ここ数年、本の出版のチャンスをたくさん頂いています。
本当に有難いことです。
本を書くにあたって僕が大事にしていること、それは、「 誰のために書くか 」です。
たとえば、
この本の場合は、とある地域の部活の先生方との飲み会が誕生のきっかけでした。
その先生方は、強豪校でも私立で選手を集めているわけでもない、一般的な中学校の先生方です。
地元の子ども達が集まっているごくごく平凡な部活動のチームですが、非常に熱心に指導について勉強を重ねている先生方です。
そんな先生方に「1週間でどのくらい体育館に行って部活の指導をされているんですか?」と質問したところ、
「だいたい2~3時間くらいかなぁ。」という答えが返ってきました。
???1週間で3時間!?
なんで毎日ある部活動でそんなに体育館に行けないのか、詳しく聞いてみたところ、
・職員会議
・生徒指導
・急な保護者との対応
・たまった事務仕事・・・・・etc
これが、その地域の先生方の一般的な状況、ということでした。
先生方は、そういった大変な仕事の合間を縫って、短い時間でもなんとか時間を作って体育館に足を運んでいるそうです。
つまり、先生方がいくら熱心に指導について勉強を重ねたとしても、その勉強の成果を発揮するためにコートに立つ時間そのものが不足しているのです。
Q.「先生がいない時、選手達はどんなふうに練習をしているんですか?」
A.「メニューを与えてあって、選手達はそれを毎日こなしています。」
Q.「そのメニューには、何分以内にクリアとか、何本連続かとか、目標設定はあるんですか?」
A.「特にないです」
Q.「メニューの中身を選手達が自分自身で変更したり、改良していく自由は与えられているんですか?」
A. 「奪っているつもりはないですが、選手達はその自由、権利を持っているとは認識していないと思います。」
つまり、特に目標も定められていない練習を毎日決まった回数こなすだけの日々になっているということだったのです。
3メンが、特に目標もないまま、同じ本数、同じ時間、1年間ずっと繰り返されているわけです。
これが、この本が誕生した理由です。
本来であれば、先生方がもっと体育館に行けるようになればベストですし、もしかしたらマネジメントの工夫でもっとなんとかなるというご意見もあるかもしれません
ただ、この現状が、日本中の多くの部活動の現場で起きているのだとすれば、そこにいる多くの子どもたちがこういった現実のなかでバスケットボールをしていることになります。
それをなんとか出来ないか、何か貢献できないかと考えていたときに、本の出版のチャンスをいただいたのです。
そこで、この本のコンセプトはこうなりました。
主なターゲット
①毎日忙しい先生方、指導者の方々
②バスケの指導を始めたばかりで、1年間どんな風に練習を発展させていけば良いか分からない指導者の方々
活用法
①選手達(例えばキャプテン、もしくは練習の組み立てリーダー役)にこの本を渡す。
②1か月ごとに6種類、12カ月分の練習メニューがあるので、ひとまず月末までに、1か月目分の目標をすべてクリアできるようにがんばろう!と選手に伝える。※可能であれば、目標をすべてクリアできた時のためのワクワクするような仕掛けを用意する。
③目標をクリアするための分解練習や自主練集などは選手の自主性で自由に工夫できるように権利を与えておく。
④メニューの事で分からないことがあったら先生に聞きに来なさいと言う。そして、選手達から質問が来たら先生はERUTLUCに問い合わせメールを送り、回答をまた選手に伝える。
⑤月末になったら、それぞれのメニューでちゃんと目標をクリアできているか、先生がチェックする。※もちろん、毎週チェックできればそのほうが良い。
⑥翌月は次のステップに進む。
指導者としての発展的活用
①ドリルの段階的発展力
この本の構成を読み解けば、一つのドリルを段階的にブラッシュアップしていくモデルとしても整理することが出来ます。
このモデルをもとに、ご自身で様々なドリルを段階的に発展させていくと指導力アップにお役に立てると思います。
②フローな目標設定
この本では、目標を初級・中級・上級というように段階的に設定してあります。
日々練習を見てあげることが出来なくても、目標設定が絶妙であれば、その目標自体が選手達の成長を促します。
そういった目標設定のヒントや程度の予測に役立てていただければと思います。
この本に期待してはいけないこと
この本では、一つ一つの技術について深く解説したり、真新しい理論を紹介したりはしていません。
それでは、本が生まれた理由のエピソードについて、また他の本についても引き続きご紹介していきたいと思います。
近くで困っている指導者の方がいましたら、この目標設定本をぜひご紹介くださいm(_ _)m
たくさんの指導者の方と、たくさんの子どもたちに、この本が少しでも役に立ちますように。