緊張する選手・緊張しない選手

鈴木良和のブログ






いよいよ、中学、高校と引退をかけた試合のシーズンになりましたね。


バスケットボールを通じて、Peace of Mindを感じて引退を迎えられる選手がたくさんいることを願っています。

今回は、白石豊さんという方の「心を鍛える言葉(日本放送出版協会)」から、子ども達に伝えたいことをご紹介していきます。


心を鍛える言葉 (生活人新書)/日本放送出版協会









元女子の日本代表で日本人初のWNBA選手でもある萩原美樹子さんからご紹介いただいた本で、たくさんの学びがありました。

「集中を妨げるもの」というタイトルのところで、僕がなるほどと思った話です。特に、引退をかけた試合に臨む選手達に知っておいてもらいたい内容です。

動物と違って人間は、過去を振り返ったり未来に思いをはせることができます。

「今」を生き続けているのに、過去にも未来にも心は飛んでいくことができるのです。

これは素晴らしいことですが、同時に人間を複雑にする根元でもあると白石さんは述べています。


ここで、「私は食べる」という英語を使って分かりやすく説明しています。


・I eat→ 私は食べる

これに助動詞が入ると

・I can eat→ 私は食べることが出来る

・I must eat→ 食べなければならない、だから食べる

・I will eat→ 食べたい

・May I eat→ 食べてもいいかな

・Shall I eat→ 食べるべきかな

というように、人間には5つの助動詞があります。

ところが動物は、生きるために食べなければならないから食べるだけです。

つまりmustとcanという2つの助動詞しかありません。


悩むということは人間の特権ですが、勝負においては禁物です。

試合の時には、動物になってしまえばよいのです。

このように白石さんはおっしゃっています。


確かに、僕が今までプレーしてきた中でも、緊張するような大会で飄々と普段どおりの活躍をするのは、たいてい普段から動物的なタイプの選手でした。

白石さんはこのように述べています。

「まじめで人間的に素晴らしいと思える選手達が、あれこれ考えすぎてかえって悩みの泥沼にはまりこんで抜け出せないでいる例を数多く見てきたからです。」


我々のバスケ教室などを見てみると、一生懸命な子どもが多いので、やはり多くの子は人間的にしっかりしていてまじめな子です。

教室の練習中だと素晴らしいプレーが出るので、そのプレーならばかなり高いレベルで活躍できると思えるのですが、いざ試合になるとなかなかその力を発揮できないというケースをこれまで多く見てきました。

なんでだろうともやもやしていた部分が、この本を読んでなるほどと思えたのです。


そして、もう一つこの本を読んで悩んだことがあります。

我々の教室では、技術だけではなく考え方や価値観の指導も大事だと思っているので、練習の最後に心構えについての冊子を配り、話をしています。

そうして人間的な部分で子ども達に働きかければかけるほど、子ども達は緊張しやすい選手になっていってしまったのかもしれないと、少し思い悩みました。

かといって、教育的な側面を無視するのは活動の存在意義や理念にかかわる問題です。


心の部分を指導するのはとても大事だと考えていますので、これからは子ども達に対して普段の人間的な部分と試合中の動物的な部分とをしっかりと伝えていかなければと考えました。

ただ、あまり動物的なプレーばかりだと状況判断が無い行き当たりばったりなプレーになってしまいます。

結局のところ大事なのは、意識した練習をくり返し、それが無意識に出来るようになり、本能的に勝負に臨めることなのだと今は考えています。


インナーゲームでいうセルフ2、ポランニーがいう暗黙知といった分野が示すような本能的な部分が解放できるように、練習を戦略的ピリオダイゼーション的にフラクタルとカオスをコントロールしながら「コントロールされた脱コントロール」なスポーツ空間を演出していくことが大事なのだと思います。

出際に慌ててブログを書いていたら、なんだか小難しい文章ばかりになってしまいましたね。

書き直す時間も無いので、今回のことを簡単にまとめるとこんな感じです。




~試合中は動物でいこう!試合が終わったら、人間的に反省をしよう~











 

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