アレックス テレス氏特別クリニックレポート

2019年4月29日〜30日の2日間でスペイン、バルセロナからお招きしたアレックス・テレス氏の特別クリニックを開催致しました。
シーズン中でご自身のチームの指導もあるにも関わらず、日本でのクリニック開催の為、来日して頂きました。
来日直前にはスペインのU-12世代の各州ごとの選抜が集う大会でテレス氏が指導するカタルーニャ州のチームは見事男女ともに決勝進出を果たしました。
大会最終日まで戦い抜いた後、すぐさま来日というハードスケジュールの中、2日間に渡り、素晴らしいクリニックを開催して下さいました。
両日とも満員御礼となり、また多数の指導者の方々にもご参加頂いたテレス氏のクリニックの様子を余すところなくレポート致します!

コーチ紹介

Àlex Terés (アレックス・テレス)

スペイン バルセロナ出身の43歳
12年間の情熱溢れる教師生活の傍ら、バスケットボールコーチとしても活動している。教師時代も含めてコーチ歴は18年。現在はヘッドコーチとしてU-12とU-14カタルーニャ州代表チームを指導している。

バルセロナ出身というだけあって、生粋のFCバルセロナ(サッカー)のファン。非常に好奇心が強く、初来日にも関わらず貪欲に日本の文化、バスケットボールの環境を学ぼうとする姿勢が素晴らしく、クリニックの翌日には日本文化に触れる為に浅草の下町や鎌倉などへの旅行をご自身で企画する行動派。8歳になる娘さんがおり、今回の来日時に娘さんを連れて来たかったが、「8歳では日本に来れることの大きさがまだ理解できないだろうから、もう少し大きくなったら是非連れて来たい。」とのこと。


▼今回のクリニックのテーマ▼
スペイン流オフェンス練習

ディフェンス無しの個人技術(ドリブル、パス、シュート)
目的は1対0のシチュエーションの違いを知ること
Uso de técnica individual (Bote, Pase y Tiro) sin oposición con el objetivo de conocer diferentes situaciones.

ディフェンスと相対する為の個人技術
1on1でディフェンスに対してアタックを仕掛ける
Uso de técnica con oposición. Como atacar según defensor.

状況判断と決断力を高める練習
2対2や3対3を題材に
Toma de decisiones en ejercicios colectivos (2×2, 3×3…)


今回のクリニック開催に当たり、テレス氏へこちらからリクエストしたことは、” これぞスペイン流! ”という考え方や練習方法を日本の子どもたち、指導者の方々が学べるようにしたいということでした。そのリクエストに見事にお応え頂き、テレス氏には2日間に渡り、スペインで主流となっている”認知”と”判断”を刺激する様々なドリルを展開して頂き、実際に練習に取り組む選手はもちろんのこと、見学されている指導者の方々にも多くのアイデアを提供して頂きました。


テレス氏の練習は、シンプルながら子どもたちの興味を引くアイデアが常に盛り込まれており、練習に取り組む子どもたちは自然と夢中になっていきます。

例えばコーンを使いディフェンスの動きに制約を設けながら、オフェンスはそのディフェンスの動きをよく観てプレーすれば上手く攻略できるようデザインされているものが多かったです。逆に言うと、相手の動きをよく観ないでプレーしてしまう選手は上手く攻められないので、自然と相手を観て、判断して、プレーするようになっていきます。

▼指導者見学の方々からの感想▼
練習の中でカオスな状況を作り出すことの必要性とその効果について語られていたことが印象に残っています。上手くいくだけの練習をするのではなく、今日の練習はあまり上手くいかなかったなと思うような日々の挑戦を大切にしたいと思いました。ありがとうございました。(20代男性)
「ミスをさせる事がコーチの仕事」という言葉。一つ一つのドリルの中、選手のミスに対して叱責、指摘をするのではなく、ミスを通じて学べるような構成をされている部分が大変感動しました。(30代男性)
テレス氏のご指導はあえて短時間で日本的練習とは違う要素を見せていただき、バスケというスポーツがピックありきでメイクする競技であり、相手を出し抜くのは身体能力より判断のスピードであるところから入るのはとても驚きでした。育成年代の子供たちはこの先に体もできあがるので、そのときにこの基準からバスケをしていたことが生きてくるし、逆に若いうちから体に頼ったプレーにならないように、ボールをなげつけるブロックなどでハンデを埋める工夫もあまり日本ではみない練習法で新鮮でした。(40代男性)

2日間のみの特別クリニックでしたが、その中で本当に多くのドリルを展開して頂き、日本の子どもたち、指導者の方々に多くの気づきを与えて下さいました。今回は運営サイドから「スペイン流の練習をたくさん紹介してもらいたい」というリクエストをしていた為、ワンセッション2時間の練習中ずっと上記の映像のような練習を状況設定や参加する人数などを変えながらいろいろと紹介してくださいました。もちろんテレス氏の日々のクラブチームでの練習構成については、ファンダメンタルやシューティング、ゲーム形式など様々な要素を含んだ練習です。

今回のクリニックの最中に特にテレス氏が強調していたことは、これらのドリルは「選手たちが身につけているツール(技)どのように活用するのか、どんな場面で使うべきなのか?それらを伝える為のもの」ということです。ツール(技)だけたくさん身につけてもその使い道を知らなければそのツールを使いこなすことはできません。もちろんツール(技)そのものを伸ばす際に反復練習も必要な場合があるともおっしゃっていましたが、指導者としてこれらのツール(技)を選手たちが自由に使いこなせるように指導していくことがとても大切であると教えて頂きました。

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