第362号 感情移入と同情
“理解してから理解される”の習慣の中で大切になるのが「話の聞き方」です。
話を聞くときには5つのレベルがあるといわれています。
- 無視をする
- 聞くふりをする
- 選択的に聞く
- 注意して聞く
- 感情移入して聞く
1と2は相手の話を聞いていません。
3から5は話を聞いてはいます。
その中で、3は自分の聞きたい部分だけ聞き、4は話を全部聞いています。
そして、4と5の差は「感情が伴っているか」ということです。
相手を理解しようと思ったら”相手の立場に立って話を聞くこと”が大切になることより、「感情移入して聞く」レベルで話を聞くことができると相手を理解してから自分が理解されるということが達成されるでしょう。
1から4までの聞き方は、自分が相手を理解しようとしていないため、”理解してから理解される”ことを達成できることはないでしょう。
ここで、感情移入をするということは相手の感情を理解することですが、「同情をする」ことと混同してしまうことがあります。
「同情」は相手と同じ気持ちになること。
「感情移入は」相手の感情を理解することです。
チームメイトが「練習がつらい」と落ち込んでいるときに、自分も「つらいよね」「きついよね」と一緒に落ち込んであげたり同じ気持ちになるのは”同情”です。
“感情移入して聞く”というのは自分も一緒に落ち込むのではなく、チームメイトが「練習がつらい」と落ち込んでいることを理解することです。
スティーブン・R・コヴィー博士は感情移入について
「感情移入とは、相手の見地に立ち、相手の立場から物事を眺め、相手が見ている世界をみることであり、相手の価値観を理解し、相手の気持ちを感じることだ」と言っています。
さらに、感情移入と同情の違いについては
「同情は評価の一種であり、裁くことの一つの形にすぎない。だが、同情することが適切な場合もある。しかしながら、同情を受ける人たちは、その与えられてた同情に頼りがちになる。だからそれは、相手をより深い依存状態に落とし込むことになりかねない。」
「感情移入の本質は、相手に賛成することではなく、感情的にも知的にもその人の事を理解することである。」
と言っています。
落ち込んだチームメイトに同情をしていると、自分も同じ気持ちになるので自分も気持が重くなってしまいますね。
同情を受けた側もその気持ちから抜け出せることができなくなってしまい、どんどんマイナスな感情の方へすすんでいってしまいます。
同情することでお互いがWIN-WINの関係を築くことができるでしょうか。
同情では、チームメイトもチーム自体も成長することにはならないのです。
感情移入して聞く人は、「練習がきつい」というチームメイトのことを理解した上で、どうやったら頑張れるか、どうやったらもっと良くなれるかを一緒に考えます。
そして、チームメイトがもっと成長できるように声をかけます。
このように、”同情”と”感情移入”ではその後の行動がまったく違います。
チームメイトが成長するかどうか、チームが成長するかどうかにも大きな違いが出るのです。
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