感謝の気持ちを忘れず、これからも挑戦し続ける

今回の主人公は笑顔が明るく元気いっぱいな中学2年生の椎名果子(しいな かこ)さん。果子さんは

ずっと獲得したいと思って練習していました。小学6年生の2月から初めて、中学1年生の間にとりたいと思って取り組んでいました。」と語っており、有言実行をした選手である。そんな果子さんの8スターズ獲得までの道のりやバスケットにどう向き合っているのか、そしてこれからの果子さんの目標などを伺った。

仲間と切磋琢磨しながら成し遂げた有言実行

ERUTLUCは『より多くの子ども達がなりうる最高の自分を目指せる環境を提供する』ことを理念に活動している。

ERUTLUCにはスクールで取り組んでいる7項目の技能検定がある。この技能検定は自主練習の延長として、子どもたちが主体的に取り組みながらなりうる最高の自分を目指していくことをねらいとしており、技能検定はそれぞれ初級者向けの7級から高難度の1級までで構成される。すべてをクリアすると星をもらうことができるシステムで、この7つの星に、ある条件を達成すると獲得できる幻の星を加えた8つの星を揃えると、『8スターズクラブメンバー』に認定され表彰されるものである。

8スターズを獲得するにはこの技能検定の合格と冊子「子どものスポーツのすすめ」のアウトプットを達成する必要がある。はじめに技能検定について、果子さんの取り組みを伺った。

技能検定で得意だったのは、コーディネーションレイアップの4種目とカップリングスキップでした。その日にできたものが多かったです。公園でミニバスの友達に応援してもらったり、協力してもらったりして練習していました。

テニスボールドリブルと体幹の種目の中の、特に柔軟に時間がかかり、苦手でした。公園でテニスボールドリブルをやっていたのですが、時間がかかりすぎて、なかなかうまく行かず、できなくて悔しい気持ちで帰ったこともありました。テニスボールドリブルができる場所を探して、お昼や練習の後に技能検定の練習を始めて、夕方までし続けることもありました。

得意なものは比較的早くクリアしていた果子さん。しかし、苦手なものは合格するのに多くの時間を要したと語っていた。その様子を詳しく伺った。

柔軟はもともと身体が硬いので、家でお風呂の後に毎日取り組んでいました。特に股関節が硬いので、3ヶ月ほどかかったと思います。時間がかかったのもあり、体幹・柔軟の項目が最後にすべてクリアしました。体幹の内容は簡単にできて1級のものも10分くらいでできていたので、柔軟に本当に苦戦しました。

特に柔軟という毎日の積み重ねが必要になる項目で、身体が硬い選手にとって取り組み続けることがとても大変になるだろう。それを果子さんは毎日続け、見事合格することができた。その続けることのできる根気や粘り強さの背景には一体何があるのだろうか。果子さんの活力の糧になったものは何だろうか。

チームに所属していて、その同じ学年のメンバーの中で一番最初にクリアしたいと思っていたので、その思いで取り組んでいました。チームメイトが技能検定の動画をコーチに見せて、クリアしていると私も負けてられないとお互いに刺激し合いながら、練習していました。できなくても嫌になることはなかったです。それよりも目標を達成したいという想いで努力していました。

共に練習する仲間との取り組み、刺激が果子さんのクリアしたいという想いを強くし、努力し続けることのできる活力に変わっていったのだろう。その活力とやり続けることのできる意志の強さはスポーツをする選手にとって必要な能力であり、その先に新しい景色が見えてくるのだろう。その成長を果子さんは楽しみながら挑戦し続けている。

技能検定を通して、上手な子たちが周りにたくさんいるので、その子達に追いつけるように頑張っていました。合格をして、やり遂げたことが自信に変わったのでやってよかったと思っています。

より成長するために、どう取り組むのか

次は、8スターズを獲得するためのもう1つの条件である冊子「子どものスポーツのすすめ」について話を伺った。「子どものスポーツのすすめ」はバスケットボールだけでなく、これから生きていく上で必要な考え方や物事の見方を冊子で読み進め、内容をアウトプットすることで学んでいく。その取り組みを通して果子さんが印象に残ったお話を伺った。

印象に残ったのは『優先順位』の話と『マインドセット』の話です。

『優先順位』の話は、色々やりたいことがある時に、そのやりたいことの中で、緊急ではないけど重要なことを大事にして行動することがいい選手になるために必要なことというのが印象に残っています。この『優先順位』を正しく持つことが成長につながると思っています。

『マインドセット』の話は、考え方によって、同じ話を聞いていても自分の考え方や捉え方が違うと成長の幅が変わってくるというところが印象に残っています。自分は成長マインドセットの方で考えて、もっと成長していけるようにしたいと思っています。

どちらの話も、日頃の生活をどう捉えるのか、捉えた上で何を優先して取り組むことが成長につながるのかといった生活をより豊かにする考え方である。その学びから果子さんは実際に自分の生活に取り入れて、バスケットボールやその他のことに向き合っている。この学びから果子さんはどのような変化があったのだろうか。

『マインドセット』の方で、コーチから練習内容を話された時に、できないと思うのではなく、自分はやっぱりやろうって決めて、コーチからのアドバイスを全部取り入れようと練習しています。特に、シュートの練習のときに、ボールの持ち方を指導してもらって、チームメイトの中でもどこまで取り入れるか個々でそれぞれありましたが、なるべく多くのアドバイスを試してみようと思いました。その積み重ねもあったからなのか、先日あった試合でも出場時間が長く、シュートも多く決めきることができました。だからこそ、まずはやってみようという気持ちをもって、何事も正直に向き合っていきたいと思いました。

「子どものスポーツのすすめ」から多くのことを学び、日常生活に活用している果子さん。その素直さと、勤勉さはバスケットボールに対してもこれから必要になることだろう。そこでの学びを次のステップに活かしてほしい。

8スターズ合格に向けて、取り組みを一番近くで見ていた母・利香(りか)さんは

入った当初は、周りの上手な子たちとの差、自分にできないものだったり、足りてないものがあっての葛藤もあったりして、できるようになりたいという思いと、挫折ではないが今の自分と向き合うっていうのがなかなか難しいように見えた時がありました。一度、真剣に本人と話をしたことがあって、精神的な面を主に、本当に今の状態でいいのだろうかという話をしました。

せっかくいい環境でバスケットを学べる環境にいるので、全力で向き合って、できなくても自分自身を受け入れていって欲しいなということは話しました。すると、忙しいスケジュールの中気持ちを切り替えて取り組むようになったと思います。そこからは伸びていったような気がします。この取り組みは無駄ではなかったと思います。

積極性と物事とどう向き合ってくのかを学んだ場所

ここからは果子さんがエルトラックに関わり始めたきっかけやそこでの学び、得たものなどを伺った。まず、エルトラックを知ったきっかけについて伺った。

感染症の拡大で所属していたミニバスチームの練習ができなくなった頃に、その当時ミニバスの先輩でH4H(クラブチーム)に所属している人から話を聞いていて、千葉土曜教室への体験へ行きました。その後H4Hのトライアウトを受けてチームに所属するようになりました。エルトラックを知ったのも、その先輩がきっかけです。

すでに所属していたミニバスチームにいた先輩からエルトラックを知り、今では千葉を拠点に活動しているクラブチームH4Hに所属している果子さん。そこでの思い出を話してくれた。

H4Hの練習は毎回楽しいです。全員がチームとして、上を向いて、うまくなろうという気持ちで全員が練習しているところがいい環境だなと思います。H4Hに入りたいと思ったのも、先輩たちがたくさんいる環境の中で、その人達を追いかけたり、バスケットを学んだりしながら成長していきたい、うまくなりたいという思いがあったのと、バスケットを好きになれる環境だと思ったからです。

楽しい中にも全員がうまくなりたいという競争心をもって取り組んでいる環境でバスケットボールをしている。その楽しさと競争のバランスが果子さんのバスケットボールとの向き合い方に良い影響を与えているのだろう。その中で、日々の成長に向けて努力し続けている。そんな果子さんが、エルトラックとの出会い、所属するクラブチームを通して学んだことや得たものは何だろうか。

学んだことは、前に出て積極的に行動するということです。これは、バスケットだけでなく学校生活でも生かされると思います。他にもコートの中かどうかは関係なく、チームの一員として日々を過ごしていくことの大切さを学びました。チームにはコート外とコート内の3か条というのがあり、特にコート外は挨拶や身だしなみの部分が項目に入っていて、そういうところを大切にしています。

選手としての積極性、そして人としての礼儀や立ち振る舞い、それらを通して応援されるチームや選手になるために必要なことを得たのだろう。その学びをすぐ取り入れ、行動に移す変化の早さは、習慣の変化へと繋がり、のちに人生までも良い方向に変化していく。そんな学びを得たこれからの果子さんの成長が楽しみだ。

普段の練習でも、わからないことがあった時はすぐに聞くことや、積極的に前に出て練習する重要性をH4Hに入って知ったので、もっと積極的に前に出ることを常に意識しています。例えば、ペアを組んで行う練習の際では、先輩たちやコーチを捕まえて、上手な人とやるようにしています。先輩だけでなく、卒業生も来る時があるので、そのチャンスも活かすようにしています。

学校では実行委員など、委員会活動もたくさんやるようにしています。試合に行った先でもコーチからも言われているのですが、TOや片付け・準備なども積極的に行うようにしています。チームの一員としてブランドを背負っているということを自覚して、家を出たところから意識しているようにしています。先輩たちのコート外の立ち振る舞いがとてもすばらしいので私も見習っていきたいです。

バスケットボールだけに留まらず、学校でも積極性やチームの一員としての立ち振る舞いを活かして行動に移している。どれもなりうる最高の自分になるために、今できることを一生懸命やるという意志の現れだろう。その中で得られる物事に向き合い、自分で考え、どう向き合っていくのか。果子さんは1つ1つの成長の階段を着実に上っているだろう。

H4Hでの様子について母・利香(りか)さんは

内面の成長がスキルを身につけることより大切なことだと思うので、そのことを学べる環境がH4Hだと思います。挨拶もそうですし、感謝の気持ちとかリスペクトする気持ち、仲間や対戦相手だったり、自分たちがバスケットができる環境というのが当たり前ではないので、そういった支えてくれている人がいるという意識を大切にしてほしいです。それを忘れなければ行動に自然に出てくると思います。状態のいい時は誰でも心に余裕があると思うのですが、状態が悪いときほど、人のせいにするのではなく、感謝する気持ちを行動にして、そういったことを身につけていってくれるといいなと思いますし、そういうことを教えてくださるチームなのでありがたいと思っています。

チームでの学び、経験が果子さんを強くし、成長へとつながっている。それはバスケットというスポーツを通じて、教育に貢献するというエルトラックの理念に基づいている。ここでの経験がこれから先の学校生活、社会で活きることを心から願っている。

持ち味を活かして、応援される選手に

最後に果子さんのこれから、将来の目標や夢について伺った。まずはじめは、バスケット選手としてどのような選手になりたいのか、バスケットにどう向き合っていくのかについて聞いた。

自分の強みは、全員でディフェンスを頑張って、マイボールにした時に一番先頭で走って、ファーストブレイクを狙う部分と、最近はディフェンスも強みだと思います。ディフェンスはミニバスの時は手をあまり使うことなく、足でとめるディフェンスで、コンタクトが苦手だったので苦戦していました。そこから足に加えて手も使えるようになってきたので、プレッシャーをかけることができていると思います。

果子さんの持ち味であるスピードを活かして、オフェンスでもディフェンスでもチームに貢献するプレーを強みとしている。このスキルではない部分や頑張り続けるということは、バスケットをする上で意識しなければできないものであり、それを強みとして活かしている果子さんの姿勢は参考にしたいものである。

これからの課題は、まずペイントの中のシュートの精度とシュートバリエーションをもっと高めていきたいです。あと、強みであるスピードに追いつくハンドリングを身につけていきたいです。8スターズに合格しただけで満足せず、次の課題として検定カードと同時期からトレーニングカレンダーにも取り組んでいます。体幹の成果か、毎月クラブで実施するトレーニングチェックの得点が秋頃から上がり始めたのはとても嬉しかったです。

この課題を克服するべく、日々の練習や空いた時間に自主練習として取り組んでいるという。その意識の高さが成長につながっていくのだろう。そんな果子さんは将来どんなバスケット選手になりたいと思っているのだろうか。

憧れている選手がいて、宮崎早織選手(現JX-ENEOSサンフラワーズ所属)とH4Hに入るきっかけになったミニバスの先輩です。宮崎選手はすごくスピードがあって、そのスピードがあるだけでなく、それをコントロールして使いこなしているところが自分も真似したいなと思っています。私も足が速いというところを活かしたいので、参考にしています。

ミニバスのときの先輩はコートの中でも外でも尊敬できるところが本当に多くて、H4Hで一緒に練習していたのですが、今は高校生になってもう卒業しました。それまではミニバス、部活、H4Hと一緒のチームでお世話になっていて、その先輩の背中を追って、ここまで来ています。バスケットのプレーも冷静で緩急もすごくできる選手で、宮崎選手のようにスピードを活かしてプレーしている人なので、憧れています。

近くにも遠くにも憧れている選手がいる果子さん。遠くの憧れの存在は目標として、近くの憧れの存在は刺激として果子さんの成長に良い影響を与えているのだろう。

憧れの選手のようになりつつ、応援されるような選手になりたいと思っています。チームの中でも後輩から見てかっこいいと思ってもらえる選手になりたいです。苦しい時間帯で点が入らない時にドライブで点を取りに行ったり、外が得意なのでシュートを大事な場面で決めたりできるような選手になりたいです。

疲れている時はつい、1日くらいいかと思ってしまい全ての項目を達成するのは難しいですが、かずきコーチと得点更新を約束したことや、先日卒部された先輩からトレーニングカレンダーは頑張って続けた方がいいとのアドバイスをいただいたので、これからは項目全クリアを目指したいです。

努力を継続することは甘い自分に勝つことになるし、小さくても時間がかかっても必ず結果に表れると信じて頑張っていきたいです。

自分の持ち味を活かしながら、より活躍する選手になるために。そして、人として応援される選手になるために日々の練習や時間を大切にして取り組もうとする姿勢はきっと周りにいる選手へ伝わり、お互いが影響しあって、よい関係づくり、チーム作りへとつながっていくのだろう。そんなチームの一員として練習に取り組んでいる果子さんなら、チームからも頼りにされ、より多くの人たちから応援される選手へとなっていくのではないだろうか。

夢や目標を抱き、これまでの出会いに感謝をして

続いて、果子さんの将来の目標や夢を伺った。ここまで、バスケットボールが本当に好きで楽しみながらより成長するために努力をする果子さんの様子が伝わっている。そんな果子さんの持つ夢や目標は一体何だろうか。

まず、目標はジュニアウィンターで優勝したいです。これは個人だけではなくチーム全員で言っていることで、出場するだけでなくで、しっかり優勝に向かって団結して、目標や1つ1つの練習で感じたことを共有しながら全員でやっていけるように頑張りたいです。

個人の目標ではなく、所属するチームの目標として全員がリーダーシップを発揮し、一丸となって同じ目標に向かってくこと、その一員として行動していくという果子さんの強い想いをインタビューを通じて感じることができた。

そして、将来の夢はエルトラックのコーチになりたいです。学校で職業インタビューというものがあって、その時に竜一コーチにお願いをして、コーチについて知る機会がありました。自分が色々なコーチに教えてもらって、ミニバスのコーチも含め本当に尊敬できるコーチばかりで、その時に考え方や捉え方を教えてもらって、そのことがきっかけで目指し始めました。そこからH4Hに入って、コーチが一緒に練習に入ってくれて、その様子もすごく楽しそうで大人になったら、私も同じように活動したいと思っています。

今までの出会いや発見が果子さんへ良い影響を与えたように、次はコーチとして将来の子どもたちと向き合いながら、得たものを伝えていきたい。そのためにコーチになって活動したいという。そう思えるような出会いがあったことは果子さんにとって大きな糧になっていることだろう。そうした出会いや経験が人を変え、人生を変えることを話しながら学ぶことができた。より多くの子どもたちがなりうる最高の自分を目指す環境を提供し、その機会を作ることができるようにエルトラック一同、努めていきたいものである。

果子さんの将来について母・利香(りか)さんは

バスケットについては、自分で今必要なことは何なのか、優先すべきことは何かを考えて取り組んでほしいなと思います。そのためにも家族は全力でサポートして、体調のこととかメンタルのことなど、バスケット以外のところをサポートして、できる限りのことは支えていきたいです。見守ったり、声をかけたりと見極めながら接していきたいと思います。本当にH4Hの中で本人も考えながら練習する中で、指導を受けることができていて、絶対に人として良い成長を遂げていくと思うので、周りの人に気がきいて行動できる人になってほしいなと思います。クラブの練習を通して、いろいろな人をみて感じたことを良い方向に、自分の成長につなげていってほしいと思います。8スターズに取り組んでクリアできたことも、継続して何かを成し遂げることが素晴らしいということを実感できたと思うので、いい経験になったと思います。クリアできずに帰った日も無駄ではなかったと思うので、これからもこの経験を糧にいろいろなことを乗り越えていってほしいなと思います。

 

最後にメッセージ

最後に果子さんから8スターズ獲得を目指す選手たちへ、お世話になった方々へ、それぞれにメッセージを頂いた。

8スターズを目指す選手へ

努力を怠るものは不平を語り、努力をするものは夢を語るという言葉があるんですけど、8スターズもこれと同じことが言えると思っていて、努力する人は夢を語るし、夢を語る人は努力をしていると思うので、技能検定にチャレンジしながら諦めないで続けてほしいなと思います。頑張ってください。

H4Hのコーチへ

H4Hに入って改めてバスケットは楽しいなと思っています。そんな環境でバスケットを教えてくださることに感謝をしたいです。あと、まだまだわからないことやできないことはたくさんあるので、思ったことはすべて言ってもらって、アドバイスを貰いながら、なりうる最高の自分になりたいと思います。これからもよろしくお願いします。

チームのみんなへ

ぶつかることもあると思うんですけど、そのたびに話し合いながら、お互いに切磋琢磨しながら成長していけたらと思います。いつも笑わせてくれてありがとう。

PROFILE

名前:椎名 果子(シイナ カコ)

生年月日:2009年05月27日生まれ

出身:千葉県千葉市

TEXT_藤田 麗奈

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