第350号 努力の方向性
「努力は必ず報われる」
この言葉はよく耳にします。
この言葉に何度も励まされ、
もっと頑張らないと!と奮い立たされた経験のある人が多くいるのではないかと思います。
しかし、私は幾度か
「努力をしても全然報われないよ!」
と感じたことがあります。
そのとき、この「怒力は必ず報われる」という言葉に疑念を抱きました。
怒力は報われるものなのでしょうか。
努力が報われるのは、努力の量、方向性を間違えずに取り組み続けた人です。
「努力は必ず報われる」という言葉をそのまま捉えてしまうことには注意をする必要があるでしょう。
まず、努力が報われない。と感じたときに、
その目標に対する努力が足りなかったのかもしれません。
よく、調子が思わしくないときに、「スランプ」という言葉を使いませんか?
元プロ野球選手であり、プロ野球団の監督を務めた金田正一氏はこのように言っています。
「野球の世界でスランプという言葉を口にできるのは、王と長嶋とワシしかおらん。いつも調子の悪いやつはスランプではなく、当たり前のことなんだから」
自分が努力したつもりになっているだけで、努力の量が足りなかったのかもしれないのです。
そして、努力する方向性はどうでしょうか。
もしかしたら、「どのような努力をするか」という方向性を間違えてしまっていたのかもしれません。
ガムシャラにただ頑張ることだけが努力とは言えないのです。
また、そもそも「努力は必ず報われる」と思ってしまうことで、
自分は努力をした。だから報われる。
と考えてしまうのではないでしょうか。
そして、ある時
「自分はこれだけ努力しているのにどうして結果が出ないんだ。」
「これだけ努力しているのに、誰も評価してくれない。」
「自分の方が努力をしているのに、なぜあの人が。」
といった感情に陥ってしまうのです。
努力はその目標に対しては報われなかったかもしれないけれど必ず自分の知識や経験にはなっています。
報われなくても成長は必ずしているのです。
努力ができるという事実が自分の自信にもなります。
努力はしたほうがよいのです。
しかし、努力をすれば必ず報われるというのは、その努力の方向性が正しく、より大きな熱意必要になるのではないでしょうか。
「努力は必ず報われる」が本当だろうと嘘だろうと、努力しなければ成功しないことに変わりはありません。
この言葉を聞いて奮い立ち、行動を変えることができるきっかけになるのはとてもよいことではありますが、
努力を努力だと思わず、自分の目標に向かってひたむきに頑張れる人が報われる人なのではと感じます。
ただひたむきに、正しいベクトルで頑張った人が目標を達成したときに初めて
「怒力は報われる」
ということを言えるのではないでしょうか。