しかし、結果だけが重要なのではなく、そこに至るまでのプロセスや取り組み方にも着目しなくてはなりません。
パルティード・ア・パルティード(試合から試合へ、一戦一戦戦う)という言葉があります。
毎試合、全力で目の前の試合にのぞむ。
どんな試合展開になったとしても、ベストを尽くすことに価値があるのではないでしょうか。
そこで、我々はより子どもたちが試合に没頭する環境を作り出すためにも、拮抗した試合展開を作り出すことが必要だと考えます。
そうすることで、より感動的な場面に出会えるかもしれません。
それがよりバスケットボールが好きになる、夢中になれるきっかけとなるかもしれません。
試合中の子ども達も、見ている人達も、よりワクワクできるような環境作りに今後も努めていきます。

リーグ戦中、試合を終えたコーチとの会話の中で、強く印象に残っているエピソードがあります。

「試合に負けて悔しくて泣いている選手がいた、練習試合ではここまでの気持ちでプレイするのは難しい」

思い返すと、その試合はまさに接戦で、体育館はとても熱気に包まれていました。
選手が涙を流す程、感情をあらわに出来る環境がそこにはあったという事です。
誰もが実力に応じて充実したバスケットボールの経験を積む環境が、育成に大きな意味があると考えます。
練習試合の様な高い頻度と、負けたら終わってしまうという精神的なプレッシャーがない状態でも選手一人一人が責任感を持って試合に臨んでいけるような、子どもが夢中で真剣勝負が出来る環境を大切にしていきます。



若い指導者・レフェリーの実践の環境

長期間のリーグ戦を開催する事は、子どもにとっては長くモチベーションを保つことにつながります。
指導者にとっては、試合によって練習の成果を確認し、それを分析して練習を重ね、また次の試合というサイクルの中で新たな課題を発見し、効果的に練習を積み重ねていくことができるという側面があります。
そうしていくことで、指導者自身がスキルアップしていくことにつながります。
このリーグ戦は、負けたら終わりの試合ではないため、若いコーチでも自信を持って試合を采配することができます。
今季は様々なチームで若いコーチが試合の指揮を取り、ベテランのコーチがアシスタントをする光景が見られました。
選手の成長ばかりではなく、指導者の成長にも貢献できるのが、このリーグ戦の特徴です。
リーグ戦形式にすることで、トーナメント形式とは違い、どの指導者にも同じだけの経験や成長の機会を得ることができます。

レフェリーとコーチに敬意を
それは、レフェリーも同じであり、レフェリーという立場でありながら、子ども達の指導者的な側面も持っていると考えます。
なぜなら、ルールを教えているからです。
育成年代における子ども達はバスケットボールを学んでいる最中とも言えます。
育成年代のレフェリーは、協力者でありながら、同時に指導者的な側面を持つ、重要な立場です。
そのためにも、関わる全ての人たちはお互いに敬意を持つ必要があります。

我々は、熱意ある指導者・レフェリーの普及は、育成年代の試合環境をより良くするために必須なことであると考えています。



EURO BBA LEAGUE 2019 Winter リーグ戦結果

リーグ戦結果


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2020年も育成年代の環境をより良くしていくことができるよう、スタッフ一同ベストを尽くしてまいります。

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