10月26日金曜日、指導者向けの講習会を担当します。
テーマはチームワークを高めるために選手個人として重要な習慣についてです。
今回は、その講習会で先月お話しした内容から「信頼残高」についてお話ししたいと思います。
まずは、たとえ話からです。
『鈴木先生が登校時の門番をしていると、ある女の子が遅刻をしてきました。
鈴木先生はその子に対して「どうした。もう学校始まるぞ。早く教室に向かいなさい。」とやさしく言葉をかけます。
次にある男の子が遅刻をしてきました。「お前はなにやってるんだ!もう学校始まってるぞ!」と鈴木先生は怒鳴ります。
この鈴木先生をみんなはどう思いますか?
と子ども達たずねると、ほとんどの子どもは「ひいきだ!」「女にだけやさしいんだ!」「最悪!」という答えが返ってきます。
そこでこう言います。
『でもね、実はこの女の子はいつも宿題やもって来るものを忘れたりしないし、遅刻だってほとんどしない。頼まれたこともきちんとやり遂げる。逆にこの男の子はしょっちゅう忘れ物をするし、遅刻も多い。先生に頼まれたこともきちんとやらない。これを聞いても同じように感じるかな?』
★コーチ銀行と信頼算高
そこで、信頼残高とコーチ銀行の話をします。
『コーチには銀行があります。そこに預けられているのはみんなに対する信頼で、どれくらい信頼があるかというのを信頼残高といいます。たとえばいつも遅刻をしている男の子はこの先生の信頼残高を増やしましたか、減らしましたか?いつも遅刻をせず忘れ物もしない女の子は先生の信頼残高を増やしていましたか、減らしていましたか?』
この話をすると、子どもたちは不誠実な行いが先生の信頼残高を減らし、やるべきことをしっかりやることが先生の信頼残高を増やすということを理解してくれます。
『信頼残高が高いか低いかで、同じ遅刻でも先生の言葉がけは違っていましたね。バスケットボールのコーチも同じく銀行を持っています。普段から練習を一生懸命やっている人はコーチの信頼残高を増やしますか?減らしますか?挨拶もできなかったり、チームメイトの文句ばかり言っていたり、チームで約束したことを守らなかったらどうですか?』
今までにコーチからなかなか認めてもらえない、同じ失敗でも自分にだけは冷たい、といったことを感じたことがあるならば、コーチを否定する前に一度自分の今までの練習態度を見つめなおす必要があるよと子どもたちに話します。
『本当にコーチ銀行の信頼残高を増やすような練習、姿勢、行動をとっていましたか?』
子どもたちへの話はここで終わりますが、実はこの話は指導者にとっても重要な話なのです。
それはなぜかというと、子どものほうにも銀行があるということです。
コーチも子どもの信頼残高を増やしていたかが重要です。
問題が起きているチームの話を聞いていると、コーチ側が子どもの信頼残高を引き出し、子どもがコーチを信頼しなくなるパターンや、逆に子どもがコーチの信頼残高を引き出し、コーチの子どもを見る目が変わるなど、どちらかが下へ下への信頼引き出しの螺旋を始めてしまっています。
★大切なのは「預け入れ」
子どももコーチもお互いに信頼してスポーツをするためには、お互いが信頼残高の「預け入れ」をすることです。
信頼が土台になければお互いに伝えたいことも伝えられないということです。
たとえ話ですが、100の知識を持っている指導者も、子ども達の聞く耳が30しかたっていなければ、伝わる量は30です。
逆に、30の知識しかなければ、いくら子ども達の聞く耳が100たっていても伝わる量は30です。
指導力というのは、知識や情報量が多いというだけではなく、それを子ども達が受取ろうとしてくれるかどうかも含めての力なのだと思います。
この人の話を聞きたい!と思わせるような、そんな指導者にならなければと思うのです。
7つの習慣という本で僕が深く共感した部分です。
皆さんはどう思いますか?
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