
今回の主人公は小学6年生で8スターズ獲得を達成した大畠 大和(おおはた やまと)さんだ。小学校生活最後の1年に獲得することを目指して努力をしてきた大和さん。そんな大和さんのこれまでの頑張りと将来に向けての熱い想いがたくさん詰まった記事になっている。
1番になりたい 強い決心が獲得の糧に
ERUTLUCには練習会で取り組んでいる7項目の技能検定がある。この技能検定は自主練習の延長として、子どもたちが主体的に取り組みながらなりうる最高の自分を目指していくことをねらいとしており、技能検定はそれぞれ初級者向けの7級から高難度の1級までで構成される。それぞれの級の内容をすべてクリアするとその級の星をもらうことができるシステムで、この7つの星に、ある条件を達成すると獲得できる幻の星を加えた8つの星を揃えると、『8スターズクラブメンバー』に認定され表彰されるものである。
はじめに、この8スターズを獲得する条件の一つである技能検定について大和さんに伺った。
「技能検定で得意だったのはテニスボールドリブルです。苦手なものは体幹でした。特に苦手だったのは2級の横向き片足10秒と1級のギャノンプッシュアップでした。」
体幹の2級については、2つ項目がある。1つは身体を横向きにして足元にボールを置き、その上に片足を乗せて、この姿勢で10秒キープするものだ。もう1つは、ボールの上に足を置き、腕立ての姿勢でキープをしているところから仰向けに回転して元に戻るという内容である。体幹の1級の内容は、ボール4つの上に、それぞれ手足の4点を乗せ、ボールに乗った状態でプッシュアップを行うという、バランス能力や体幹など、総合的な基礎能力が求められるものになっている。私たちはこのトレーニングを”ギャノンプッシュアップ”と呼んでいる。これにはこれまで8スターズを獲得してきた多くの選手も苦戦をしてきた。
毎日の積み重ねが必要となる技能検定。大和さんは技能検定をすべて合格するまでに小学4年生から小学6年生までかけて獲得した。長い時間をかけて取り組んだ大和さんのエピソードについてせまる。
「テニスボールドリブルは得意な方でしたが、テニスボールドリブルで難しかったのは、テニスボールは小さくてキャッチの仕方が下からではなく上からキャッチしないといけなかったので、そこには苦戦したこともありました。1度、クリアの回数を本当は3回なのに6回と勘違いしていることがあって、それで30分でクリアしていたのに、6回出来るまで練習していたので3時間かかったこともありました。そのおかげでハンドリングが上達したとは思います。」
「苦手だった体幹は2級のところで苦戦しました。2級は2つあるじゃないですか。そのうち、身体を横向きにするものは1ヶ月かけて出来るようになりました。家でテレビを見ながら体幹トレーニングをした時期もありました。
1級のギャノンプッシュアップは、まず腕立て伏せが苦手だったから練習しないといけなくて、毎日お風呂上がった後に腕立て伏せを練習をするところから始めました。そこからボールありにするときに、最初は2個の手のところに置いてプッシュアップをして、次に足を乗せてプッシュアップをして、最後に4個で練習をして出来るようになりました。3ヶ月くらいかかったと思います。」
自分は何が苦手なのか、どう練習していくのか、計画を立てながら取り組んでいた大和さん。1つ1つ段階を作り、クリアに向かってやり抜く遂行力が大和さんを8スターズ獲得へと導いていたのではないだろうか。そんな大和さんの原動力はどこから来ているのだろうか。大和さんを動かしていたものとは一体何だろうか。
「小学4年生ぐらいに始めて、最初はそこまで技能検定に取り組んでいなかったけれど、ちょっとずつ出来てきた頃に目指すようになりました。技能検定の練習をしていて、もう、苦しいって思ったこともありました。腕立て伏せは元々苦手だから疲れたり、嫌だなと思ったりしました。でも通っている新木場教室でまだ、8スターズを獲得した選手が過去振り返ってもいなくて、その中で1番になりたかったから頑張ろうかなって思い練習しました。」
まだ誰も達成したことのないことに積極的にチャレンジして取り組んだ大和さん。失敗を恐れず挑戦できるその勇気、そして1番になりたいという強い決心が大和さんの原動力になっていたのではないだろうか。やりたいと決断をして、その目標に向かって過ごしてきた時間や積み上げてきた努力はきっと大和さんの糧になってこれからも残り続けるだろう。この時の経験が大和さんのこれからの原動力になっていくことを願っている。
「技能検定の練習は公園や練習会で行うことが多かったです。その時はチームメイトやコーチたちに協力してもらって、コーチたちが僕の苦戦している時に色々とコツを教えてくれました。そして、できるようになったものもありました。多くの人が手伝ってくれて、そのおかげでクリアできたと思っています。」
多くの人が大和さんの取り組みに応援をして協力したり、支えてくれていたのだろう。それは大和さんの頑張りや姿勢が影響して周りの人たちを動かしていたのではないだろうか。そんな魅力あふれる選手に大和さんはなっているのだろう。これまでの努力をぜひ、自信に変えてこれからも頑張っていってほしい。
目指すリーダー像を教えてくれた
8スターズクラブメンバーに認定されるための条件には、技能検定の他にもう1つある。それはエルトラックの練習会に通う子どもたちに配られる冊子『子どものスポーツのすすめ』に書かれている内容をアウトプットすることだ。
エルトラックでは、学んだことをインプット(知ったり、学ぶこと)したり、アウトプットしたりする(誰かに話す)ことを大切にしている。『子どものスポーツのすすめ』はスポーツをする選手としてだけではなく、これから社会への貢献や活躍に向けて成長していく子どもたちが大人になっても必要になる考え方を学ぶことができる。その内容をアウトプットすることを通じて、大和さんが印象に残っている話や学びになった話は何だったかを伺った。
「印象に残っているお話は『リーダーシップはキャプテンだけが発揮するもの?』という話です。1番この話が響いたと感じています。」
『リーダーシップはキャプテンだけが発揮するもの?』というお話は、リーダーの役割を持った人だけがリーダーシップを発揮するのかどうかについて書かれている内容である。大和さんがこの話を聞いて印象に残った部分を伺った。
「キャプテンだけがリーダーシップを発揮するのではなくチームみんなでリーダーシップを発揮するというところに、最初自分にはそういう考えがなくて、びっくりしました。みんながリーダーシップを発揮したら1人1人の意見でバラバラになるんじゃないかなと思っていました。でもこの話を聞いてから、チームとして本当のリーダーシップはwin-winを考える選手、だからリーダーシップを発揮する人が何人いても大丈夫ってことが分かり、学びになりました。」

エルトラックで考えるリーダーシップとは単に引っ張るというようなことではなく、相手のことを理解して、チームとしてのwin-winが考えられたり、責任感があり、自分で決断したことにけじめがつけられる選手のことを指している。1人よがりではなく、仲間と共に決めた目標、目的に向かって進むことのできる選手かどうかが大切であると考えている。この話を聞いて学びになったと語っていた大和さん。この話を聞いてから大和さん自身の行動にも変化が現れたという。一体どんな変化が現れたのだろうか。
「自分が所属しているチームでキャプテンをしています。そこで『みんなも僕を支えてほしいからみんなで支え合おう』みたいなことは言いました。前の世代のキャプテンも自分が引っ張っていかなきゃと行動していて、そんなものかなと思って自分も同じように引っ張っていました。この話を聞く前は、僕も間違えることがあるから、それでみんなが自分の意見に納得してない時期もあり、チームの雰囲気が悪いこともありました。でもこの話を聞いて、リーダーシップはみんなが発揮するっていうことで全員が意見を言って、僕はみんなの意見をまとめて動かしていけばいいかなって今は考えられるようになりました。そうすると、チームの雰囲気が良くなったと思います。」
全員でチームを作っていく。その為に、お互いに協力をする雰囲気やその環境を作っていく。この行動を話から学んで実行に移している大和さん。この意識をもった選手が集まるからこそ、良いチームへと構築されていく。それを実体験で取り組んできた大和さんはこれからも頼られるリーダーとして活躍していくのではないだろうか。
「僕は自分のプレーでイライラしたり、チームに悪い影響をあたえたりして悩んでいたときに、この『子どものスポーツのすすめ』を読んで自分のことだけじゃなくてチームのことも考えられるようになりました。この本を読むことで色々と僕は支えてもらっていて、助けになる本です。」
8スターズ獲得までの取り組みを近くで見られていた母・絵梨子(えりこ)さんは取り組みの中で印象に残っていることを話してくれた。
「一生懸命練習をやっていて、でもやっぱりできなくて、すごくイライラしたり、泣いたり、『もうできない』って思っていたりしたこともあったと思います。新木場教室でのファンファンクラスという低学年のクラスで、2年生か3年生ぐらいの時、当時関わって下さったコーチに『できないなんて言わない』って『できないっていう言葉を使わないように』って言われていて、それを思い出し、『できない』と言わないようにしていました。でも、できないことが悔しくて泣くこともありました。外で自主練習していると日も落ちてくるので、帰るよと言っても、もう1回もう1回といって暗くなるまで練習をしていました。それが印象に残っています。」
安心して挑戦できる場所
ここからは大和さんがエルトラックと出会ったきっかけ、そして大和さんが通うスクールでの思い出や学んだことについてまとめていく。
はじめに、大和さんがエルトラックの練習会に通い始めるようになったきっかけを母・絵梨子さんが語ってくれた。
「お兄ちゃんが先に通っていて、そこについていき、保育園生の時から端でドリブルをしていました。そこから教室に入れる年齢になって新木場教室に通うようになりました。」
兄と共に体育館へついて行き、幼い頃からバスケットボールに触れ、教室の様子も見ていたところから始めた大和さん。
そんな新木場教室での楽しかった思い出について伺った。
「楽しい思い出はたくさんあります。お楽しみ企画とかシュート対決とかはもちろん楽しいし、コーチから教えてもらって、自分のできなかったことができた時も楽しかったです。そして8スターズも獲得できて、新木場教室の時間自体が楽しいです。バスケをはじめてすぐは、ドリブルのスキルでレッグスルーもできなかったけれど学年が上がっていってできるようになり、いろんな技が習得できて嬉しいです。最近だと、フックシュートが苦手だったけど練習して上手くできるようになって、今は実際にプレー中に使えています。そういった変化があることが何よりも楽しいです。」
様々な思い出が大和さんの中で、大切な出来事として記憶の中に残っているのだろう。変化が楽しいと言っている大和さんは普段から挑戦することを忘れず、バスケットボールと向き合い、積み重ねの中で技術を習得していっているのではないだろうか。その素直さは大和さんの成長の後押しになっているのだろう。
新木場教室に通ってきた大和さんがこれまで過ごしてきた中で、学びになったこと、得られたものは何なのだろうか。
「人として学んだこととスキル面で身になったものがあります。1人の選手として、荷物を綺麗にすることや違うチームの同級生たちと関わることは自分にとって学びの多いことでした。試合で会う人達と一緒に練習をして、ライバルでもあり仲間でもある人たちと出会えました。他にも自分1人の考えじゃなくて、みんなの考えをちゃんと聞いてあげるっていうところもそうですし、みんなで協力して取り組むことの大切さを学びました。

また、スキル面では1対1に自信がもてるようになりました。ズレを作って、その隙間でアタックすることが一番磨かれたと思います。どんな相手に対しても戦えるスキルを身につけられていると思います。」
人としてもバスケットボール選手としても成長する場所として教室が存在していた。週1回で行われる教室で新たな発見や考え方を得て、残りの6日間で習得、レベルアップさせる。その積み重ねを意識的に行った結果、様々な経験や知識を糧にレベルアップしているのだろう。小学生時代ずっと通ってきた新木場教室での思い出や時間を胸にこれから新しいステージに向かって羽ばたいてほしい。
母・絵梨子さんは
「長男の送り迎えをするために大和も小さい時から一緒に連れて行っていたところ、ちょうど大和が1年生に上がる時にファンファンクラスができてそこに入れさせてもらいました。もう行くのが当たり前というか、1週間のローテーションの中にあるのが、この新木場教室でした。時々疲れて今日は行きたくないなみたいな日もありましたが、1週間のうちに楽しみにしている日でもありました。とにかく、自分が思うようにうまくできないとイライラする子なので、イライラしているのが目に見えて分かります。それが、練習の帰り道にニコニコの時とイライラの時と様々でした。その繰り返しの中でレベルアップしていったのだと思います。安心して色々なことにチャレンジできるような時間になっていましたし、その上で嬉しかったり悔しかったり、そんな時間が大和にとって有意義な時間だったと思います。」
自分の決めた道を信じて進み続ける
最後は大和さんのこれからについてまとめる。小学校を卒業し、新年度から新しいステージとして中学生になる大和さん。そんな大和さんのバスケットボール選手として、人としてのこれからについて伺った。
まず、現状の大和さんについてこう答えた。
「得意なプレーは、自分のドライブから仲間にパスしてアシストすることです。課題としては、ドリブルをもっと強くつくことです。手からボールが離れている時間はボールをコントロールできない分、相手に取られやすいから、強くすれば吸い付いてきて手のひらにある時間が長くできるようにしたいです。まだドリブルが弱いと思うから、そこをちゃんと強くして、取られないように練習しています。日頃の練習から意識をして積み重ねていきたいです。」
自分でアタックしながら、仲間を活かすプレーを得意とする大和さん。その得意なプレーをより磨くために自分の課題を設定している。そんな大和さんの憧れるバスケットボール選手とは一体誰なのだろうか。 また、その選手のどこに憧れているのだろうか。
「憧れの選手は河村勇輝(Bリーグ 横浜ビー・コルセアーズ所属) 選手です。 身長が大きくなくてもアタックしたりチャンスをパスでうまく作り出したりしているところに憧れています。 またパスも上手でドリブルも強くてスピードもあるところも憧れています。 見ている人を魅了させるようなプレーを僕もできるようになりたいです。 」
日本代表として活躍する河村勇輝選手。 見ている人に感動を与え、憧れられるようなプレーを目指して、大和さんは日々の練習に励んでいるのだろう。 自分だけではなく、チーム全員が活躍できるようにコートの上で中心選手として活躍していくのではないだろうか。 そんな選手に是非なってほしい。 そんな大和さんが目指すバスケットボール選手像とは一体何なのだろうか。
「見ている人に夢や希望を届けられる選手になりたいです。河村選手も身長が小さいからといって諦めるのではなく、チームを引っ張ろうとプレーしていたから、僕も諦めないで頑張っていきたいし、 次は自分が良い影響を与えられる選手になりたいです。」
バスケットボールに限らず、 スポーツを通じて夢や希望を感じている人は多いはずだ。 きっと大和さんもその1人だろう。 大和さんは現日本代表や周りにいるバスケットボールをする選手たちから貰った夢や希望を、周りで応援してくれている人や次の世代へ届けていく。そんなバスケットボール選手として 1つ1つの階段を上り、 目指すバスケットボール選手像へと近づいていくだろう。 これまでの経験を糧に自分を信じて進んでいってほしい。
最後に、小学校生活に節目を迎え 、 中学校生活へと新たなスタートを切る大和さんのこれからの目標について伺った 。
「中学生になったら、周りも身長が大きくなったり、 自分も体格が変わったりすると思うので、小学生の時とは雰囲気が変わると思っています。 まずはその環境に慣れることから始めて活躍できるように頑張りたいです。 東京選抜にも選ばれたいと思っているので、努力していきたいです。 そして、将来はプロバスケットボール選手になって、憧れの河村勇輝選手と一緒に日本代表選手に選ばれたいです。 そのためにも課題のドリブルをもっと強くしていきたいですし、 1人でいくら頑張っても コートにいる仲間と協力できなかったら良いプレーができないと思っていて、バスケットボールはチームスポーツなので、協力する力、仲間とのコミュニケーションも磨いて、人としても成長していきたいです。」
大和さんの将来について、母・絵梨子さんは
「バスケットボールを嫌にならないで楽しく続けてもらえたらいいなと思っています。ここまで頑張ってきているからこそ、ずっと好きでいて欲しいですし、それに向けてサポートするだけだと思っています。 バスケットボール経験者でもないですし、できることも限られていますが、本人のメンタル面で、励ましの言葉や支えになるようなことをしていきながら、スキル面やスポーツ選手としてのメンタル面に関しては、これからもエルトラックさんにお任せしたいと思っています。ご飯を作ったり励ましたりしかできませんが、これからも応援していきたいです。」
身近にいる家族や仲間の存在は、きっと選手を強くしていく。 大和さんも愛のこもったエールを受け、 これからも成長していくのだろう。これから先、苦しい時間や葛藤はつきものだ。そのことを忘れず、 一つ一つの出来事を楽しんで大和さんらしく挑戦し続ける人であってほしい。失敗したとしても諦めず、成功するまでやり続ける。 失敗から学び、そこから新たな道を切り開いていく選手として成長していくことを心より願っている。
最後にメッセージ
最後に大和さんからお世話になった方々へ 、8スターズ獲得を目指す後輩たちへ、それぞれにメッセージをいただいた。
・家族へ
「僕のために、いつも時間を使ってくれて、応援してくれてありがとうございます。」
・エルトラックのコーチへ
「僕は1人ではここまで来れなかったです。コーチ達のおかげで、コツや方法を教えてもらってここまで来れたと思うから本当に感謝しています。ありがとうございました。」
・チームメイトへ
「バスケは個人戦じゃないから協力しないといけないと思っています。それで僕を支えてくれてて本当にありがとうございます。」
・8スターズ獲得を目指す後輩たちへ
「毎日練習をすること、絶対に諦めないっていうことを大切に頑張ってほしいです。」

名前:大畠 大和(オオハタ ヤマト)
生年月日:2011年05月18日生まれ
出身:東京都中央区