アメリカバスケット界の光と闇
デイブ氏はアメリカバスケット界への警鐘を鳴らした書籍『THE A.A.U WASTELAND』の執筆、NBA選手主催のキャンプディレクター、NCAAのリクルート担当者も数多く訪れる大規模なトーナメントの運営など、様々なアプローチでバスケットボールの普及に携わり活躍されています。
前回のレポートではデイブ氏がメンターと崇める伝説の指導者ジョン・ウッデン氏のエピソードを交えながらデイブ氏が考える理想のコーチ像をご紹介しました。
今回のレポートではデイブ氏が問題視しているアメリカバスケット界が抱えている問題点についてご紹介していきながら、日本の指導者たちはそこから何を学んで行くべきなのかを考えていきたいと思います。
(あくまで本レポートは講習会で述べられたデイブ氏の意見を可能な限りそのまま公開しているためデイブ氏の個人的見解が多分に含まれています。予めご理解の上、お読みください。)
アメリカのAAUシステム
最近ではこのAAUの活動が盛んになり、産業として非常に大きく成長してきている。その為、AAUが将来有望な選手たちの有力なリクルート現場としても使われている。
デイブ氏がアメリカバスケット界への警鐘を鳴らした書籍『THE A.A.U WASTELAND』の中で問題提起しているのは、ずばりこのAAUというシステムである。その理由はいくつかあるが、まず第一にAAUには金儲けのために活動する人や、社会のためにならない活動をする人(非社会的組織)が関わっていることも多い。そのような人がはびこっているのは本当によくないと常々話していた。
AAUシステムの闇 その①
コーチは子どもたちが何をしようと関係なく、チームさえ勝てばコーチとしてステップアップできるというメンタリティの人たちも大勢いる。その為、自分のチームを強くするために競技力の高い選手にコーチがお金を払って、その選手をチームに招きいれることもしばしば行われている。それは選手を成長させるためではなく、コーチが勝ちたいからであり、勝つためには何でもしてしまう人がいる。
この傾向は競技レベルが高くなればなるほど顕著になってきている。
AAUシステムの闇 その②
本来ならば、教育学を専攻しバスケ以外でも成長できるようなカリキュラムでコーチ育成ができれば良かったが、そのようなシステムではないためこういった現状となってしまっている。
アメリカでの学びの環境
特に選手が注目すべきはベテラン解説者の戦術についての説明であったり、考え方であって、すごいプレイを観て真似することではない。より良い選手のより良いプレーに繋がる判断となる要因を理解し、なぜそのプレーになったのか一連の動きを知り、自らが表現できるようになることが大切である。
日本人選手の今後の鍵となるもの
日本の子どもたちはコンタクトを嫌がり、接触をかわすプレーが多く、力強くプレーすることが少ない。
アメリカでは公園や広場にリングがあり、そのリングを使うために子どもでも大人に対して勝負して勝たなければいけないし、審判もいないその中で勝負するしかない状況から自然とアタックマインドが身についている部分がある。日本でもそうゆう世代を超えた中で上の世代にアタックする機会を増やしていくことも一つの鍵となるはず。
また、ゲームを観て学ぶこと。観て学んだことをコートの中で試してみること。練習場所が少ないならば、観て学ぶ時間を増やしていくことが一層大事になる。
選手自身が考えてプレーする
また、実際の試合中でもタイムアウトの時にゲームリーダーが話しをする時間を作るなど、選手が考えてプレーする機会を意図的に作り出すことが大切である。もちろん一人の選手だけでなく、たくさんの選手に対して考える機会を与えることでチームとしても統率が取れてくるため、コーチも試合中のタイムアウトでは大事なことだけを伝えられる。
繰り返しになるが、「選手自身で考え、問題を解決できるようにしておくという準備」が大切である。
またこのような機会を設け、日本の指導者の方々の学びの場を創出してまいります。