近くて遠い目標の存在を超えていく

今回の主人公は小学6年生の石 虎大(せき たけひろ)さん。

虎大さんは5年生の9月から8スターズクラブの認定を目指し、練習をやり始めて6年生で見事8スターズを達成した。

8スターズの達成が決まったときには「すごく嬉しかったです」とおっしゃられていた。

虎大さんが8スターズを獲得するまでの背景やこれからについてまとめた。

決して諦めない心の原動力

 8スターズクラブに認定されるためには2つ達成しなければいけないことがある。それは技能検定のクリアと「子どものスポーツのすすめ」という冊子に書かれている内容のアウトプットである。

まず、技能検定の取り組みについて伺った。

この技能検定は7級から1級まであり、バスケットのスキルに合わせて、体幹・柔軟といった基本的運動の向上を図るための内容も含まれている。

それらの項目をすべてクリアした選手にのみ7つ星を獲得することができ、そして冊子のアウトプットを達成した選手が8スターズクラブの一員となるのだ。

技能検定の中ではテニスボールドリブルが得意でした。もともとドリブルが得意なので、スムーズにクリアできたと思います。

でも、検定の中でもカップリングスキップが苦手で、1・2級のスキップがなかなか出来なかったです。分からないときは映像を見てやっていたのですが、それでも難しかったです。

虎大さんが挙げていたカップリングスキップとは、足のスキップと拍手を組み合わせたり、またボールを回したりする内容で、これまでにもこのカップリングスキップに悩まされたと答えた選手は多かった。

 その当時に練習に取り組んでいたエピソードを伺った。

テニスボールドリブルは近くの公園で練習していて、そこに行くときはお母さんと一緒に行って手伝ってもらいました。カップリングスキップの練習はミニバスの練習が始まる30分前に体育館に行って練習をしていました。苦戦していた1・2級は、そのとき3日間ぐらいずっと練習して、やっと合格できました。

毎回の積み重ねをしっかり行っていた虎大さん。練習の中で、嫌になることもあったようだ。

そんな中、どう乗り越えていったのだろうか。虎大さんの原動力は一体何なのだろうか。

カップリングスキップのときに、なかなかできなかったので悔しいなと思ったのですが、もっとうまくなりたくて頑張ろうと思い、諦めずにやり続けました。

体幹も、1ヶ月ぐらいかかりましたが、できるようになり、諦めそうになりながらも、自分でやる気を出してやり続けました。

と、できないことにも諦めずに取り組み、練習し続けた虎大さん。

もっとうまくなりたいという想いが原動力に変わっていたのだろう。

できなくて悔しいという想いが、もっとうまくなりたいという強い意志に変わり、それが虎大さんの原動力となって、諦めず練習を続けた結果、8スターズを達成できたのだろう。虎大さんの取り組み続けることのできる遂行力はとても素晴らしいものである。

チームのために『わたしが』できること

8スターズ獲得のもう一つ、「子どものスポーツのすすめ」のアウトプットについて、ここではアウトプットの取り組みを通して、虎大さんの印象に残っているお話とそのエピソードについてまとめる。

「子どものスポーツのすすめ」とは、エルトラックが担当するスクールに通う選手一人一人に配布している冊子であり、ここにはスポーツをする選手として大切な考え方やこれからの社会を生きていくために必要な物事の見方を考えるきっかけになる内容など多くのことを学べる冊子となっている。

印象に残っている話は『あなたが、わたしが』の話です。特に『あなたが』だとチームも成り立たないということが印象に残っていています。自分にもつながっていると思いました。

あなたが、わたしが』とは物事を考えるときに、相手の影響でその結果になってしまったのか、私自身の問題でこうなってしまったのか、どちらの視点で物事を考えたほうがよいかを説いている内容であり、ここでの考え方をもとに次のステップへと段階を踏む大切な内容である。

 この話を聞いてから、行動が変わったという虎大さん。どのような変化があったのだろうか。

この話を聞いてからは人のせいにすることがなくなったと思います。チームに所属しているのですが、そこでも励ます声掛けをできるようになりました。他にも友達がシュートを外したときに、ドンマイという声掛けをずっとするようになりました。

誰かのせいにするのではなく、どんなときも自分にできることはないか、チームのために今できる最大限のことはないかを考えるようになったという虎大さん。

それは、『私たちが』という次のステップにつながる行動であり、チームのために今の自分にできることを探し行動する、貢献しようとするその姿勢はチームスポーツをする上で必要不可欠なことだ。

8スターズ達成までの取り組みについて、父・大作(だいさく)さんは

この取り組みをするにあたっての発見としては、改めて、まずはやってみようとすること、失敗してもめげずに、コツコツと愚直に取り組んでいっていて、そこに関しては感心しました。失敗しても毎日やり続けること。股関節も固くて出来ずに悩んでいたので、そこも毎日徹底してストレッチを行ってました。お風呂上がりにずっとやっていて、真面目にやっていたと思います。そして、あまり文句も言わずに、うまくなりたいという気持ちからやり続けていて、そこは感心しました。

 また、この検定の取り組みを通して、ハンドリングに関する上達スピードはものすごく上がったと思います。難しいものも簡単にこなしていて、ボールハンドリングの技術や器用さにはびっくりしました。

バスケットを大好きにしてくれた場所

ここからは虎大さんがバスケットを始めたきっかけやエルトラックとの出会いについてまとめていく。

バスケットを始めたのは小学2年生からです。2つ上の兄がH4H(クラブチーム)に入っていて、そのプレーを見てもっとバスケがうまくなりたいと思い、5年生の6月からエルトラックのスクールに入りました。

エルトラックの練習会では自分より上手な人がいっぱいいるので、その人達を見てもっとうまくなりたいと思いました。練習会の隣でも女子のH4Hがやっているので、その選手たちの練習やプレーも参考に見ています。

新しい出会いがある中で、さまざまな刺激をもらっているそうだ。そんなエルトラックの練習会での出会いや刺激が虎大さんにどんな影響を与えているのだろうか。

1on1が好きで、練習会でも、そこに所属する仲間と一緒に1on1をやっています。上手な選手とやれるので楽しく練習ができています。

また、シュートの練習が楽しいです。ミドルシュートの練習のときは、まだ入らないけれど、好きで、たくさん練習をしています。自主練も自分が空いている時間は積極的に行っていて、自分でメニューを決めてやっていました。

そこに所属する仲間と一緒にバスケットをすることが楽しく、その時間を大切にしているのだろう。バスケットを純粋に楽しむことは、とても大切なことであり、これからも励んでいってほしいと思う。

エルトラックの練習会での様子について父・大作さんは

今通っているミニバスとエルトラックの練習会では練習内容が変わってきます。この年齢でいつも同じ環境にいない同級生と関わるということで、始めは緊張していたと思います。

ミニバスでは通用するプレーも、練習会では上手くいかないことがあるからこそ、本人のもっとうまくなりたいというモチベーションにつながっていると思います。

もっとうまくなる もっと成長する

最後は虎大さんのバスケット選手としてのこれからについて迫る。まずは、どんなプレーを日頃しているのか、もっと上手になりたいと思っている部分は何なのか、伺った。

1on1が好きなので、1on1はもっとうまくなりたいです。

苦手なプレーはリバウンドです。積極的にリバウンドに行きにくく、苦手意識があります。基本的に外でプレーすることが多いので、今後はリバウンドにいけるようにしたいです。

NBA選手のステフィン・カリー選手に憧れていて、スリーポイントシュートとか、ハンドリングもすごいと思います。今はなかなか届きにくい目標ではありますが、将来に向けて練習をしていきたいです。

虎大さんからはもっと上手に、もっと強くなりたいという強い意志を感じ取ることができた。普段の練習からもっと上手になりたいと意識してバスケットと向き合っているのだろう。そう思うようになったきっかけには何かあったのだろうか。

目標があって、いつか兄を超えたいと思っています。バスケットを始めた頃、よく兄に1on1をしてもらっていました。そこで兄を超えたいという目標ができ、そこからもっとうまくなりたいと思うようになりました。

と、身近にいた兄の存在が、虎大さんの努力の糧になり、目標となった。その目標を叶えるために虎大さんは日々努力を続ける。

この目標を踏まえた上で、どんな選手になりたいのか伺った。

試合中に、厳しいプレッシャーをかけられてもボールをしっかり運び、どんな場面でも得点を決められる選手になりたいです。また、スピードや力強いどんな相手も、しっかり止められるようにディフェンスも頑張って鍛えて、すべての面でもっともっと上手になりたいです。

将来に向けて、父・大作さんからもお言葉を頂いた。

バスケットにとらわれずに、自分が興味を持っていることに対して、やり続けていると課題も出てくると思うのですが、ひとつひとつ目的・目標をもって取り組んでほしいです。何のために勉強をするのか?、バスケをするのか?、”なんとなく”ではなく、自分の意思を明確にして取り組んでいけるよう、親としてもサポートできればと思います。

何事も、目標のために、自分の目指すなりうる最高の自分のために日々努力をし続ける虎大さん。

それは簡単なことではないが、虎大さんならやりきるのだろう。それだけの強い想いをこのインタビューでは感じることができた。次のステップへと進んでいく虎大さんのこれからも心から応援したい。

最後にメッセージ

お父さん・お母さんへ

検定を手伝ってくれてありがとうございました。

これから8スターズクラブ受賞を目指す選手にむけて

毎日コツコツとやるとやることが大切なので、諦めずに頑張ってください。

PROFILE

名前:石 虎大(セキ タケヒロ)

生年月日:2010年12月13日生まれ

出身:千葉県千葉市

TEXT_藤田 麗奈

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