今回の主人公は中学2年生の檜垣奏介(ひがき そうすけ)さん。これまでの道のりは楽しかったという奏介さん。達成したときの喜びを語ってくれた。小学5年生の12月から8スターズ獲得にむけて練習を始め、見事それを達成した奏介さんのこれまでの道のりとこれからの目標などについて迫っていく。
「できる」という気持ちを大切に
まず、8スターズについてまとめる。
ERUTLUCは『より多くの子ども達がなりうる最高の自分を目指せる環境を提供する』ことを理念に活動している。
ERUTLUCにはスクールで行っている7項目の技能検定がある。この技能検定は自主練習の延長として、子どもたちが主体的に取り組みながらなりうる最高の自分を目指していくことをねらいとしており、技能検定はそれぞれ初級者向けの7級から高難度の1級までで構成される。すべてをクリアすると星をもらうことができるシステムで、この7つの星に、ある条件を達成すると獲得できる幻の星を加えた8つの星を揃えると、『8スターズクラブメンバー』に認定され表彰されるものである。
始めは技能検定について、奏介さんからエピソードを伺った。
「得意だったのはレイアップ関係です。特にノーマルが得意でした。『スポーツ練習動画サイトSUFU』に入っていて、そこに提出していました。練習に参加している週1回ではなかなかクリアするのは時間がかかると思ったので、多くチャレンジできるようにそれも活用しながら、たくさん提出していました。」
スポーツ練習動画サイトSUFUとは指導者、保護者の方の悩みを解決するための練習メニューなどの情報を提供するサイトで、多くの方に利用されている。その中に技能検定の内容が反映されており、技能検定を受験することもできる。これまでの8スターズクラブメンバーも利用している。
なるべく早く合格するために、できるものから取り組み練習を重ねていた奏介さん。比較的スムーズに合格することができていたと語っていたが、中には時間がかかるものもあったようだ。
「苦手だったのは、体幹の1級(ギャノンプッシュアップ)です。これがとても難しくて、まずボールに乗った際のバランスが取れなくて難しかったです。毎日練習していて、やっと乗れるようになったところで、そこからプッシュアップになって、さらに時間がかかりました。」
技能検定の項目の1つである体幹・柔軟の1級、ギャノンプッシュアップは手足4点にそれぞれボールを用意し、その上に乗る。そこから、その上で3回プッシュアップを行うという難易度の高い内容になる。今までの選手も苦戦した内容としてあげられるものだ。
その内容について練習をしていた際のエピソードを奏介さんから伺うことができた。
「ギャノンプッシュアップの練習をしていた時は、あと1回というところで失敗してしまって、そういうことが何回かあったので、悔しかったです。その日はそのままクリアできなくて、投げ出してしまいました。時間を空けて、もう一度チャレンジをしてクリアできた時は、本当に嬉しかったです。」
なかなかクリアできずに嫌になることもあったと語っていた。その際、練習することに少し抵抗が出ていたこともあったようだが、そこからどう乗り越えていったのだろうか。奏介さんの背中を押したものは一体なんだろうか。
「検定を始めた頃はなかなかできなくて、心が折れそうだったんですけど、だんだんできるようになってきて、少しずつ楽しいと感じることができていました。心が折れそうな時に、自分ならできると思っていて、それで自分の思いを大切にモチベーションをあげました。家族からアドバイスなどをもらいながら、自分の中でモチベーションを保ってやっていました。」
奏介さんは、自分の中でモチベーションをコントロールし、バスケットに向き合えるように取り組んでいた。その姿勢はスポーツをする選手にとって大切なことであり、多くの選手にとって参考になるだろう。
「練習会でも練習開始前に、コーチの前で検定をすることもありました。その時はすごく緊張していて、失敗してしまうことも多かったです。主にレイアップなどの短時間でできるものに取り組んでいました。上手な人達がいたので、その人達をお手本として見ながらやっていて、周りの人達からも足のリズムについてアドバイスをもらいながらやっていました。」
普段の練習会でもコーチや仲間と協力をしながら取り組んでいた。そこでの学びや発見を取り入れ、活かしながら技能検定と向き合っていた。その勤勉さは、スポーツだけでなくこれからの人生においても必要になる資質であろう。上手な人を観察し、自分に取り入れるということの姿勢を技能検定へ取り組むことから学んだのではないのだろうか。
どう心を変えて、行動を変えるか
次は8スターズ獲得のもう1つの条件である『子どものスポーツのすすめ』について伺った。これは、教室に入会すると渡される冊子であり、その内容はバスケットボールをするだけでなく、これから生きていく上で必要な考え方がまとめられている。
その冊子をアウトプットすることが8スターズ獲得の条件である。その取り組みを通して、印象に残ったことや学んだことを伺った。
「印象に残っている話は、『理解されてから理解される』という話です。自分の意見ばかり言うのではなく、相手の意見を聞いてから意見を述べる人はいいリーダーシップを発揮できるという部分が印象に残っています。」
「『サーカスの象』という話も印象に残っていて、この話は、絶対にできないと思うのではなくチャレンジするというところが印象に残っています。」
『理解されてから理解される』というお話は人とのコミュニケーションをする際に、相手の考えや気持ちを理解することで自分の考えが理解されやすくなるというお話である。
次に『サーカスの象』は物事の向き合い方について話しているものであり、できないから入るのではなく、できると捉えて取り組むことが大切になるということを話している内容である。
これらの話から奏介さんは何を学び、どう活かしていったのだろうか。
「小学生の頃、僕が所属していたミニバスチームで、キャプテンだったので、自分の意見を言うことが多かったです。まずは相手の意見を理解してから、自分の意見を言おうと意識して行っていて、積極的に行動してみました。すると、それを意識するようになってからリーダーシップが自然ととれるようになったと感じ、コミュニケーションもうまくとれるようになったと思います。」
奏介さんは自分の立場を理解し、そこでこの話を積極的に取り入れたことにより変化が現れたようだ。それは、行動に移した人だからこそ得られるものであり、その変化があったから、奏介さんはより良い方向へ変えることができたのだろう。
「キャプテンという立場で意見を言うことが多く、チームの一部のメニューをみんなで考えることもあり、自分の意見を言っていると自分だけのメニューになるので、しっかりとみんなの意見を聞いて、自分になかった視点をもらえることもできて、メニューもみんなで決めることができました。」
行動を変えることによって、新しい視点を得られるという相乗効果を奏介さんは実際に体験して、『理解してから理解される』ということの大切さを感じている。
「『サーカスの象』の話については、勉強面で授業中なかなか集中できなくて、悩んでいることがありました。自分が解けない問題は諦めてしまっていました。ですがこの話を聞いてからは、自分でできると思ってやっていたら、難しい問題も解けるようになっていて、まずはチャレンジすることの大切さを学ぶことができました。」
バスケットボールだけでなく、学校においてもこの話を活かし、まずはチャレンジしようという姿勢の大切さを学んだ。それをさらにバスケットボールでも活かし、チャレンジからの学びを蓄えて、より成長していくのだろう。
これまでの様子を近くで見られていてた父・佳孝(よしたか)さんは
「検定に関しては、自分のペースでチャレンジしている印象でした。私の方から『やったら?』というときもありましたが、自分のタイミングでやりたい時にやる、やらない時は休んでと計画を立てていたと思います。結果、ギャノンプッシュアップで、心が折れて、時間が空くこともありましたけど、自分から行動して時間はかかってもクリアできたことが大切だと思います。
冊子については、練習会の始めに読み合わせをするのですが、その話を帰りの車の中でいつも私に話してくれていて、練習後でよく覚えているなと思ってました。また、冊子の内容が子どもだけでなくて、私に通じるものも多く一緒に勉強させていもらっていました。」
チームとして行動する大切さと人間性を学べる場所
次にエルトラックに関わり始めたきっかけやそこから学んだことなどを伺った。
父・佳孝(よしたか)さんから関わり始めたきっかけについて話を聞くことができた。
「小学5年生(奏介さんが)の時に、進路について考え始めました。地元の中学校にはバスケ部がないので、クラブチーム探しや別の中学校に進学など、いろいろと迷っていました。そんな時に千葉テレビでジュニアウィンターカップの県予選の決勝が、放送していてH4Hの試合を見ました。その試合を見て奏介が楽しそうだし、強くてかっこいい。ここに入りたいと言ったので、そこからERUTLUCのスクールを探し始めました。」
H4Hとはエルトラックが運営している、千葉県を拠点にしたバスケットボールクラブチームである。始めはクラブチームに入らず、教室を探して千葉金曜教室に通い始めたようだ。
それに対し、奏介さんは
「始めは千葉金曜の教室に通っていて、いろいろな選手がいて、緊張していました。そこから少しずつ打ち解けるようになって、毎回の練習が楽しみでした。H4Hに関しては、ずっと入りたかったチームだったので、1年越しに叶って本当に嬉しかったです。そこで、千葉金曜のときに仲の良かった友達とトライアウトがたまたま同じ日で心強かったですし、一緒に合格出来て嬉しかったです。最初に行ったときは空気が重いような感じで、緊張していたのですが、先輩や同級生の子達が話しかけてくれて、緊張が解けて、そこからはみんなで楽しく練習をしています。」
千葉金曜教室、H4Hに通いながら奏介さんは多くのことを経験し、学んでいる。奏介さんはエルトラックに関わり始めて何を得たのだろうか。また、得たものからどう行動に変えて活動しているのだろうか。
「バスケットの面に関しては、ドリブルスキルが成長することができたと思います。積極的に1対1も行って、練習の中で、1対1のときにオフェンスとディフェンス表裏でやったら相手を変えるというときにも、自分から声をかけられるようになりました。」
「人間性の部分も学んだと思っていて、特に、挨拶や感謝の気持を伝えることなどをしっかり行動に出すこと、身だしなみを整えたりするようになりました。そういう人としての人間性の部分も教えてくれます。また、H4Hはとても雰囲気が良く、この中で練習していることはとても良い経験だと思います。雰囲気を良くする大切さも学びました。5対5のときとか、みんなシュートが入ったときにすごく盛り上がるんですよ。雰囲気がとてもよくて、その事もあって、自分からも良い雰囲気を作ろうと意識してやっていて、声を出すようになっていきました。」
バスケットボールのスキルはもちろん、人間性の部分も学びになっていたと語る奏介さん。チームとして、自分自身として何を選択し、どう行動することがより良い環境につながるのか、それを身をもって経験している奏介さんは、チームとしてどう行動すべきかを考えられるようになっているのだろう。それが、バスケットボールだけでなく、これからの社会においても必要な考え方だろう。
父・佳孝(よしたか)さんは
「エルトラックの活動に行く前は、内気な性格なので、自分から話しかけるタイプではなかったので、何か変わるきっかけになればいいなと思いながら、練習会に参加しました。知らない子と一緒にバスケットをするのも苦手な感じだったのですが、徐々に変化が出てきて、結果的に前向きになって、自分から声をかけられるようになっていました。またH4H参加してからは、自分から挨拶したり、チームメイトに自分から声をかけるようになりました。H4Hには、お手本になる選手だらけなので、環境が成長につながっていると感じます。コーチや先輩方同級生も、人間性も素晴らしいので、その人達との接点がいい影響を与えてくれていると思います。先日行われた卒部式でも、卒部する先輩方の話す言葉や内容が本当にしっかりして感動しました。この環境で練習できることは本当にありがたいことだと思います。」
憧れられる選手になるために
ここからは、奏介さんのこれからについて将来の夢や目標を伺った。始めは、バスケット選手として、どんなプレイヤーになりたいのかについてまとめる。
「僕はリバウンドからのシュートが得意です。相手を押し込んで、リバウンドをとったり、ボールが落ちるところを予測して動いたりすることが得意で、それを強みと思ってリバウンドにいくことを徹底しています。」
日頃から、リバウンドに関して積極的に取り組み、誰にも負けないという思いでプレーしていると語っている奏介さん。リバウンドはその気持ちが大切であり、日頃から意識しているかどうかで差が出てくる部分であろう。奏介さんは常にリバウンドに対して向き合い、ボールを取りに行こうとしている。
「これからは、ディフェンスやドリブルの強さが課題だと思っています。ディフェンスはウィークサイドが抜かれやすいので、そこを抜かれないようにしたいです。ドリブルの強さはパワープレーする場面が多い分、もっと磨きをかけていきたいと思っています。チームでもディフェンスやドリブルの強さが必要な場面を練習することが多いので、そこで意識的に磨いていきたいです。」
自分の課題を分析し、そこから何を練習していくのか、どう直していくのか考え練習をしている奏介さん。実際に行動に移すところまでしっかりと行えるかどうかで、その後の人生に影響していくだろう。それを行動に移せている奏介さんは、これからもっと成長する選手へとなっていくのではないだろうか。
これからを踏まえて、奏介さんはどんな選手になっていきたいと考えているのだろうか。
「僕はNBAチーム、現MILWAUKEE BUCKS(ミルウォーキー バックス)所属のヤニス・アデトクンボ選手に憧れています。パワープレーからのダンクといったアグレッシブなプレーに憧れています。この選手と同じポジションで自分もプレーしているので、YouTubeで見て参考にしています。1つのプレーで流れを変えたり、観客の雰囲気が変わるようなプレーをする選手なので、この選手のように他の選手から憧れられるようなバスケット選手になっていきたいです。自分が憧れる選手がいて、その選手から活力をもらっているので、これからは自分が他の選手にバスケットをもっとしたい、と思ってもらえるような憧れられる選手になりたいです。そして、バスケットをする選手がもっと増えるように自分のプレーで見ている人に勇気を与えられる選手になりたいです。」
自分が憧れている選手に勇気や活力をもらっているように、奏介さんも見ている人に感動を与えられる選手になっていきたいと語っている。そして、これからの未来、バスケットボールをしたいという子どもたちがもっと増えるようにしていきたいと未来のことまで考えられている。その強い想いは、声に出すことで想いが伝わり、奏介さんの夢に向かって導いていくものになるのではないだろうか。
これからも、大好きなバスケットと共に
最後に奏介さんの目標や夢を伺った。
「目標はジュニアウィンターカップで優勝することです。H4Hは上手な子がたくさんいるので、その中で自分もうまくなって、みんなで勝ち上がっていきたいです。みんなで同じ目標を掲げて、それを達成していきたいと思ったので、大きな目標ではありますが、チーム一丸となって頑張っていきたいと思います。」
自分の目標でもあり、チームの目標でもある『ジュニアウィンターカップでの優勝』は決して簡単な道のりではないかもしれないが、一人ひとりが叶えたいと強く思い、それに向かって進んでいくチームとして行動していくことが目標を叶えていく架け橋を作っているのではないだろうか。
そして、奏介さんには目標に続いて、将来叶えたい夢があるとのことだ。
「将来の夢はバスケット選手になることです。それに加えて、バスケットに関わり続けたいです。だから、コーチとしてバスケットに関わることができればそうしたいです。そう思ったのは、コーチたちの教え方がわかりやすくて、自分も同じようにしたいと思うようになり、そこから憧れるようになりました。選手として頑張りつつ、コーチとしてもバスケットに関わっていきたいです。」
自分が続けているバスケットボールを選手からコーチへと立場を変えても続けていきたいという。その夢を叶えるためには、長い道のりかもしれないが、今自分に何ができるのか、最善を尽くすためにどう行動すべきかを考えていく奏介さんなら叶えていくことができるのではないだろうか。その夢をエルトラック一同、心から応援している。
このことについて父・佳孝(よしたか)さんは
「自分の目標に向けて一生懸命頑張れる人になってほしいと思います。そして、今学んでいることを大切にしてそれを生かして、失敗することもあると思いますが失敗を恐れず、たくさん失敗を経験して欲しいです。色々なことを経験して成長してしく姿を陰ながら応援しています。」
最後にメッセージ
最後に8スターズ獲得を目指す選手たちへ、奏介さんからお世話になった方々へ、それぞれにメッセージを頂いた。
8スターズ獲得を目指す選手たちへ
「まだ、ボールの扱いに慣れていないときは、できるものからコツコツとやっていくといいと思います。また、体幹・柔軟はお風呂上がりに行うなど、練習以外のところで積み重ねていくことが大切だと思います。頑張ってください。」
奏介さんからお世話になった方々へ
水野コーチへ
「いつも人間性やバスケットの技術を教えてくれてありがとうございます。」
遼太朗コーチへ
「いつも自分が困っているときはとてもわかりやすくアドバイスをくれてありがとうございます。」
お父さん、お母さんへ
「いつも体育館の予約や送り迎えありがとうございます。これからもバスケットを頑張るので、サポートよろしくお願いします。」
名前:檜垣 奏介(ヒガキ ソウスケ)
生年月日:2009年10月25日生まれ
出身:千葉県成田市