
9月1日、2日で日本バスケットボール協会主催の全国コーチクリニックを受講してきました。
最初はドラガン・ミラノビッチさんの講習です。
ミラノビッチさんは2006年男子日本代表チームの臨時フィジカルコーチでクロアチア・ザグレブ大学の教授です。
これまで数多くのナショナルレベルの選手達を指導してきた経験と、その膨大なデータで身体作りに関する様々な提言をされていました。
以下、まずは初日の内容で大事なポイントとなるトピックスをいくつか整理したいと思います。
日本人と欧米人との身体的特徴の違いなどはもちろん踏まえたうえで考えなければなりませんが、育成年代の指導コンセプトを考えるうえで考えていかなければなりません。
■6~10歳のうちは、色々なスポーツを経験させる必要がある。バスケットボール選手を目指すのであれば、10歳でバスケットボールを始めなければならない。
■それぞれの能力が伸びる時期にその能力を伸ばさなければならない。ドリルは論理、そのドリルを行う選手の心理的、生理的な部分は力学であると捉えられるので、ドリルは論理的により良いやり方というのを分析することが可能です。
■若い世代はバランスよくすべての能力が高まるように。
■持久力について
7~8歳でも15分走り続けることができる。ただし、有酸素の走りならば。
子ども達は無酸素運動の持久力は低い。無酸素運動の持久力を高めるのは成長が止まってからが良い。→ここについては、速筋繊維が遅筋繊維に代わっていく過程についてなどいろいろな人の専門的、科学的意見がもっと必要な気がします。
■スピードについて
子どもはまず方向を変える速さから。11歳くらいでも伸ばせる。ただし、何度もやるのは負荷が高すぎるのでNG。真っ直ぐ走る速さは成長が止まってから高める。
■力強さについて
まずは重りを持つ前に正しいフォームを。一つでも身体に弱い部分がないように。それらが解決されたら、同じ動きを何回できるかのトレーニング。次に、それを速く動かすトレーニング。次にMAXパワーに挑戦。
外からの負荷は13~15歳の年齢で。腰がしっかりしているかどうかが鍵。12歳で負荷なしのトレーニング。14歳で小負荷というように段階を経て上げていく。
■ストレッチについて
6~10歳はダイナミックストレッチ。10歳から強度の高い柔軟性トレーニング。骨が柔らかいときに負荷のかかるスタティックストレッチではなく、ダイナミックストレッチを重視する。楽しさの側面も踏まえて考える。ストレッチはやりすぎもNG。関節は柔らかくなりすぎも怪我の原因になる。小さい子はそもそも柔らかいからストレッチの必要性が低いという考え方があるが、その柔軟性を維持するためにストレッチは必要になる。
■僕が感じた課題
・年代ごとのトップレベルの数値がデータベース化されているのであれば、その数値と計測方法を公開することはできないか。公開されれば、世界レベルを目指すモチベーションの高い選手達はその数値を目指して努力を続けるのではないか?(ただし、年代ごとの数値をオープンにして、目標数値がでることで過剰な努力による故障の誘発なども考えると、個人差に対するコンセプトと一緒に考えなければならない)
・育成年代のトレーニングコンセプトを普及するためにどうするべきか。
・トレーニングコーチの育成をどう行って行くか。特に、6歳くらいから18歳くらいまでの年代のトレーニングコンセプトを整理し、具体的なドリルを構築し、原則に従って個々の対応についてまで質の高い情報の整理が行えるようにしなければならない。
・バスケ能力テストなど、指標となる数値とセレクションのシステムをどうつくるか。
・モチベーションが高い選手が定期的に集められる環境をどう作るか。→やはりクラブチーム化。いかにいいプログラムがあっても、選手にモチベーションが無ければ高いレベルまで自分を追い込むことができない。モチベーションの差でプログラムの質が変わってしまえば、どちらの選手にとっても不幸。
たくさんの人に知ってもらいたい情報を中心に、ミラノビッチさんの意見と、僕が感じた課題をまとめてみました。
日本バスケットボール界がもっと良くなるために、まだまだ課題はたくさんありますね。
がんばらないと!!
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