今回の主人公は江原 由葵(えばら なおき)さん。
由葵さんは現在バスケットボールに熱心に取り組む中学1年生。由葵さんのバスケットに対する向き合い方やこれからの目標を伺った。由葵さんの魅力がたくさんつまったインタビュー記事になっている。
できないことがワクワクする
8スターズクラブにある技能検定はメニューに対するレベルがいくつもあり、それを全て合格する必要がある。中にはクリアをするのにとても難しいものもあり、これまでの8スターズクラブ受賞者も苦戦してきた。そんな数多くの課題をクリアしていった由葵さんの技能検定の取り組みを聞いた。
「レイアップ系が一番得意でした。最初に全部クリアしたのもこれだったと思います。あと、カップリングスキップも家で練習をしたらすぐに出来るようになりました。ですので、この2つは得意だったと思います。
苦労したのはテニスボールの2級、1級です。4級まではスムーズにできたのですが、そこからはなかなかできなくて難しかったです。」
レイアップの項目やカップリングスキップはすぐできるようになったことが多かったそうだが、テニスボールを合格するのにとても時間がかかったとのこと。
どのように技能検定の練習をしていたのかも伺った。
「いつも行っている練習会場で30分前から入れるようになっていたので、そこでお父さんお母さんがその時間に間に合うようにいつも送迎をしてくれて、検定の練習をしていました。今はできないのですが、当時は毎回30分間で練習することを決めて、取り組んでいました。その時には自分でどの項目をやるのか決めて、コーチに見てもらいながら、できるものからやっていくという方法でコツコツとやっていました。」
練習会がある日は毎回早めに会場に向かい、技能検定の練習を行っていた。その積み重ねで技能検定を合格することができたのだろう。
より早く上達していくためには自分で練習の時間をつくりだすことが重要である。
それを由葵さんは実行していたのだ。
しかし、練習の中でもなかなかクリアできず悩んだこともあったようだ。
「苦手だったテニスボールもたくさん練習したけれどなかなかできなくて、得意だったレイアップ系も級が進んでやっていたところで、レイアップの2ボールにとても苦戦しました。練習してもできないことが続き、ボールを床に投げてしまうこともありました。あと、体幹の2級もお尻が下がっていてクリアできず、家で何回も挑戦しました。」
クリアできない悩みや悔しさをもちながらも、ひたむきに練習を続けた由葵さん。その原動力は何なのか。どんな想いで取り組んでいたのだろうか。
「なかなか出来なくて悔しいと思っていましたが、嫌になることはありませんでした。出来ないことに対してワクワクするんです。その気持ちを常に持っているので、出来なかったことができるまで挑戦し続けました。わからないことがあった時は映像を見たり、コーチ達に見せてもらったりしてやっていました。」
出来ないことに対して、嫌になるのではなく「ワクワク、楽しい」という気持ちをもって、成長できることを前向きに捉えていた由葵さん。この気持ちが原動力となり、技能検定の合格と結びついているのだろう。
由葵さんの『できないことにワクワクする』という言葉は印象的であり、インタビュー中、由葵さんのワクワクや楽しさを感じ取ることができた。
技能検定に取り組む様子を近くで見ていた、父・奨(すすむ)さんが当時の様子を話してくれた。
「練習前30分で練習をする時は、その場にいるコーチ達と楽しく話しながら研究しているようにやっていました。こうしたらうまくいく、レイアップの脚の使い方ひとつでトラベリングになるのでそうならないように考えながらという感じで、課題の一部分を切り出して細かくやっていて、こんなに好きなことだと意欲をもってやるんだなと思いました。
苦手だと言っていたテニスボールドリブルはなかなかうまくいかないなと見ている方も感じていて、家で毎日やっていました。部屋の中でやるのでなかなか高く上げられないのがかえって、速くドリブルをつくことに繋がり、成功するようになったんだと思います。こんなにも努力をすることができるんだと驚いて、そこが発見でした。」
言葉から得て、行動を変える
8スターズクラブの獲得には、技能検定に合わせて「子どものスポーツのすすめ」という冊子の内容をアウトプットする必要がある。「子どものスポーツのすすめ」とはエルトラックが運営している教室で入会すると配られる本で、その中には子どもだけでなく、そこから成長し、大人になっていったときにも必要になってくる考え方や物事の見方がまとめられている。その本の中で印象に残っている話を伺った。
「印象に残っている話は、『成功のピラミッドの忠誠心』です。」
この話は、『忠誠心』という言葉の意味から人のために頑張って働こうとする気持ちをもつことが大切であり、この言葉からバスケットをするにあたって、どう取り組んでいくことが重要になるのか考える内容である。この話を聞いてから、由葵さんの行動が変わるきっかけになったという。
どんな変化があったのだろうか。
「この話が印象に残っている理由は、一人ひとりがチームのために頑張ることが重要でバスケットをしていくにあたって大切なことだと思ったからです。この話を聞いてから、どんなときでも練習中は声を出したり、全員が楽しくバスケットが行える雰囲気をつくったり、チームのために尽くそうと行動するようになったと思います。」
バスケットはチームスポーツであり、チームの目標を達成するためには「チームのために」という気持ちを持ってプレーすることは大切なことのひとつである。そのことを学んでから由葵さんはチームのために自分のプレーだけでなく周りの選手のことも考えられるようになったという。
「あと、もうひとつ印象に残っている話があり、それは『中国の竹の話』です。これは、今すぐは伸びなくても5年後に一気に25mも伸びるという話なのですが、自分にも竹のように伸びない時期がありました。練習してもうまくいかずに苦しかった時期がそうだったと思います。その時にこの話を読んで、しっかり自分にできることをやって、土台を作ろうと思うようになり、いつかの成長のために信じて頑張ろうと思えるようになりました。」
この話は、これまでの8スターズクラブ受賞者の多くの選手に印象に残っている話としてあげられており、技能検定のようになかなか出来ないことも、急にできるようになったり、成長を感じられると、この『中国の竹の話』が本当にあることを実感する選手も多い。
これらの話から由葵さんはバスケットに対する向き合い方が変わったと話しており、ここでの学びを行動に移して、日々努力している由葵さんは応援される選手になっていくのであろう。
バスケットは仲間と一緒に
ここからは由葵さんのバスケットを始めた時期やエルトラックの練習会に参加している様子などを伺った。
「バスケットを始めたのは小学校1年生でした。今で7年目になります。エルトラックの練習会に参加するようになったのは、ネットで探していたときに見つけて、体験に行った際にとても楽しそうにしていたのを見て、3年生の夏前から入り、それが始まりでした。」
「始めはあすみが丘の加賀屋コーチの練習会場に行っていました。引っ越しと同時に船橋でも開催していることを知って、6年生からまた再開しました。」
早くからバスケットを始めて、練習に取り組んでいた由葵さん。練習会に通っていたときの思い出を伺うことができた。
「練習会に行き始めて、印象に残ったのは、加賀屋コーチが練習中に指を出して、レーザービームを出してきて、それに反応してジャンプやしゃがむという練習をしていたことがとても印象的でした。
また、加賀屋コーチが書いた『ファンドリル』という本をつくることになって、同じ練習会にいる友達と一緒に載ることができてそれも良い思い出です。」
と、練習メニューの事から本に載るというなかなか経験のできない事が印象に残っているそうだ。練習のレーザービームを始め、楽しい時間が多かったと語っていた由葵さん。その「楽しい」がバスケットを好きになるきっかけのひとつだったのだろう。
エルトラックの練習会に参加して、学びや得たものもあったようだ。それは一体何なのだろうか。
「練習会で知り合った友達とも仲良くなることができて、試合では、その友達とライバルとしてよくマッチアップしたり、1on1をしたりしていました。そういった仲間を得られたことはとても良かったことだと思います。」
「また、練習に対する意識がさらに高まったように感じています。毎回の練習の内容がその日その日で変わってくるので、まずはそれを身につけられるように練習して、最後に試合をする時にその日で練習したことを出せるように意識しています。練習の時から意識して、観察したり、実際にやってみたりするようになりました。そして、最終的にはその日習った技術も身につけて、自分のプレースタイルでプレーするようにしています。
ですが、バスケットは5人で行うスポーツなので、うまく噛み合わなくて悔しい場面もあります。そんな時は、いつも帰りの車の中で次に向けて振り返りと改善策を考えるようにしています。」
練習の中で自分のプレーを磨きながら、仲間とのプレーもうまく行えるように意識をもってバスケットに向き合っている。そんな由葵さんはこれからもっと成長し、活躍する選手へと成長していくのだろう。
父・奨さんからも練習会での様子について伺うことが出来た。
「もともと友達をつくることは得意な方で、みんなと和気あいあいしながら、すぐ仲良くなることはとても生きたものだったと思います。ただ、小学校3年生ぐらいの行き始めてすぐはまだ小さかったので、自分のやりたいことしかしなかったんですよね。自分が攻めたい時に攻めて、パスしたい時にパスだったのが、どんどんそれがなくなってきて、周りの選手とのかみ合わせや特徴に合わせて自分で考えて、プレーを促したり、考えるようになっています。色々な学年の子やプレースタイルの子など、どの子とでもプレーできるということは本当にすごいところだと思います。」
チームの中心選手になるために
最後に由葵さんの今後の目標や将来の夢を伺った。まず、由葵さんのバスケットのプレーについて聞いた。
「ズレのない状態での1on1やプレッシャーディフェンスが得意です。練習会でも色々な相手と1on1を行いますが、攻めているときは常にズレを作ることを意識的に練習をしていて、得意になったと思います。」
練習会で取り上げられているテーマについて一生懸命取り組み、身につけようとしている由葵さんだからこそ、それを得意なプレーとして活かすことができているのだろう。
「今後の課題として、ドリブルでディフェンスがプレッシャーをかけてきて、それをすり抜けるドリブルを頑張っていきたいと思います。また、ボールキープのドリブルもまだまだだと思っているので、先輩と一緒にプレーするとやっぱりプレッシャーが強くて取られちゃうことが多いです。そういう選手を相手としてプレーしなければいけないので課題かなと思っています。」
由葵さんの目標は「チームの中心的な選手になる」だそうだ。
今年度から中学1年生としてクラブチームに所属している。そのチームで中心の選手として活躍できるようになることが由葵さんの目標である。憧れの選手のようになる、全国大会に出るといった目標をよく耳にする。しかし、由葵さんはチームの中心として活躍していきたいという目標をもっているが、その背景には一体何があるのだろうか。
「チームの中心選手として、すごいなと思う先輩がいます。その先輩は難しい状態でもうまく相手をかわして点がとれたり、ゲームを回せたりできる選手で、パスも上手で本当に憧れている選手です。僕も一緒にプレーしていて刺激をもらっています。そんな選手になれるように頑張りたいと思っています。」
「まだプレー面の課題もありますが、今できることとしてとっている行動は、声掛けをしたり、色んな人とペアを組んだりして、自分から動くようにしています。そしてもっと上手になって、活躍し、チームの目標を叶えられるように頑張っていきたいです。」
由葵さんの近くで実際に活躍している選手のように、チームを引っ張れる、勝ちを導ける選手になるという熱い想いをとても感じられた。バスケットのプレーだけでなく、人としてもチームに欠かせない存在として成長していく由葵さんのこれからに期待したい。
父・奨さんからは
「私自身もバスケットをしていたので、人としての部分で、チームプレーの大切さを学び、単純な仲間といった事ではなく、選手の特性・個性を合わせてひとつの事をチームとして成し遂げるというのは、普段の生活やゆくゆく社会に出て仕事をしていく上でも生きてくるものだと思うので、そういう事をバスケットを通して学んでほしいです。
バスケット選手としては、最後まで諦めないという事を覚えていてほしいです。点数が開いてくると気持ちが落ちて、グダグダになってしまうのではなく、そこで頑張ろうと思い行動することが、バスケット以外の場面でも活きてくるものになると思います。どんな時でも全力でやることによる成功体験を経験する事で、将来に活かしてくれたらなと思います。」
最後にメッセージ
由葵さんから最後にお世話になった方々へメッセージをいただいた。
大浦コーチ
「いつも熱い指導をしてくれてとてもうまくなっていると感じているし、成長できています。ありがとうございます。」
水野コーチ
「短い期間でしたが、半年お世話になりました。
プレミアムキャンプでもありがとうございました。これからもがんばります。」
加賀屋コーチ
「3年生の時に加賀屋コーチにもお世話になりました。本当に感謝しています。成長した姿をプレミアムキャンプで見てもらえて嬉しかったです。」
佐東コーチ、竜一コーチ、勇人コーチ、歩弥コーチ
「検定を頑張ってきていた時にずっと見てくれてありがとうございます。」
その他にもたくさんのコーチにお世話になりました!本当にありがとうございました!
家族のみんなへ
「毎回送り迎えしてくれてありがとうございます。これからもがんばります。」
これから8スターズクラブ獲得を目指す選手の皆さんに一言
「しんぼう強く練習していればできるようになるので、あきらめずに最後まで頑張ってください。」
名前:江原 由葵(エバラナオキ)
生年月日:2009年11月18日生まれ
出身:船橋市