今回の主人公は小学5年生の鈴木和奏(すずき わかな)さん。
和奏さんは空いた時間があるとシュートやドリブルの練習をするほどバスケットに夢中になっている。そんな和奏さんの8スターズクラブ受賞までの出来事や将来の目標などを伺った。未来に向けた熱い想いが伝わるインタビューを記事に起こした。
支えられ、獲得した8スターズ
8スターズの受賞は技能検定の合格と冊子のアウトプットが条件となっている。まず、技能検定については、7種の項目がそれぞれ7級から1級まである。中にはクリアするのにとても時間のかかるものもあり、これまでの受賞者も努力をして合格をした。和奏さんの技能検定の取り組みやそのときの思い出を伺った。
「得意だった項目はテニスボールドリブルでした。ですが、3級から難しくなり、たくさん練習をしました。苦手だったのは、2ボールのコーディネーションレイアップです。特に1級が難しかったです。それを合格するのに2週間ぐらいかかって大変でした。」
得意だったものでもたくさん練習をして合格することができた和奏さん。同じものを2週間練習し続ける「達成したい」「上達したい」「バスケが好きだ」という想いの強さが結果に現れている。その当時の練習の様子を伺った。
「練習は家や体育館で行うことが多かったです。体育館で練習するときはだいたい2時間借りて練習します。30分で検定の練習を終わらせてシュートの練習をしようといつも計画を立てて行きます。ですが、2時間ずっと2ボールのレイアップをすることもありました。」
その時一緒に体育館に行っていた母・美津(みつ)さんは
「娘(和奏さん)は器用な方ではなかったので、何回も練習していて、借りていた2時間が終わって『時間切れ』だと伝えたのですが、『できていないからまだ』と娘が泣いたり、私も怒ったりして、それでも一緒に協力しながら乗り越えていきました。」
と、お母さんと切磋琢磨しながら取り組んでいたことがよく伝わる。その努力の汗と涙があったから、8スターズクラブの受賞につながったのだろう。クリアできないものを絶対に諦めなかった和奏さん。練習をし続けることができる和奏さんの背景にはいったい何があるのだろうか。
「なかなかできなかったときもありましたが、諦めることは考えてなかったです。姉がプレミアムキャンプに呼ばれていて、それを見ていて私も行きたいとの思いで一生懸命取り組みました。
また、同じチームの先輩である内田七星(ウチダナナセ)さんも一緒に8スターズクラブをとろうと練習をしていたので、そんな存在があったから頑張ることができたと思います。」
内田七星(6年生)さんは和奏さんと同じ時期に8スターズクラブを受賞した選手である。和奏さんの身近に目標とする人や一緒に頑張れる仲間がいたからこそ、努力をし続けることができたのだろう。
学んだことを体現する
8スターズの受賞のために達成しなければいけないものの1つである、『子どもスポーツのすすめ』という冊子に書かれている内容のアウトプットを行うことが受賞の条件となっている。その冊子の内容の中で印象に残った話を伺った。
「印象に残っている話は3つあります。『大事なことを優先する習慣』『記号の世界で戦わない』『成功のピラミッドの勤勉さ』です。」
それぞれの話で印象に残っている理由を語った。
「『大事なことを優先する習慣』は、この話を聞いてから第一領域と第二領域を考えて行動するようになりました。学校から帰ってきて自主練をしたいときに第一領域の宿題を早く終わらせないと、第二領域の自主練ができなくなるので話を聞いてからはそのように意識して行動していました。雨が降ると外で自主練ができなくなるので先に宿題をやっておいてというふうに考えられるようになりました。」
この話に出てくる「第一領域、第二領域」とは、重要度によって行動を振り分けることができ、重要なことかつ緊急であるもの(宿題、病気など)ほど第一領域に入ってくる。第二領域は緊急ではないが重要なことを指し、自分の成長につながるもののこと(自主練、毎日の勉強など)を言う。
バスケットボールの選手として、この第二領域を大切にするために日頃どう過ごしていくのか考えるお話である。
「『記号の世界で戦わない』では、このユニフォームを着ているから強豪に思って弱気になるのではなく、同じ年の人だから自分を信じて戦いましょうという言葉がすごく印象に残って、勇気をもらってもっとがんばろうと思えるようになりました。」
このお話は、記号に左右されて弱気になることはないといった、バスケットボールをする選手たちの背中を押すメッセージが込められており、このお話に勇気をもらった選手は多い。
「『成功のピラミッドの勤勉さ』はただひたすら努力する。それだけの意味である。という言葉のとおりに毎日ひたすら練習するだけで、これは検定のところでも意識して行うようにしました。」
このことについて、母・美津さんは
「検定を練習するのに、ずっとやり続けるんです。私がやめようといってもやってしまうくらい練習をずっとしていて、昨日までできてなかったのに、急にできちゃうのでそこに驚きました。背も手も小さいので検定の内容も苦戦していたと思うんですけど、よく頑張っていて、クリアすることで自信につながっていると思います。」
それぞれのお話をただアウトプットするだけではなく、自分の糧にして、コツコツと努力を続けてきた和奏さん。その背景には、「バスケットを上手になりたい」という強い意志があり、その意志が和奏さんの成長につながっている。
たくさんの刺激を得た場所
ここからは和奏さんがエルトラックの練習会に参加するようになったきっかけや、練習の中で学んでいることを伺った。
「きっかけは3個上の姉がもともと参加していて、それを見たり、プレミアムキャンプに呼ばれているのを聞いてそこに入りたいと思いました。バスケットは小学2年生から始めていましたが、4年生からしか入会ができなかったので、そこまで待って入りました。始めは小学4年生のときに1つのスクールに通っていました。そこからもっと上手になりたいと思い、今では2つのスクールに通っています。」
お姉さんの影響で始めたバスケットボール。今では、2つの練習会に通いながら、大好きなバスケットに打ち込んでいる。和奏さんは、もっと上手になりたいという言葉をよく言っていた。エルトラックでの練習が和奏さんにとって刺激になっているのだろう。そこで何を学び、どんな刺激をもらっているのだろうか。
「木曜の練習会では、コーチのドリブルの技術が上手で想像しやすく説明が分かりやすかったです。難しそうに見えるので不安ではあったけれど、見本がとても上手で、実際に見せてくれるから、どうすればいいのか観察しながら技を身に着けやすかったです。細かく指摘もしてくれるので、自分の成長につながっています。
ここで練習したことはすぐには出来るようにならないこともあるので、自主練のときに練習したり、ミニバスの試合でも意識して使ったりするようにしていました。人数が少ないので丁寧に見てくれて嬉しいです。」
木曜日の練習会では、個人技について磨いている。毎回の練習で技術に磨きがかかり、和奏さんにとって自身の技術を成長させてくれる場になっている。そこで新たな刺激をいれて、また次からの練習に励んでいる。
「火曜日は人数が多い中で練習するので、上手な選手のプレーが見れたり、真似したり一緒にプレーしたりするのが刺激になっています。ここでは、主にチームとしてどう動くのかといった部分を教えていただくことが多いので、そこで周りの選手のためにどう動くのかを身につけることができています。」
火曜日の練習会では、人数の多い中で同年代の仲間達と切磋琢磨をして練習に励んでいるという。その時間は和奏さんにとって、もっと頑張ろうと思える場所や空間になっているのだろう。その中でもっと上手になれるように磨きをかけている。
練習会の様子について、母・美津さんも
「水野コーチは試合での動きを指導してくださるので、火曜はゲームとしてどうプレーしていくのかを教えてもらい、木曜日は個人スキルとしての内容を教えてくださっています。どちらもバスケットにおいては必要なことだと思うので、とても充実した時間になっていると思います。」
「始めてすぐは楽しいでやっていたのですが、5年生で初めて高学年のキャンプに参加したところ、誰とでも仲良くできる子どもと会う機会が本当に刺激を受け、コミュニケーションの重要性を感じています。なかなかまだ出来ていないですけれど、初めて会う人ともコミュニケーションを取らないといけないと気づいていると思います。
ミニバスでも新入部生の子たちに話しかけるようになって、コミュニケーションをとるようになっていて変化していると思います。」
どんなことにおいても成長する
ここからは、和奏さんのこれからについてまとめていく。まずバスケット面において、これからの目標を伺った。
「得意なプレーは、ドライブです。検定の体幹をするようになってから、ドライブのときに体格差があっても当たり負けすることが少なくなり、さらに自信が付きました。リバウンドも体を当てていけば背が小さくても点数を取れることに気づいて、そこも自信に変わりました。」
と、日頃の練習会での積み重ねが和奏さんの自信につながっており、新たな発見と成長の糧になっているだろう。
「これからの課題として、ディフェンスの足の動きをもっと速くして、どんなスピードがある相手でも止められるように頑張りたいです。体は強くなったので、足ももっと鍛えてディフェンスを鍛えていきたいです。
また、状況判断がなかなかできないことも課題です。試合も出始めているのですが、まだ少しなので経験が少ないです。もっと経験をして状況判断ができるようになりたいです。これからは一回り大きい選手とも戦わなければいけないと思うので、どんな選手にも負けないように磨いていきたいです。」
オフェンスでの成長があるからこそ、ディフェンスでどんな相手も止められるように成長したいと思っているのだろう。どんな選手にも負けないと日々の練習を努力する和奏さんの心の内に秘めるものはいったいなんだろうか。
「火曜日の練習会の日は、隣でH4Hに入っているお姉さんたちが練習をしているのをよく見ています。そこに私も入りたいと思っているので練習を頑張っています。目標が叶えられるように努力していきたいです。そのためにも、1on1が強い選手になって、技の種類もたくさんもち、攻めも守りもできる選手になりたいです」
いつも横で練習している憧れの先輩たちの姿に感化され、目指すようになったという。その目標があるからこそ、どんな選手にも負けないと強い意志をもつことができているのだろう。現在小学5年生の和奏さんにとって、この目標は毎日努力をするための活力となり、日々の練習につながっている。
叶えたい夢にむかって
前述での高校生までの目標にあわせて、和奏さんはバスケットボール選手としての夢がある。それは一体なんだろうか。
「将来はプロのバスケット選手になりたいです。尊敬する選手は現ENEOSサンフラワーズ所属、宮崎早織選手です。宮崎選手みたいにドライブのスピードやコートの中で走り回るプレーをみて、私も常に走り回り、チームを引っ張ることのできる選手になりたいです。」
中学、高校と進んだ先には、プロの選手へという大きな夢が和奏さんの背景にはある。その夢に向かって、日々努力を積み重ねているのだろう。
和奏さんの将来について、母・美津さんからは
「バスケットの選手になるのもいいけど、どの道に進んでもコミュニケーションはどこでも生きることなので、それは大切にして、挑戦を忘れないようにしてほしいです。将来はバスケット選手になるのもいいし、なってくれたらうれしいですけど、人とコミュニケーションを取ることはどの社会に出ても生きることだと思うので、いろんなことに挑戦したり、人との関わりを大切にできる人になって、何の道に進んでも大丈夫なようになってほしいなと思います。」
日々の練習で刺激をもらい、日々挑戦し続けている和奏さんはきっと自分の目標を叶え、有言実行できる人へと成長していくだろう。そして、和奏さんの目標や夢を私達は心から応援したい。
最後にメッセージ
水野コーチへ
「水野コーチが、練習中にとても簡単な言葉でぽんっと伝えてくれるアドバイスがとてもシンプルでわかりやすく全然違うプレーに変わる事ができます。これからもっと成長していくので見ていて下さい!よろしくお願いします。」
板橋コーチへ
「板橋コーチには4年生になって初めてスクールに行きだして、コーチのスキルやドリブルの上手さにとてもびっくりしたのを覚えています。体の使い方を丁寧に教えてくれて、私も板橋コーチみたいにスキルをもっと磨いていきます。ありがとうございます。」
これから8スターズ達成を目指す選手へメッセージ
「あきらめないで練習をしてほしいのと、勤勉さが本当に大切なので、その2つを意識して頑張って欲しいです。」
最後に
「検定を練習して、クリアしていくうちに小さな自信になっていったので、頑張ってきてよかったと思っています。今は、中学生になってH4Hに入りたいと思っているけれど、その前に、今いるミニバスで今年は貢献できるようになりたいです。これからもっと成長できるように努力していきます。関わってくださった皆さんありがとうございました。」
名前:鈴木 和奏(スズキ ワカナ)
生年月日:2012年1月25日生まれ
出身:千葉市