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ジュニアバスケットボールサミットとは

ジュニア期のバスケットボール現場をよりよいものにするために、全国各地の英知を結集。

選手・指導者・保護者の「なりうる最高の自分を目指す」をサポートすることを目的としたイベントです。

過去のイベントでは、全国大会出場校の練習見学や、日本のトップで活躍しているプロ選手や全国のスキルコーチ、海外から招聘したコーチによるクリニック、その他各分野の専門家によるプレゼンテーションなどが行われました。

ジュニアバスケットボールサミットでは、1年間を振り返って育成年代にとって最も重要なことは何なのか、何を伝えていくとより多くの人の貢献になるのかを考え、毎年テーマを決定しています。

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集合写真
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2019年度テーマ「育成マインドの醸成」

ジュニアバスケットボールの世界年々変化しています。

クラブチームの登録や大会参加、設計が進み、その中には選手の取り合い、移籍させるなど、大会に向けて勝利を目指すチームがますます増えているという話も耳にするようになりました。

【日本代表スタッフとしてワールドカップに関わった経験から】

弊社代表の鈴木は2016年からサポートスタッフとして男子日本代表に関わってきましたが、この1年についてこのように話しています。

「世界の切符を掴んだ1年でもあり、世界との差を感じた1年だった」

ワールドカップが終わった後に日本代表チームの課題が議論される中、「問題、課題の8割は、育成年代からやっていることの延長の問題」と鈴木は感じているとのこと。

代表レベルでの問題を解決するためには、育成年代にやっていることをより上質なものへ変え続けていく必要があると話しました。

そして、その問題解決は単に日本代表が強くなるというだけの話にとどまらず、実は多くの子どもたちの教育や成長に関わるものでもあります。

【育成マインドの必要性】

バスケットの強豪国の選手たちの育成年代では、選手が18歳、19歳になるときに、どれだけ選手として育っているかということをテーマにして育成されています。

この「最終的にどのような選手に育つか」ということに主眼を置いた指導者の考え方を「育成マインド」と呼んでいます。

今、日本の育成年代は変革期にあり、「これから日本のバスケットをどう盛り上げていくか」を考えたときに言えることは、選手の取り合いや移籍合戦で勝ち負けを競っている場合ではないということです。

選手達が将来どれだけ良い選手に育っていくかということに対して、その年代に何をしておくべきかということをもっと深めていくタイミングではないでしょうか。

【今年のサミットの目的】

前述の通り1年間を振り返って、「育成年代にとって最も重要なことは何なのか?」、「何を伝えていくとより多くの人の貢献になるのか?」を考えてテーマを決めているバスケットボールサミット。

今年のテーマは【育成マインドの醸成】。

今回のサミットでは、「正解は提示しない」と、鈴木は明言していました。

育成について問題提起し、もっと良いものはないか、もっと考えられないかと、現場でのディスカッションをどんどん広げていき、

さらに、イベントで理解したことや考えたこと、感じたことを参加者の皆さんが自分の言葉で周りに伝え、その波を広げていってもらう。

一人一人がインフルエンサーとなって育成について考えるきっかけを全国に広げていく。

これらの目的にむけて、今年のジュニアバスケットボールサミットは開幕の日を迎えました。

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イントロダクション

「世界選手権を経て感じた世界トップレベルの選手と日本の選手の違い」

キーワード
ディスカッション.1

「テニスボールドリブルは良い練習か?」―遂行能力を考える―

【W杯日本vsチェコ】の日本チームと【W杯決勝戦スペインvsアルゼンチン】のスペインチームの事例
日本

メインアクションがディフェンスによって消され、戦術やスクリーンプレーが上手に遂行できていなかった。

メインアクションを壊されたときに打開できる選手が日本にはいないので、アドバンテージを作れずショットクロックが消費されていった。

スペイン

10点以上のビハインドがあるアルゼンチンは、スペインに対するディフェンスのインテンシティがかなり高かった。

そのようなインテンシティの高いディフェンスに対しても、スペインはミスもせずにシュートを決めきり、点差を離していった。

スペインは、遂行能力が高いといえる。
【遂行能力の差】
遂行力

技術練習やアクティビティは、子供たちの刺激になるものが多く、取り組めば上達していきます。

しかし、実際には世界の選手と日本の選手との技術の質の高さに、大きな差が出しまっているのです。

その差を生んでいるのは、「遂行する力」ではないでしょうか。

【育成年代に対しての指導者に求められる目線】

テニスボールドリブルの練習をした結果、『インテンシティの高いディフェンスに対してもボールを失わないこと』や『相手を抜くことができる』ようになっていれば、そのテニスボールドリブルの練習は、良い練習と言えます。

しかし、いくらテニスボールドリブルの練習をしても、試合でのミスが減らなかったり、相手ディフェンスを抜けるようにならなければ、技術が成長したとは言えません。

私達、育成年代のコーチは「練習の本質とは何か?」という目線で、選手の技術を積み上げさせているのでしょうか?

例えば、ディフェンスのいない状態で、技術が上達し、キレイにテニスボールドリブルができるようになったというのは、果たして本当に上達したと言えるのでしょうか?

練習を積ませたものの、インテンシティの高いディフェンスや、相手とのコンタクトに対し、「スキルが発揮できない」、「判断ができない」、「シュートが決めきれない」という状況になってしまったら、それは育成が上手くいっていないということになるのではないでしょうか。

問題提起

段階的にインテンシティを高くしても、一定のスキルを発揮できるようにする為には、育成年代からどのように練習を積ませれば良いのか?

【遂行力の3つの視点】
インテンシティ

遂行力の難易度は、与える課題の強度で決まる。その為に、強度のコントロールをする。

【身体能力について育成年代で考えること】

世界では、身体能力の差(コンタクト)で、技術力の差が埋まってしまいます。

コンタクトされる中で、いかにバランスを維持しながら、スキルを発揮できるかが、運動における課題であり、これを育成年代から経験させる必要があります。

コンタクト
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ディスカッション.2

「エッセンシャルゲームのルールが何を求めているのか、何を引き出そうとしているのか?」―ルールの設定で課題を与える―

【日本の課題から考える】
日本の課題として、オフボールのディフェンスがオーバーヘルプしすぎてしまうことが挙げられる。
解決するためには?
  • 不必要なヘルプディフェンスをしないようにする。(unnecessaryhelp:アンネセサリヘルプ)
  • ボールマンディフェンスが抜かれてこないようにする。

このことから、オンボールディフェンスの重要性が見えてくる

ドリル案:【エッセンシャルゲーム】
勝負に拘らせ、アンダーカテゴリーでやらせたいことを、コーチがやれと言わなくても、やらざるを得なくなるようなルール設定をした練習。
ルール
  • 両チーム持ち点は3点
  • シュートが決められたら−1点
  • 0点になったら負け
  • キックアウトからの3pショットインは一発アウト
  • 3pの内側からのショットインは−1点
  • キックアウトからシュートが打てなかったら交代
  • キックアウトからのドライブはなし
  • オフェンスリバウンドからはフリーオフェンス
  • シュートを決めたら連続でオフェンス
  • 負けチームは相手の残っている点数分ペナルティ
エッセンシャルゲーム
エッセンシャルゲームのポイント
  • なんでも良いとさせるのではなく、選手に優先順位を判断させる。
  • ヘルプディフェンスについては、選手が考える余地を残せるようにし、コーチが勝つための解決策を与えないようにする。
  • 選手がルールの中で、自ら考えて行動するようなルールを設定する。
  • 勝ち負けのルールをはっきりさせ、勝負に拘らせる。そうすることで、選手が自ら考えるようになる。
コーチが介入し過ぎてしまうと選手が考えることをしなくなる。

オーナーシップからリーダーシップへの転換

遂行能力の向上

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ディスカッション.3

「フィニッシュスキルの重要性」―フィニッシュの遂行能力―

【フィニッシュスキルの課題から考える】

長身の選手の中には、育成年代の時を含め、シュートフィニッシュのスキル練習に対して、必要性を感じていない選手がいるのではないだろうか。

何故ならば、おそらくではあるが、シュートフィニッシュの際、自分の歩幅に相手選手がついてこれないことが多く、シュートフィニッシュのスキルを課題と感じなかった。

その為、練習の必要もないと思っていたからではないだろうか。

しかし、世界で戦うとなると相手のレベルも上がる為、相手選手の能力に関係なく自分の踏みたい位置でステップを踏むと、コンテスト*1されてしまう。

*1 コンテスト:シュートチェック、ブロックされること。

【プロリーグ選手のフィニッシュから考える】

一方で、「プロリーグの選手が2m越えのビッグマンにもブロックされない」のはなぜだろうか?

ポイント
フィニッシュのエクスキューション
【ステップを踏む位置と踏み方】
ランニングステップの一歩目を、自分に対しブロックにくる選手の足の近くで踏むことができると、
  • 1歩目のディフェンスの対応から2歩目で調整ができる。
  • 1歩目でコンタクトがあっても、2歩目でバランスを調整してアジャストできる。
ドリル案
<ドリル1>
「どんなタイミングでもステップを踏めるようになる、タイミングボールヒット」
【方法】
  • トスされたボールと持っているボールをぶつける。
  • ランニングステップの1歩めの着地と同時にヒットさせる。
  • ドリブルからボールヒットのタイミングで、ワンステップシュート。
  • もし、ボールトスのタイミングでパサーの手が挙がったら、バックショット。
<ドリル2>
「ステップを踏むタイミングとショットハンドの練習」
【強度Ⅰ】
  • ディフェンスはセミサークルの中から、ボールマンへディフェンス。
  • ドリブラーは、ミドルサイドフットとパウンドドリブルで踏み切り、ミドルサイドへランニングステップシュート。
【強度Ⅱ】
  • ボールマンディフェンスは追従する。
  • セミサークルからヘルプディフェンスが来る。
  • ステップ、ショットハンドはパターン1と同様。
【育成年代で大切にしたいこと】
育成年代では、1歩目のディフェンスの対応から、駆け引きの経験をたくさん積むこと。

育成年代から、ディフェンスのいない状態で、ランニングステップを踏む練習を繰り返ししていると、

結果として、自分が踏みたいリズム、踏みたい場所で踏む反復練習をしてしまう事になります。

一方で、ディフェンスのいる状態で駆け引きをして練習をしている選手とでは、成長度が大きく変わってきてしまうでしょう。

育成年代では、
  • 抜き去った状態でヘルプに対して
  • ボディアップされている時
  • オーバーディフェンスに対して
それぞれのスキルのエクスキューションを高めることが大切になります。
【日本の育成環境から学ぶ】
レイアップショットをブロックされる日本人
ブロックに飛べないようにする世界の選手

今までの日本の育成環境では、能力のある選手に適切な課題を与えてこれませんでした。

例えばシュートシーンに関して、日本人選手はブロックされないと思い、工夫なくステップを踏む。しかし、これではブロックされてしまうのです。

世界レベルの選手は、相手選手のブロックする為のジャンプリズムが崩れるようなフェイクや 、一工夫加えることで、ブロックショットのをジャンプを封じています。

ただし、いくら「世界のトップ選手はこうやっている」と選手に伝えても、それは伝わらないでしょう。

スキルが必要だと感じる環境・状況で、自分の努力や工夫を加えて学習し身につけていく必要があります。

では、コーチの役割はどうあるべきでしょうか?

コーチが選手に何を与えたかは重要ではありません。

むしろ、選手自身が何を掴んだかが大切になります。

故に、コーチは選手自身が工夫しなければならない課題をどれだけ与えていけるかを考えなければなりません。

その為、ドリルや練習は、選手自身が考える必要のある課題を与える必要があるのです。

課題を与える
ポイント
【ドリルに取り組む際の工夫】
オフェンスの練習をする時は、ディフェンス設定の工夫が必要。
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ディスカッション.4

「オンボールディフェンスの重要性」―アンネセサリーヘルプ―

【ディスカッション2の<日本の課題から考える>より】

オンボールディフェンスで抜かれてこないことが重要

オフボールのディフェンスが、オーバーヘルプしすぎることでクローズアウトが生まれます。

ヘルプディフェンスに助けてもらう前提のオンボールディフェンスを、U12では最もやってはいけないと考えています。

ドリル案
<ドリル1>
「オンボールディフェンスマンが守り切る」
【方法】
  • ディフェンスはミドルドライブに対して、リーガルガーディングポジションをとり続け、トルソーでボディアップ。(ドライブコースを限定するためにダミーディフェンスが立ってもよい)
  • フェイクに飛ぶ、コンタクトでバランスを崩すディフェンスはNG。
  • オフェンスはワンドリブルでレイアップに持っていけるコースでドライブ。
  • ディフェンスがバランスを崩したときに一気にゴールへ踏み込む。
  • 追いつかれたときにフェイクでディフェンスを飛ばせたり、コンタクトで相手を下げてフィニッシュを狙う。
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ディスカッション.5

「シュート技術の重要性」―技術の遂行力―

【シュート力と技術の遂行力の関わり】
シュート力が高いと…
相手はピックアンドロールディフェンスの準備ができず、オフェンスのピックアンドロールが有効になる。
「シュート力は、ピックアンドロールディフェンスの遂行力の高さに関わってくる」と言える。

上記の例を考えると、ピックアンドロールの遂行力の高さに関しては、ピックアンドロールを上手に使うスキルやドリブル力、ハンドリング能力などが高いことが、遂行力の高さに繋がるのではありません。

ピックアンドロールにおいては、「シュート力が高いこと」が、ピックアンドロールの技術的遂行力の高さに繋がっていると言えます。

すなわち、単純に「技術能力が高い」=「技術的遂行力が高い」ということではなく、ある技術の遂行力を高める為には、適切な技術能力の向上が必要となるのです。

【スポットシューティングのシュートアベレージと重要性】

プロリーグにおいて、ゲームのシュートアベレージ(以下SA)が高い選手は、スポットシューティングのSAが高くなっている。

一方で、ゲームのSAが高い選手で、スポットシューティングのシュートSAが低い選手は、そう多くはない。

もちろん、スポットシューティングのSAが高いですが、ゲームのSAが低い選手は存在するものの、総じて試合でシュートが入る選手は、皆スポットシューティングのSAが高い。

では、最終的にシュート力を左右するもの、つまり、シュート力が高い選手になるために最も重要な能力は何でしょうか?

それは、シュートにおける「飛距離の調整力」となります。

【育成年代における準備は?】

プロ選手の3Pシュートのスポットシューティング成功率は約7割となっています。

では、育成年代にどうしておくと良いのでしょうか?

それは、育成年代の段階で、シュートの届く距離でのシュートアベレージが7〜8割到達している必要があります。

シュートにおいては…

育成年代の時から、オフドリブルショットや様々なステップからのショットを多く練習しておく必要がある。

シューティングドリルの基本と実戦
  • スポットシューティングの精度を高める

  • オフドリブルプルアップ

  • ムービングフットワーク

    ※エクスキューション力の肝になる部分。

プロになってできることは、そのときでよい。

育成年代では習慣を作ることが大切。

【高精度なスポットシューティングを放つ重要な要素とは?】

初心者のシュートは、アーチの最高到達点が上下左右にブレてしまいます。

一方で、プロ選手のシュートは、アーチの最高到達点が一定になってるのです。

では、高精度なスポットシューティングを放つにはどうすれば良いのでしょうか?

それは、入るシュートアーチの再現性を高めることになるでしょう。

ちなみに、プロ選手は意識的にシュートアーチの再現性を高くしようと考え練習をしているのでしょうか?

プロ選手は、反復して練習していく中で、シュートアーチの再現性の高さを身につけたのです。

意識せずに、シュート確率の高いシュートアーチを再現できるレベルを目指す。
シュートが中々入らない選手に対してのアプローチはどうすれば良いのか?

シュートアーチに着目し、シュートの入るアーチが再現出来ない原因を分析してあげる必要がある。

シュートの入るシュートアーチが再現できない原因を解決できれば、シュート確率は高くなってくる。

【シュート指導は、指導者が一番介入して良い部分】

1対1(マンツーマン)、パス、ドリブルは、選手に課題を与えて選手自身が自ら考え、解決することが大切になります。

しかし、シュートにおいては、選手自身に解決させ続けると、負のメカニズムにハマってしまうリスクがあるのです。

指導者のシュート指導への介入の仕方
選手に、ゴールに届く「シュートフォーム」を教える。
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アルゼンチン育成資料の紹介
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