新たなステージで輝ける選手になる

今回の主人公は中学1年生になった戸邉優希(とべ ゆうき)さん。小学生卒業までにクリアすると決めて、その目標をクリアした。

獲得できたときはすごく嬉しかったのを今でも覚えています。友達もすでにとっていて、僕もとりたいと思っていたので取れて本当によかったです。

と語る優希さん。エルトラックで過ごしてきたこれまでの時間の中で大きな変化があったそうだ。その変化のきっかけや優希さんのこれからに向けて迫っていく。

『絶対にクリアする』と決めて努力をし続けた

ERUTLUCは『より多くの子ども達がなりうる最高の自分を目指せる環境を提供する』ことを理念に活動している。

ERUTLUCにはスクールで取り組んでいる7項目の技能検定がある。この技能検定は自主練習の延長として、子どもたちが主体的に取り組みながらなりうる最高の自分を目指していくことをねらいとしており、技能検定はそれぞれ初級者向けの7級から高難度の1級までで構成される。すべてをクリアすると星をもらうことができるシステムで、この7つの星に、ある条件を達成すると獲得できる幻の星を加えた8つの星を揃えると、『8スターズクラブメンバー』に認定され表彰されるものである。

その技能検定の取り組みについてまずは伺った。

 「得意だったのはコーディネーションレイアップです。ミニバスのチームでこの練習に取り組んでいて、そこでほとんどクリアしました。苦手だったのはテニスボールドリブルです。テニスボールを投げる時に壁に当てて自分の手元に戻ってくるように投げることが難しくて苦戦しました。

優希さんが所属するミニバスチームでも技能検定の練習に取り組んでいたという。その中でも特にテニスボールに苦戦したという。技能検定の練習をするその当時の様子を伺った。

感染症拡大で体育館も使えず、チームの練習もない日が続いて、エルトラックの練習時間も自主練になった日も多かったです。その時に技能検定の練習をしたり、なにもない日に自分で時間を見つけてやったりしていました。

エルトラックのスクールで自主練習になったときに、その場にいた友達と一緒に話し合いながら協力して練習したことが思い出です。技能検定の内容をどうすればクリアできるのかお互いにアドバイスをしあって取り組んでいました。

感染症拡大により、思うような時間が確保できない中で技能検定の練習に取り組んでいた優希さん。同じスクールに通う仲間と協力をしながら練習をしていたそうだ。

なにもやることがないときには、まずはボールをもつことや動画を見るようにして練習するようにしていました。苦手だったテニスボールドリブルもなかなかできないことが悔しくて、外で2時間ぐらいやる日もありました。

主体的に技能検定に取り組み、日々努力を続けてきていた優希さん。できないことも主体的に取り組むその背景にはいったい何があるのだろうか。優希さんが頑張れる理由とは。

絶対にできるようにしたいという思いがあったので、気持ちが切れないように意識していました。できない技能検定の項目にぶつかってしまったときは、それをずっとやっているとだんだんやる気がなくなってくることがあるので、その時は違うものをやるようにしていました。一緒に取り組んだ仲間の存在も自分の中で励みになったと思います。

このことについて母・友(とも)さんは

負けず嫌いなところもあると思うので、毎日練習をしていたと思います。どうしてもクリアしたいと思っていたことから黙々とやっていました。

と、絶対にクリアするという思いから技能検定のクリアできない壁にぶつかっても努力をし、日々の積み重ねから突破することができたのだろう。そのできないことをできるようにする、努力をし続けるというのを継続することは簡単なことではない。その積み重ねをやり抜くことのできる力が技能検定の取り組みを通して、さらに高まっているのではないだろうか。

自分を信じて今できることをやる

8スターズクラブメンバーに認定されるための条件には技能検定の他にもう1つある。それはエルトラックのスクールに通う子どもたちに配られる冊子『子どものスポーツのすすめ』の内容をアウトプットすることだ。

エルトラックでは、学んだことをインプットしたらアウトプットすることを大切にしている。『子どものスポーツのすすめ』にはスポーツをする選手としてだけではなく、これから社会へ進んでいく子どもたちが大人になっても必要な考え方を学ぶことのできる内容が載っている。この内容のアウトプットを通じて、優希さんが印象に残っているお話を伺った。

『中国の竹の奇跡』という話が印象に残っています。このお話は5年間のうち、最初の4年間は成長しなかったけど最後の1年で一気に成長したというお話です。

この話はこれまでの8スターズクラブメンバーも印象に残っているとあげられるお話だ。自分が上手になっているのか、成長しているのかが見えない子どもたちにとってこれは背中を押してくれるお話の1つだろう。

優希さんはこのお話が大切なんだなと感じたきっかけがあったという。そのきっかけとは何だろうか。

バスケの試合でしたいことができなくて、家でも練習をしてもなかなか試合で発揮することができない時がありました。それですごく悩んでいる時に、感染症拡大でミニバスの練習もエルトラックの練習も思うようにできない時があって、家で今できることをやろうと思って練習していました。左のドライブがなかなかできなくて、特に左手のハンドリング練習をしていました。自粛もあけて試合ができるようになったときに家で練習してたことが試合に生きていて、左に行くことに対して苦手意識がなくなっていた自分に気づいて、その時に『中国の竹の奇跡』の話の大切さを感じました。

感染症拡大に悩まされながらも、今できることを一生懸命取り組んでいた優希さん。それは、『中国の竹の奇跡』のようにいつか一気に竹が伸びるように成長の姿が見られることを信じて、努力し続けることを学んだのだろう。

8スターズ獲得までの日々を近くで見られていた母・友さんは

感染症拡大に伴って練習ができない時に『中国の竹』の話を小学3年生で聞いて、その話を早めに聞いていたからこそ、成長が見える時もあるけど、辛抱強く練習をしないといけない時もあるよねと話した時もありました。コロナでいい経験というわけではないですけど、当たり前のことのありがたみを感じるようになったと思います。体育館が使えることや試合ができることが当たり前ではないと感じて、今できることをやる大切さを学べたと思います。本人も今できることをやろうという意識が芽生えて、苦手を克服するために左手の練習をやっていたので、そういった今できることはなにか考えて、努力をすることができたことが8スターズ獲得につながったと思います。

何事も吸収し、自分のものにする

ここからは優希さんがエルトラックと出会ったきっかけやスクール・クラブチームを通して学んだことを伺った。

エルトラックを知ったきっかけについて母・友さんからは

エルトラックを知ったきっかけは、もともとミニバスチームには兄と姉も所属をしていて、慣れた環境で一緒に体育館へ行くことには慣れていました。ですが、初めて会う人や慣れていない環境が苦手な子なので、好きなバスケを通してだったらチャレンジしてくれるかなと思ったのと、違う環境でいろんなコーチに教えてもらうのも勉強になると思い、通い始めました。

スクールに入会した当初について優希さんは

最初は、初めての場所が本当に苦手で緊張して泣いたこともありました。その時にスクールのコーチが話しかけてくれて、少しずつ練習に入れるようになってそこから通えるようになりました。H4H(クラブチーム)に入った時も周りの人たちが上手で、自分がこのままやっていけるか心配をしていた時に、もともとミニバスのときにも先輩だった人がH4Hにもいて、話しかけてきてくれました。そのおかげで練習に入れるようになりました。

スクールではいろいろなコーチや選手とできて、スキルも多く身につけられて、それをミニバスでも活かすことができて、上手になっているのを感じて楽しいなと思っていました。

始めは緊張で思うように練習に入れなかったという優希さん。その場にいたコーチや仲間からの励ましによって、打ち解けていったという。優希さんがエルトラックの練習会で意識して取り組んでいることがあるようだ。それは一体何だろうか。

常にスクールで学んだことはできるようにして、ミニバスの練習で使ってみようとしていました。できないこともありましたけど、どうやったらできるようになるのか考えながらやっていました。練習すればするほど、周りも上手になるから自分も意識をしてできないものをできるようにしたり、苦手なことを克服したりするようにして上手にしようと思っていました。

スクールで学んだことを他の場所でも活かそうとする素直さと挑戦する勇気はとてもすばらしいものである。自分の課題を分析、そして理解し、一生懸命向き合うその姿は周りの選手にも良い影響として広がっていくだろう。そんな良い影響の輪が優希さんから広がっているのではないだろうか。

不安な気持ちが分かるからこそ、自分にしかできないことをする

エルトラックとの出会いでバスケットだけでなく、人として大切なことも学んだという。

エルトラックとの出会いが優希さんのバスケットや人柄にどんな変化をもたらしたのか。

練習会でコーチが説明してくれたポイントを意識して練習することの大切さを学びました。印象に残っていることは、自分のしたいプレーをするのではなく、相手の位置を見てプレーすることです。これを意識するようになってから、うまくいったプレーもたくさんありました。他にもH4Hに新しく来る選手がいるときに、その子も緊張しているだろうなと思って、自分から話しかけることの大切さを学びました。始めは、自分も新しい環境に入ることができなくて、なかなか練習に参加することができませんでした。でもその時のH4Hの先輩に声をかけてもらったように今は自分がそうやって不安な気持ちをもっている新入生に声をかけるようにしています。その先輩のように自分もなれるように頑張っていきたいです。

バスケット面に関しては、自分のしたいプレーではなく、相手の様子をみて判断することの大切さを学んだという。人間性の部分では始めはなかなか新しい環境になれることができなかった優希さん。そこから今では、同じように不安な気持ちを抱える仲間に声をかけて練習に打ち解けやすくなるよう行動しているという。その行動の変化は、優希さんがこれまでの経験から学び、そこから変わろうと思って行動したことにあるのではないだろうか。その変化がやがて優希さんの人格が変わり、運命が変わる。そして、人生の変化へと良い方向へ変わっていくのではないだろか。

優希さんの様子について母・友さんは

H4Hに入ったのが小学5年生の秋頃だったと思います。本当にすごく上手な先輩たちに囲まれていたので、そこで本人も自信があったであろうバスケで初めて心が折れたと思います。それもあって体育館の中に入れないこともありました。その時に現在高校2年生の小関渉真(こせき しょうま)くんという先輩が話しかけてくれて、自分も練習をするために来ているはずなのに、話を聞いてくれたことがありました。話が長くならないようにコートに戻っていいよと話したらすぐ水野コーチを呼んできてくれて、水野コーチも話を聞いてくれました。そのことがあったからこそ、本人も練習に参加することができたと思います。

そういった選手としてだけでなく人柄も素晴らしくて、温かい人達が集まっていると思うので、バスケットだけでなく人間性の部分も学びになるクラブだなと思っています。本人もその日のことがきっかけで頑張れていると思いますし、コート外でもコート内でも応援される選手になるように意識をして行動をするようになったと思います。今では、本人も不安な気持ちで入ってくる後輩のために話しかけるようになったんだと思います。

頼られる選手になるために

終盤は優希さんのバスケットボール選手としての目標やこれからの夢について伺った。

エルトラックを通じて、人柄の変化やバスケットボールの見るべき視点を学んだ優希さんが持つ目標や夢は何だろうか。始めはバスケットボール選手としての優希さんの目標について迫る。

バスケットの方では得意なプレーであるドライブを活かしていきたいです。ディフェンスを見てプレーを使い分けています。ボール運びもしているので、ドライブには自信があります。これからの課題としては、ドライブ後のボールの位置や状況判断です。ドライブして、ヘルプディフェンスが来ているのにシュートまで行ってしまって、パスが良かったなと思うことがあるので、そこを直していきたいと思います。

ドライブが得意な優希さんは次の課題と向き合っている。それはバスケットボールのように相手に応じてスキルを変える必要があるもの、状況に応じて判断をしなければいけないという難しさでもあり、バスケットボールの面白さでもある状況判断が優希さんの次なる課題である。

憧れている選手がいて、市立船橋高校出身で現在大学1年生の髙宮大翔(たかみや つばさ)選手です。点を取りに行く姿勢や技術がすごかったり、厳しい場面でも自分でこじ開けることが多くて本当に憧れています。兄がこの選手と同じ中学校でその時に知って、そこからずっと憧れています。

優希さんの強みでもあり、課題でもある部分に対する参考となる選手、バスケットボールのプレーにおいても試合に挑む姿勢としても参考になる選手であろう。そんな優希さんは将来どんな選手になりたいと思っているのだろうか。

大翔選手のようにどんな時でも自分が点を取るという姿勢を大切にして、周りの人から頼られる選手になりたいです。今まで関わってきた先輩たちのように頼られる選手になります。そのために上手な選手のプレーをみて、まねをしながら自分の強みをいかしていきたいです。

これまで優希さんに影響を与えた選手たちのように、優希さんも周りの選手へ良い影響を与えられる選手、頼られる選手になるように日々努力をしている。そのために選手としてだけでなく、人としても成長できるように意識をして行動していることがインタビューを通じて感じることができた。日々自分にできることを一生懸命やったり、さらなる高みを目指して

分析し、行動したりする選手へと成長していくのではないだろうか。

より多くの選手に感動を与える

最後は優希さんのこれからの目標や夢を伺った。

目標は、所属するH4Hだと周りの選手も上手なので、その中でも自分の強みを出して、すごいなと思われるような選手になりたいです。自分で点を取りに行ったりとか、パスを出して周りの選手も活かしながら活躍できるようになりたいです。

そして、将来の夢はプロバスケ選手になることです。ミニバスのチームで自分のプレーを見て周りの方が喜んでくれている様子を見て、これからも自分のプレーでより多くの人に喜んでもらって、感動を与えたいと思っているので、プロ選手という夢を叶えていきたいです。そして、プレー以外でも周りの人たちに思いやりの心を持てる選手になりたいです。

所属するチームで自分の強みを活かして、目標に向かって進んでいくと語っていた優希さん。そして、優希さんのプレーで多くの人たちに感動を与え、応援される選手になるようにこれからの毎日を過ごしていくのだろう。コツコツと努力を積み重ね、今の自分に何が必要なのか、そして何を練習すべきなのか考えられる優希さんは夢に向かって、1つ1つ階段を登っていくのではないだろうか。

将来の優希さんについて母・友さんは

これまでの技能検定の練習やスクールで、感染症拡大でできなかった時間で学んだことは今できることを一生懸命行うことだと思っています。それを踏まえて、周りへの感謝の気持ちを忘れないで、今自分が何ができるのかを考えて、行動してくれればいいなと思います。

 

最後にメッセージ

優希さんから8スターズクラブメンバーを目指す選手へ、そしてお世話になった方々へメッセージを頂いた。

8スターズクラブメンバーを目指す選手へ

「『中国の竹の奇跡』のように、ぜんぜん成長を感じられないこともあるけど、それでも練習をどんどんやっていけば、成長が見れるようになると思うから頑張って欲しいです。

こせきしょうま先輩

自分がH4Hに入って、不安になった時に声をかけてくれたおかげでやる気を出して頑張れたし、それをあとから入ってくる人たちにもできるようになっています。変わるきっかけをありがとうございます。

水野コーチ

H4Hの時に、水野コーチが話しかけてくれたおかげで練習にも入ることができて、水野コーチの優しさに感謝しています。ありがとうございます。

今まで関わってきたコーチの方々へ

最初は自分がぜんぜん思うようにできないときに、声をかけてくれて練習に入りやすいようにしてくれて感謝しています。ありがとうございます。

PROFILE

名前:戸邉 優希(トベ ユウキ)

生年月日:2010年06月23日生まれ

出身:千葉県千葉市

TEXT_藤田 麗奈

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