
今回は日本とヨーロッパの練習環境の違いについて、競争という側面から整理したいと思います。
①地域のトップレベルの選手が一つのクラブに集まる価値
僕が見に行ったジュベントゥというクラブチームは、U-15のカテゴリーですでに12人中6~7人がアップでダンクをしていました。
日本で一つの中学校にダンクができる選手が7人揃うことがあるでしょうか?
しかし、これはスペイン人が運動能力が高くて、中学生になるとみんなダンクが出来るくらいになるというわけではありません。
スペインで旅をしていて感じたのは、スペイン人の体格は、日本人と同じくらいじゃないかなというイメージでした。
つまり、地域でも高いポテンシャルの選手達が一つのクラブに集められ、専門的なトレーニングを受けることで15歳くらいではダンクが出来る選手がたくさん育ち、そういったレベルの選手達がお互いに競い合いながらレベルアップしているということです。
日本では、一人チームにダンクが出来る選手がいたら、その選手を止めることが出来る選手はいないのではないでしょうか?
そうなると、その選手は力任せのプレーばかりを覚えていきます。かわす必要が無いからです。
そして、いつか自分の力任せのプレーでは破れない相手に出会った時に、技術の引き出しが無いため対応できなくなります。
これは、その選手が育った環境がもたらした結果です。
■「必要は発明の母」ならぬ「必要が技術の母」
技術は指導によって身につく側面もありますが、その技術を使う必要があるから技術が生まれる、技術が育まれるという側面もあると思うのです。
選抜のように、時々集まって練習するのと、毎日190cm同士がしのぎを削るのでは、成長に大きな差でるのは明白です。
竹内兄弟は双子だったからこそ、あそこまでのレベルの選手になったのかもしれません。
②カテゴリーアップシステム
ヨーロッパでは、その年代で突出した選手を上のカテゴリーに上げるシステムがあります。
そうすることで、その選手は常にチャレンジの環境に身を置くことになります。
天狗になっている暇などないわけです。
常に成長し、工夫する必要がある環境に身を置き続ける。
これが、ヨーロッパの育成環境の一つのポイントだと思いました。
あのリッキールビオは、2005年10月15日のACB開幕戦にて史上最年少となる14歳11ヶ月24日でプロデビューを果たしたのも有名な話です。
日本でいうところの、中学生がNBLの試合に出るようなことですから、日本はそれぞれのカテゴリーで独立した運営になっているので、高校の試合に中学生を出すこともできないですし、中学の試合に小学生を出すことも出来ないので、基本的にはその年代で突出してしまったら、その中で戦い続けるしか無いわけです。
③フロー理論
チクセントミハイが提唱したフロー理論というのが、ひとつの鍵になると思います。
要は、その選手の能力にあった課題を与えることで、選手は成長しやすくなるし、楽しさを満喫できるということです。
ヨーロッパの練習環境は、常に選手達がフローになりやすい環境を整えているのだと思います。
次回、憧れの存在をいかした練習環境についてまとめたいと思います。