現役NBAコーチの自身のプレーヤーとコーチとしての経験から日本の子どもたちに伝えたいこと
2017年7月28日、31日、8月1日にNBAのユタ・ジャズで現役のアシスタントコーチとして活躍するアントニオ・ラング氏をお招きして特別クリニックを開催しました!!◇アントニオ・ラング氏について
◇NBA選手でも必要なファンダメンタルスキル
・ドリブルで大事なこと
・シュート時におけるバランス能力の重要性
・パスで大事なこと
◇NBAコーチが選手に求めるオンボールスキル
・フィニッシュスキル多様性
・ディフェンスとのズレを作り出すドリブル技術
◇NBAコーチが選手に求めるオフボールスキル
・ディフェンスの状況に対するオフボールの動きを知ること
・ディフェンスの対応に対してプレーを瞬時に変更できる
◇さいごに
<アントニオ・ラング氏について>
ラング氏は、NCAAの超名門デューク大学出身。プレーヤーとしてもNBAドラフト全体29位でフェニックス・サンズに入団、6年間、NBAの4球団でプレーしたのち、CBAフィリピンプロバスケットボールを経て、2001年三菱電機に入団。2006-07シーズンにチームを準優勝に導き、シーズン終了とともに現役引退。
その後、アシスタントコーチ・ヘッドコーチを歴任し、2014年まで合計13年にわたり日本で活躍されました。そして現在はNBAに活躍の場を移してユタ・ジャズでアシスタントコーチとして活躍中。 ■NBA選手でも必要なファンダメンタルスキル ドリブルで大事なこと ドリブルファンダメンタルでは、「強いドリブルをつける」「周りの状況を確認できるようにフェイスアップする」「様々なドリブルチェンジができる」状態になりましょう。
そこで、1ボールのドリブル練習から2ボールでさらなる負荷をかけて上記のことを達成できるようにします。
また2ボールのドリブル練習は非利き手を上達させるのに一番良い練習方法でラング氏もおすすめしている!
試合で適応できるための土台をジュニアの時期から得意な手のみではなく、苦手な手でもドリブルができるように日々練習することが大事です。 シュート時におけるバランス能力の重要性 シュートファンダメンタルでは、「身体バランスを良い状態でシュートを打ち切ること」が大切です。そこで身体バランスに負荷をかけても最終的にはより良いバランスでシュートを打つことができるようにと様々なドリルを紹介してくれました。
基本姿勢でシュートを打つことができることはもちろんですが、実際の試合の場面では、ディフェンスのマークを振り切る動きやドリブルでディフェンスをかわしてシュートを打つこと、時には片足の状態からシュートを打たなければならない場面も想定し、練習から負荷の高い練習をすることで試合に向けたボディバランスの調整を続けていくことができます。
クリニック中には身体のバランスに負荷をかけるために、左右に飛んだり、回転してからシュートを打ったり、片足の状態でシュートを打って決めきれるようなバランス能力を磨いていきましょう。 パスで大事なこと
パスファンダメンタルでは、「両手、左右片手でしっかりとパスができる」ようになりましょう!
試合の中でチームプレーに対応できるように、いろいろなパスの種類や出し方を身につけておきます。クリニックでは基本的なチェストパスやバウンドパス、ワンハンドプッシュパス、ドリブルからのパスなどその場で行うものから動きながらのパスや負荷を上げての2つのボールを使ったパスなどにチャレンジしました。また、ここを通さなければ成功しないという状況でもパスができるように、コントロールの精度も上げてレベルアップしていきましょう!
■NBAコーチが選手に求めるオンボールスキル
バスケットボールは相手チームよりも得点を決めなければ勝つことはできません。そして、より確率の高い場所で勝負する必要がある。ディフェンスは逆に確率の高い場所でフィニッシュされないようにディフェンスをしてくる。その時にディフェンスのブロックを回避するための工夫や技術を身につけておきたい。
オフェンスは右手、左手どちらでも決められるようにすることと、ディフェンスとの位置を把握し、ディフェンス、自分の身体、ボールという位置関係になるようにしたい。そして、ディフェンスは最後まで諦めずにブロックまでしてくる時に、リングを上手く活用しブロックできないようにオフェンス側は工夫できると良いでしょう。
■NBAコーチが選手に求めるオフボールスキル
オフボールでは、パスを出す側ともらう側のコミュニケーションと意思疎通が必要になってくる。
そのためには、ディフェンスがどのように対応するかによってオフェンスの動き方が決まってきます。オフボールスクリーン時のユーザーの動き方、スクリーナーの動き方、それに対するボールを持っている選手のボールの出し方など状況に踏まえて説明して頂きました。
オフェンスはただ動き方を知っていれば良いのでなく、より試合に近い状況でプレーを選択しなければなりません。実戦でどの場所でどのタイミングでいつ判断したら良いのかを磨いていく必要がある。
ただドリルがきれいに行えるようになったとしても、実戦の場面で練習したことを実行できなければ優位にプレーすることが難しくなる。そのために、動きを理解したらディフェンスの対応に対して対処できるようにしたい。そして、チーム全員が共通理解をしてプレーをできるようになってほしい。
■さいごに
今回のアントニオ・ラングクリニックでは、たくさんの子どもたちにラング氏のバスケットボールに対する想いや考え方、バスケットボール自体を楽しむことを大切さを改めて感じられる機会になったと思います。そして、NBAの現役コーチだからこそジュニア時代に必要な事を子どもたちに落とし込んでくれていました!
【写真提供│西尾 瑞穂 氏】