すべての人に感謝を。なりうる最高の選手を目指して

今回の主人公は有馬 花音(ありま かのん)さん。現在中学3年生の花音さんは卒業をする前に8スターズを獲得するという目標を達成した一人である。小学5年生から取り組んでいた花音さん、時間はかかったが達成できて嬉しかったと語っていた。花音さんの今までの取り組み、そして高校へと新しいステージへステップアップする未来に向けた話をインタビューすることができた。

日々の努力でつかんだ念願のトロフィー

8スターズを獲得するには、技能検定の合格と『子どものスポーツのすすめ』のアウトプットの2つを達成する必要がある。それぞれを合格して8スターズクラブメンバーとして認定されるのだ。まずはじめに技能検定の取り組みについて伺った。

技能検定で得意だったものは体幹・柔軟の項目です。これは、小学生までの間に柔軟を終わらせていて、体幹は練習会などで練習していたので、スムーズにクリアすることができました。苦手だったのはテニスボールドリブルです。特にレッグスルー(足の間を通してチェンジすること)が項目に入ってきた段階で、なかなかクリアすることができず苦労しました。何回も練習をしていて大変だったのを覚えています。

早い段階から計画を立てて、一つ一つこなしていった花音さん。それぞれの取り組みの様子も伺った。

体幹の練習は家で行っていました。始めはボールの上に乗ることも難しくて、苦戦しました。あと、お母さんと一緒にバスケの練習をすることが多かったので、そこでよく技能検定の練習をしました。お母さんがバスケの練習をするために体育館をとっていて、その横で技能検定を練習して、有効活用していました。

家庭での練習を充実させ、日々努力をしていた。親子揃って共に練習に励む時間が花音さんの8スターズ達成へとつながっていたのだろう。練習の時間以外で、自分でできることや練習するものを決めて、取り組もうとする行動の背景にはいったい何があるのだろうか。花音さんの心の内を聞いた。

同じ練習会場に行く友達の中に自分がまだクリアしていないものを先にクリアしている子もいて、その人に追いつきたいという思いで練習をしていました。練習後の時間で自主的に技能検定の練習をしたり、一緒に技能検定の練習を行う仲間と1時間くらい協力をしながら取り組んでいました。そのような想いや仲間がいたからこそ、嫌になることもなく頑張ってこられたのだと思います。

花音さんの取り組みの背景には周りにいる人達の支えや頑張りが自身を奮い立たせることに繋がり、花音さんの活力に変わっていたのだろう。そのクリアをしたいという同じ思いをもつ仲間との時間はかけがえのないものになっているのではないだろうか。

ただ内容を理解するだけでなく、行動にうつす

次に、8スターズを達成するためのもう一つの項目である『子どものスポーツのすすめ』のアウトプットを通じて、印象に残っている話は何なのか伺った。

印象に残っている話は2つあって、1つは『あなたがとわたしが』の話です。普段の生活の中で、他の人の方に気がいってしまったり、気になることを言ってしまったりすることがあります。ですが、この話を聞いてからは、まずは自分が変えられることはないか、自分だったらどうするのかを考えるようになりました。その考えをもってから、より成長することができていると思います。相手のことを考えて、理解しようとしたり思いを伝えたりすることでより良い関係を築けるようになったと思います。

2つ目は『大切なことを優先する』です。したいことをするためには、優先しなければいけないものは何か考えて、日々頑張っていかなければいけないということを学び、成長するために必要な考え方だと思います。

『あなたがとわたしが』というお話は、何か物事を考える時に、「あなたのせいでこうなった」と考えるのか、「わたしが変えられることはないか」と考えるのか、その考え方の違いで成長するかどうかが変わってくるというお話である。『大切なことを優先する』というお話は自分のよりよい成長のために、何を優先して、過ごしていくのか。やらなければいけないことを優先に終わらせ、成長につながる行動をしていくことが大切になるというお話である。これらの話を聞いて、花音さんの行動に変化があったという。一体、どんなな変化があったのだろうか。

バスケのことで悩んでいる時に、ちょうど『あなたがとわたしが』という話が出てきました。上手くいかないときに相手のことを気にしてしまったことがあって、その時にコーチと話したり、親と話したりして相手のことを気にしているのに気づいて、相手のことを考えるのではなく、自分はどうしたらいいのかを考えるようになりました。そうすると、自分の気持ちにも変化が現れて、より成長につながったと思います。
『大切なことを優先する』に関しては、バスケの練習をしたいけれど、勉強や宿題がある中で、先にやらないとバスケの練習ができないので、その時にこの考え方を意識して取り組むことで、上手にできるようになったと思います。バスケだけでなく勉強も頑張っていきたいので、両立していけるようにこれからも頑張っていきたいです。

実際の生活に照らし合わせながら、「子どものスポーツのすすめ」の話を取り入れ、自分の行動を変え、より良く日々を過ごしていけるようにしている花音さん。その変化が、花音さんの成長につながっており、これからもこの考えを大切に過ごしていってほしいと願う。

花音さんの取り組みの様子を一番近くで見守られていた母・美香(みか)さんは

技能検定は小学生から取り組んでいて、早いうちからやっていたと思います。だからこそ、達成できたことは本人にとっても嬉しいことだと思います。冊子に関しては、ただ読んでアウトプットするだけではなくて、行動に伴ってこそ合格と思っていたので、そのように取り組んでいました。本人も『あなたがとわたしが』の話で言っていましたが、実際の生活に活かして、それで内容を本当に理解したということになると思いながら、取り組んでいたので、本当に変化が現れていたと思います。多くの子どもにも知ってほしい内容が詰まっているので、私自身も学びになりました。

不安や緊張をとき、居心地のよい環境での学び

ここからは、花音さんがエルトラックに出会ったきっかけや練習会の様子を伺った。小学生のころからエルトラックの練習会に参加し、中学卒業まで関わっていた花音さんの思い出にせまる。

エルトラックを知ったきっかけは、ミニバスに所属をしていたけれどやめた時期があったときに、周りの知り合いからエルトラックのことを聞いて、そこから小学5年生の終わり頃に入会したのが始まりです。そこから小学6年生のときにCPMというクラブチームに所属しました。中学生になっても、追加で別の教室に通って、エルトラックでバスケをしていました。

と、バスケットボールをする新天地としてエルトラックの練習会やクラブで練習をしていた花音さん。ここでの思い出について伺った。

始めはとても緊張していました。ですが、すぐに話しかけてくれて緊張が溶けていったと思います。当時のミニバスではあまり教わってなかったことが練習会で練習テーマとして取り上げられていたので、不安もありました。

新しい環境での慣れないことに戸惑いもあったことだろう。その抱えていた不安からどう乗り越えていったのだろうか。花音さんの背中を押したものとはいったいなんだろうか。

クラブチームのCPMでの話なのですが、不安だった時に先輩たちが声をかけてくれて緊張や不安を解いてくれました。そのおかげで楽しみながら練習に参加することができたと思います。今は、私のように緊張や不安をもってくる新しい仲間には、自分から声をかけてその先輩がしてくれたようにすることを意識しています。当時私に声をかけてくれた先輩と先日会うことがあって、一緒に練習しました。久しぶりに会うことができて、すごく嬉しかったし、成長した姿を見せることができてよかったです。

その当時いた先輩たちの存在が花音さんの背中を押し、今では不安をもたないように声かけをする立場へと意識をして参加しているという。花音さんの声かけに救われた選手もきっといることだろう。そんなやりとりがチームの雰囲気を良くし、居心地の良い場所として存在する。その一員として、花音さんは自らチームのために、仲間のために行動をしている。

母・美香さんは
これまでの練習会やチームに所属することで、人のことを思いやることができるようになったと思います。人のことより、まずは自分がなにかできないか、変えられないかを考えられるようになって、成長した場だったと思います。

プレーだけでなく、人として成長する

最後に花音さんの将来やこれからの目標について伺った。まず、バスケットボールの面についてまとめた。

得意なプレーはスリーポイントシュートです。母がいつも練習の時にスリーポイントシュートを打っているのですが、それがすごいぐらい入っていて、私も母に負けないように意識をして練習をしています。高校に向けてもっと自信をもって打てるようにもっと練習したいです。それに合わせて、もっと磨きたいと思っていることはディフェンスです。チームの練習でディフェンスの練習を取り上げられることは少ないので、試合や実践的な練習の中で磨いていけるように意識をして練習をしていきたいです。」 

バスケットボールのプレーに関して、花音さんの中で、自分を分析し、より良い選手になるために日々努力を積み重ねている。そんな花音さんには憧れている選手がいる。

憧れている選手として、白鴎大学の三浦舞華選手がいるのですが、この選手はシュートが中でも外でも入って、ドライブもスピードがあります。他にも、ディフェンスが激しくて、そこでのプレッシャーからスティールをして速攻へもっていくプレーを見て、尊敬しています。私も三浦選手のようなプレーができるように頑張っていきたいです。

さまざまな試合を見て、花音さんの中で参考となる選手を見つけ、その選手のように上手になりたいという強い思いをもっている。自分の見えている場所だけでない環境でプレーしている選手を知ることは良い刺激となるだろう。そんな花音さんは、プレーだけでなく1人の選手として目標がある。その目標とはなんだろうか。

選手として小さなことも気にかけられる選手になりたいです。早稲田大学の江村選手など、プロの選手の様子や言葉からいつも感じているのは、気配りや相手を思いやることのできる選手が多いことです。そのことからも小さなことも気にかけて、応援される選手になっていきたいです。

 バスケットボールの選手として、プレーだけでなく人柄の部分も成長させ、応援される選手として日々を過ごしていくと決意を固くしている。それは、どんなスポーツをしていても、どんな環境にいても必要なことであり、花音さんを応援したいと心から思う人がこれから益々増えていくのだろう。エルトラックもそんな花音さんを応援していきたい。

 様々なことにチャレンジを

 バスケットボールの話から変わって、花音さんは挑戦したいことがあるという。

 「高校生に向けて、文武両道を徹底していきたいと思っています。それだけでなく、いろいろなことにチャレンジしていきたいです。今やっていることで継続したいのはピアノです。他に新しく頑張りたいことは外国語にもチャレンジしたいです。いつか海外にも行きたいですし、自分が楽しめることを持っておいたほうが疲れてしまったときの息抜きになると思うので、新しくやってみたいと思います。いろいろなことにチャレンジしつつ、本当に頑張りたいことにしっかりと向き合えるような時間を過ごしていきたいです。

様々なことに興味を持ち、挑戦することのできる花音さんの好奇心はすばらしいものであり、見えている世界を広げ、なりうる最高の自分へと成長をとげていくだろう。新たな場所で、強い決心をもって、これからの日々を過ごしていってほしい。

将来について、母・美香さんも思いを話してくれた。

まず、選手として野球の大谷選手もそうですが、ゴミを拾ったり、ボールを拾いに行ったり、倒れた選手に手を差し伸べるといった行動をする選手を見習って、心遣い・思いやりができる選手に育ってほしいです。そのことが応援される選手へとなっていくことに繋がると思うので、挑戦しながらも人として成長してほしいです。

花音さんの決意

すべての人に感謝をして、これから目標を叶えられるように頑張っていきます。今まで関わってくださったコーチ、本当にありがとうございました。

 最後にメッセージ

 最後にこれから8スターズ達成を目指す選手に向けた言葉や、花音さんの決意の言葉をいただいた。

「一つのことをずっとやっていると飽きちゃうと思うし、続かなくなるとおもうので、さまざまなものをやりながら息抜きもして、できるものから進んでやっていけば大丈夫だと思います。頑張ってください。」

PROFILE

名前:有馬 花音(アリマ カノン)

生年月日:2007年10月28日生まれ

出身:東京都豊島区

TEXT_藤田 麗奈

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