バスケのかてきょコラム 第384号

技術を磨いて上質なものへ

アレン・アイバーソン選手のクロスオーバー

カリーム・アブドゥル・ジャバー選手のスカイフック

ジェームズ・ハーデン選手のステップバックスリー

これらは「シグネチャームーブ」(signature move)と呼ばれ、その選手が得意としている、いわゆる『必殺技』といわれているものです。

そのほかにも歴史に残る名プレーヤーで皆さんご存知のシグネチャームーブがあることでしょう。

NBA選手のクロスオーバーやフックシュート、ステップバックスリーなどは練習をすれば誰でもできるようになる技術です。

しかしその技術が一プレーヤーの必殺技となるためには、何か特別な練習をしているのでしょうか。

それとも、NBA選手だからできるのでしょうか。

平凡な選手が必殺技を生み出すことは不可能なのでしょうか。

恐らく、ある選手と全く同じシグネチャームーブを身につけることは難しいでしょう。

しかし平凡な選手あっても、誰にもできないような特別なことをせずとも自分の必殺技を生み出し、非凡になり得るのです。

それは、平凡なことを非凡なまでに徹底することです。

凡事徹底

という言葉があります。

これは、「なんでもないような当たり前のことを徹底的に行うこと、または、当たり前のことを極めて他人の追随を許さないこと」を意味する熟語です。

平凡なことも徹底すれば非凡になる

とも言われるように、当たり前だと思われることを当たり前にこなすだけではなく、非凡なまでに徹底することで誰にも追随許さないものとなるのです。

非凡な技術、つまりその人独自のすごい技術というのは何も真新しい技術や特別な練習法から生み出されるものではありません。

平凡な技術、平凡な練習だとしても、それを非凡なまでに徹底すること。

それこそが上質な技術を身につけるために重要なことなのです。

歴史上で成果を上げている人達、つまり「非凡」な人物の多くは、当たり前だと思われている些細なことに対して注意力を発揮し、徹底的にやり続けるという共通点があるのではないでしょうか。

その中でも、イチロー選手が残している言葉の一つに
小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています。

というものがあります。

イチロー選手は日米通算4367安打、シーズン最多262安打と、誰も届くことができないような大記録を打ち立てましたが、それはイチロー選手だからできたのでしょうか。

イチロー選手が新人だった頃イチロー選手の打撃投手をやっていた奥村幸治さんが、ある日、質問をしたそうです。

「今までに、これだけはやってよかったなと言える練習ってある?」

するとイチロー選手は

「僕は高校生活の3年間、1日にたった10分ですが、寝る前に必ず素振りをしました。その10分の素振りを1年365日、3年間続けました。これが誰よりもやった練習です。」

と答えたそうです。

1日に10分の素振り、これは誰にもできるような平凡なものでしょう。

しかし、それを高校の3年間毎日やり続けるということがどれほど難しいことなのか。

この平凡なことの徹底がいずれ大きな差を生み出すのではないでしょうか。

継続をすることが大切だということは理解できても、やはりそれを行動に移すことが困難だと思うことでしょう。

イチロー選手はやり続けることに対して、目的を持った上で自分の身の丈にあった目標を持ち続けること、そして、楽しむ気持ちを持ち続けることを大切にしてきたというのです。

バスケットボールの練習の中で、技術の「正確さ」にこだわった練習や、相手との駆け引きの中で「タイミング」にこだわった練習、それを非凡なまでに徹底する。

これを継続することができれば、一流の技術を身につけることができるのです。

目の前の些細な当たり前のことを

「ま、いいか」「明日やればいいか」「1日やらないだけでは何も変わらないし」

と辞める決断をするのはとても簡単です。

一方で、継続することを決断をするのには大変気力を使い、それをするという覚悟が必要になります。

些細なことに対しての考え方、それが大きな差を生み出すのです。

「当たり前であること」を「やり続ける」ことはとても忍耐力が必要になることでしょう。

自分のしていることに情熱を持ち勤勉であること。

忠誠を誓い、誠実であること。

ともに歩む仲間を大切にすること。

分のしていることに集中し、自制心を持って行動していくこと。

そして、やり抜く覚悟を持つこと。

これらを成し遂げることができた人が、平凡であることを非凡なものへと変えていくことができるです。

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