上質な技術とは
バスケットボールは一点でも相手より多く点数を取った方が勝利するといった得点を取り合うスポーツです。
1つのボールを籠に入れるために、身体と身体をぶつけ合いながらよりよいポジションを取り合います。
得点するためにはより良いポジションでシュートが打てることが重要で、身体が強い選手や走るスピードがより速い選手が優勢となると考えられるでしょう。
しかし、全てがそう言えるのでしょうか。
筋力やスピードさえあれば、それは上質と言えるのでしょうか。
今回はバスケットボールの上質な技術について考えさせられるある言葉を紹介します。
『正確さは力に勝り、タイミングはスピードに勝る』
この言葉はUFC(ultimate fighting championship)という総合格闘技の王者をいくつも手にしてきた、コナーマグレガー選手の言葉です。
彼は絶対王者と言われていた対戦相手を1R開始からわずか13秒、左フック一発でKO。
試合後のインタビューで相手のパワーとスピードよりも自分の攻撃の正確性とタイミングが勝ったと、この言葉を残したそうです。
まさにバスケットボールも同じことが言えるのではないでしょうか。
相手と接触しても動じない強い身体をつくるために筋力トレーニングをしたり、ディフェンスのフットワークをもっと素早くして強いディフェンスができるように筋力トレーニングをしたり、自分の技術を磨くために筋力アップをしていくと思います。
それ自体はとても良いことです。
ただ筋力トレーニングをして、筋力がついたからといってパフォーマンスが上がるわけではありません。
自分の身体を正確にコントロールする力がなければ筋力を思うように発揮することができないのです。
また、足が速くスピードのある選手は優勢であることは間違いないのですが、その選手が相手にとって守りやすいタイミングで動き出せば、ディフェンスにとって脅威にはなりません。
タイミングさえ掴んでしまえば簡単に守られてしまいます。
一方でスピードのない選手が劣勢になるかどうかというと、そうではありません。
スピードがなくとも相手の守りにくいタイミングで動き出すことで、簡単に相手を抜き去ることができます。
筋力やスピードは上質な技術においてもちろん必要な要素です。
しかし、バスケットボールの技術の上質さは、ただ筋力がある、スピードがあるというものではなく、
・鍛えた筋力を発揮できる身体の巧みさを身につけること
・駆け引きの中で技術を発揮するタイミングを身につけること
なのです。
このことに気づくことができた次の練習は、ただ筋力トレーニングをするだけではなく力の発揮の仕方を練習したり、
スピード任せにプレーするのではなく、タイミングを見たり考えたりする練習へと変わっていくことでしょう。