2015年11月30日(月)~12月3日(木)でNBAオフェンスコンサルティグコーチのデイビッド・ナース氏(以下デイビッド氏)をお招きし、特別クリニックを開催しました。今回のクリニックは『IQスコアリング』をテーマにクリニックを開催して頂きました。4日間関東各地で行われたクリニックのレポートをお届けします!
今回のクリニックではIQスコアリングと題し、より効果的にオフェンスを行うために重要なことを紹介して頂きました。とは言っても何か特別難しい技術というよりは、シンプルな動作を『ディテール(細かなポイント)』にこだわって練習していきました。デイビッド氏も『It’s the little details that are vital. Little things make big things happen.』と繰り返し強調していました。デイビッド氏が今クリニックで強調していたディテールについて今後のレポートで紹介していきます。
今クリニック最後のレポートです。そしてディテール第3弾は『 Deceptive(ディセプティブ) 』です。ディセプティブとは何か?分かりやすく言えば、「相手の裏をかく」「相手を欺く」という意味になります。今回のクリニックのテーマである“IQスコアリング”という言葉のイメージにもっとも近いキーワードかもしれません。そこでこのレポートでは「Deceptive」という聞き慣れない言葉ではなく“IQスコアリング”という言葉に置き換えて記述していきます。
デイビッド氏曰く、ゲーム中に1on1を仕掛ける際に大切なことは、「切り札は試合の最後まで残しておく。」そして「試合序盤の1クォーターや2クォーターなどで使うプレイと、後半まで残しておいて勝負どころの3クォーターや4クォーターで使えるプレイの両方をもっている選手がIQの高いプレーヤーだ!」とのことです。
“ One step ahead mentally and physically than the defense ” では実際にどのようなプレイを序盤で使い、またどのようなプレイを後半に残しておくとより効果的にオフェンスを仕掛けられるのかをこのあとご紹介していきます。
Rip & Go(リップ&ゴー)“ One step ahead mentally and physically than the defense ” では実際にどのようなプレイを序盤で使い、またどのようなプレイを後半に残しておくとより効果的にオフェンスを仕掛けられるのかをこのあとご紹介していきます。
1on1を仕掛ける際、まず最初に狙えるのが『 Rip & Go(リップ&ゴー) 』です。特にパスを受けた瞬間にリップ(ボールを素早く移動させる)し、そのままドライブを仕掛けます。今回のクリニックではトップからウィングにパスをし、ウィングのプレーヤーはパスを受けたらすぐにボールをリップしオープンステップでエンドライン側にドライブを仕掛けました。その際、自分の肩がディフェンスの腰を抜けるよう姿勢を低くすることも強調していました。
『 Rip & Go(リップ&ゴー) 』に続くオフェンスのオプションが『 Jab & Go(ジャブ&ゴー) 』です。先ほどのリップ&ゴーでパスキャッチからすかさずドライブを仕掛けましたので、そのプレイの逆を狙います。一度ゴールに正対し、そこからジャブステップを仕掛けたら今度はミドルドライブを狙います。ジャブステップフェイクの大切なポイントが『 Ball-Body-Eyes 』です。また多くの選手がリップ&ゴーとジャブ&ゴーでプレイのリズムに変化をつけられないので『 チェンジ・オブ・ペース 』を意識してオフェンスを行いましょう。
3クォーター、4クォーターでの1on1に効果的なのが『 Jab & Body Shift(ジャブ&ボディーシフト) 』です。ジャブ&ゴーを予測してくるディフェンスの裏をかくプレイです。ジャブ&ゴーでBall-Body-Eyesのフェイクを仕掛けたら、再度Ball-Body-Eyesで逆にフェイクをします。その際に足は地面から離さず上半身を使って2回目のフェイクをします。ここが『 Body Shift(ボディーシフト) 』と呼ばれる理由です。ボディーシフトの際に慌ててしまう選手はボールだけが左右に小さく移動するボールシフトになりがちです。しっかりとBall-Body-Eyesを意識してディフェンスを欺きましょう。ディフェンスがボディーシフトに反応したら、ベースライン側へドライブを仕掛けます。
ディテール第3弾は『 IQスコアリング 』でした。今回は1on1の際にどのような順序でプレイを選択していき、またそのプレイを囮にして次なるプレイに繋げていくという内容でしたが、1on1だけに限らず、上の動画でも紹介されているようにピック&ロールを使った『 IQスコアリング 』なども当然存在します。決して身体能力に恵まれているとは言えないデイビッド氏がNCAAのディビジョン1やプロの世界で生き抜いていくために必要であった『 IQスコアリング 』はきっと日本の子どもたちにも大切な考え方なのではないでしょうか?