家族のために掴んだ8スターズの達成

 『8スターズを獲得したい』という穂崇さんの想いはインタビューを通してとても強いものだと感じ取った。達成できたときは本当に嬉しかったと話してくれたが、その強い想いの裏には何があるのだろうか。
そして、想いを胸に、進み続ける穂崇さんの努力の糧になるものは何なのだろうか。

8スターズは父へのプレゼント

まず、技能検定の話から伺ってみた。

得意だったのはテニスボールの2級と1級です。」とハンドリングには自信があり、時間もあまりかからずクリアしたとのことだ。

練習の様子を伺うと、

オンライン検定で合格かどうか見てもらって、練習は家で家族に見てもらいながらずっと練習していました。大学生になる姉もいるのですが、時間があるときは付き合ってもらって、家族全員で取り組んでいました。

技能検定を練習するにあたり、多くの人と一緒に協力して練習していたと語る穂崇さん。多くの人が穂崇さんのことを応援するのには周りの人を惹きつける穂崇さんの魅力や頑張りがそうさせるのだろう。

苦手だったのはカップリングスキップの1級です。手と足で動きが変わるので、それとリズムを合わせるのが難しかったです。リズム系が苦手で、カップリングスキップは1週間続けて練習してやっとクリアしました。本当にできなくて、諦めようと思ったときもありました。

何度も諦めようと思った穂崇さん。そんな時に穂崇さんを支えていたものは何なのだろうか。
頑張ろう、もっとやろうと思わせた背景に何があったのだろうか。

お父さんの誕生日に『プレゼント何がほしい?』と聞いたら『8スターズが欲しい』といったから、『お父さんにプレゼントしたい』その気持ちで頑張っていました。
それでクリアしたのがその当日で、最後は練習会の終わりにコーチに見てもらってクリアできました。
達成できてよかったし、お父さんが喜んでくれて嬉しかったです。

 まるでドラマのような心温まる話を嬉しそうに話してくれた穂崇さん。

父のため、家族のために頑張る、そんな思いで8スターズに取り組んだ選手は今までにいない初めての選手である。

この話について父・耕作(こうさく)さんも

誕生日プレゼントに何がほしいと聞かれて8スターズがほしいと言ったら、本当にとってくれて感動して涙が出そうでした。もともとは気持ちを高めるためもあったのですが、一気にそこから本人のやる気が芽生えたといいますか、一気にスイッチが入ってました。

父のために達成すると決め、技能検定に取り組み、本当に達成してしまう穂崇さんの強い想いに感動せずにはいられない。

他にも家族との話を伺うことができた。

お母さんにはレイアップのパスキャッチで手伝ってもらって、家族みんなで取り組んでクリアしました。父の誕生日までにクリアすると言っていたので、それが力になってやり遂げられました。

他にも自分がカップリングやレイアップでつまずいて、検定がクリアできなくて諦めてたときに、お父さんが『心を変えろ』と言ってくれて、頑張ろうと気持ちを入れ替えてやっていました。父さんとお互いに『心が変われば、態度が変わる』と言い合いながら、気持ちを高めてました。

ここで出てくる『心が変われば、態度が変わる』という言葉は「子どものスポーツのすすめ」という冊子の内容として出されている話の一つだ。これが家族の中での合言葉となり、実際にこの言葉に励まされていたという。

こうして家族全員で技能検定の合格に励み、全員で協力をして合格を目指した。

人のために頑張ろうと思った穂崇さんだからこそ、周りの多くの人が協力し、応援したのだろう。応援される穂崇さんの取り組み方を学びたい。

家族との大切な合言葉

8スターズ獲得には、技能検定の他に『子どものスポーツのすすめ』をアウトプットすることも必要となる。

8スターズを獲得した穂崇さんはどんな内容が印象に残っているだろうか。

穂崇さんが印象に残っていると話してくれた言葉は

『心が変われば 態度が変わる

 態度が変われば 行動が変わる

 行動が変われば 習慣が変わる

 習慣が変われば 人格が変わる

 人格が変われば 運命が変わる

 運命が変われば 人生が変わる』  

これは『子どものスポーツのすすめ』で最初に出てくる言葉であり、穂崇さんにとってバスケットをする中で、この言葉に助けられたという。

さっきも話に出たのですが、気持ちが下がっている時に、いつも父がこの言葉をかけてくれたので、その言葉が一番心に残っています。

お母さんも

父が言うことでお互いに声にかけながら、一緒に復唱して毎日やっていました。覚えるまでやっていて、気持ちをこの言葉で入れ替えていたと思います。

と、つまづいたときに聞くと頑張ろうと思える言葉と話しており、「父との大切な言葉」としてずっと大切にされていくのであろう。

新たなライバルたちとの出会いと環境での学び

ここでERUTLUCのスクールに参加するようになったきっかけを聞いてみた。

お姉ちゃんの友達がERUTLUCのスクールからH4H(千葉のクラブチーム)に行っていて、そのプレーを見て、とてもすごくかっこよく見えて。
どうやったらそんなふうになれるのかと思ってスクールに行きたいと思うようになりました。

小学3年生の後半から参加するようになったといっており、そこからたくさんの出会いを経験した穂崇さん。どんな出会いがあり、何を学んだのだろうか。

得たことは強力なライバルに出会えたことです。
そのライバルと1on1していますが、なかなか勝てないです。でも、相手がリズムを崩そうとするプレーをしてくるので、それに引っかからずにやったり、フェイクをかけてやってみたりしていきたいです。これからは、少しずつ勝てるように頑張ります。

学んだことは積極的に友達と話すとか、チームプレーで合わせられるように意識することです。
試合の合間とかにコーチたちが僕にもっとこうしたほうがいいとか、こう動いたほうがいいとアドバイスをくれたこともあったので、それを参考にしつつ、自分で考えてやってみようと思ってやることの大切さを学ぶことができました。

父・耕作さんも

ERUTLUCのスクールに参加してから、向上心は常についてきているなと感じていました。次へ次へと終わりのない向上心で見ていてとてもいいなと思います。
『心が変われば』の言葉のおかげで諦めやすかったのが変わって、チャレンジ精神がでてきています。これが変化した一番のところではないかと思いますし、これからもそのことを大切に頑張って欲しいです。

このようにライバルと呼べる仲間や共に歩む仲間と出会い、その仲間とともに協力・成長をしていきたいと思っている姿はまるで小学生とは思えないほどの思考だろう。
ただアドバイスを待つだけでもなく、自分で考えながら、仲間と一緒に自分で気付けるように取り組みたいと考えて物事を考えることの大切さを伝えてくれた。

目標のところまでにたくさんライバルがいるその中でも「つまづいたとしても、まずは心から変えて取り組んでいきたいです」と話しており、将来に向けてビジョンをしっかり持ち、その目標に向かって全力で向かっていく穂崇さんの遂行力は参考にしたいものである。

師匠との約束「プロになろう」

8スターズを獲得し、小学校最後の年を迎える穂崇さんはいったいどんな目標を立て、頑張っていきたいと考えているのかを聞くことができた。

得意なプレーは素早いドリブルや1on1です。これから磨いていきたいプレーは1on1とかで抜けなかったときとかに足運びや技を使って、仕切り直しするようなプレーを磨きたいです。ガードの選手として、パスも状況判断中でいいパスを出すことができるように磨きたいです。

河村勇輝選手、富樫勇樹選手に憧れています。自分自身もガードをしているので、同じポジションをしている選手に憧れています。

ガードとして必要な要素を自分で考え、磨きたいことを明確に言葉にしていた。

将来は「みんなを動かして、状況判断ができるガードになりたい」と語る。ここまで自分を見つめ、目標をもって取り組む穂崇さんのこれからの成長に期待したい。

ここまで具体的に考えられている穂崇さん。そう簡単なことではないが、具体的な目標を持つことを徹底して行える理由は何なのだろうか。

僕には師匠がいます。田中晴瑛くん(駒沢大 兼 越谷アルファーズ3x3U23所属)という方なのですが、姉の通う高校にいて、姉と同級生だったので知り合いました。そこから姉に教えてもらって、会うようになって仲良くなりました。
プレーもかっこよくて、ウィンターカップ出場も決まっていたのですが、コロナで出られなくなって、それでも悔しいはずなのに引退してすぐにバスケを教えに来てくれて、その優しさに尊敬しています。

穂崇さんの身近には尊敬できる憧れの師匠がいて、その方から良い刺激をもらっているのであろう。

師匠には練習メニューで分からないところがあったときに聞くと、すぐ教えてくれたり、1on1も年下でも本気でしてくれたりするので嬉しいです。
あと、家まできてくれていて、その謙虚な姿勢に僕もそうしていきたいと思うようになりました。

バスケのプレーだけでない人柄の部分でも尊敬し、師匠のようになりたいと思っている。そのためにも、しっかりとした目標を持つことが、近づいていくことに繋がり、さらなる成長を遂げるであろう。

そんな師匠とある約束を交わしているという。

プロの選手にお互いになれるようにって話しています。先にプロに行っててと話していて、僕の次の目標を与えてくれました。

この約束を目標にこれからの練習に励み、努力を続けていきたいという強い想いを宣言してくれた。

この『プロの選手になる。』という夢を叶えるために、まずはH4Hに入りたいという目標があります。そして、そこでもっとうまくなってBリーガーとして地元の千葉ジェッツに入りたいです。

すべての出会いを大切に、思いやりの心をもって

最後にバスケットボール選手としてだけでなく、一人の人間として、なりたい最高の自分の姿を語ってくれた。

僕は困っている人がいたら、助けたり、話すのが苦手な人に積極的に声をかけられるような人になりたいです。新しく会う人に対して心がけているのは、その人が1人にならないように声をかけていくことです。チームとしてバスケットをしていくために大切なことだと思うし、これからも続けていきたいと思います。

こう話す穂崇さん。このように思えたきっかけに数多くの出会いがあったからと語っている。その出会いから何を学んだのだろうか。

自分の中で好きな言葉があって、それが『一期一会』という言葉です。
父にこの言葉の意味を教えてもらって、一生に一度の出会いを大切にしようという言葉の意味が自分にしっくりきて、印象に残っていています。

実際に3×3の大会(ERUTLUCで開催している大会)に1人で参加して、そうするとその日に参加する知らないお友達と会って、その子達と試合をします。
そこで一緒に戦ったお友達と仲良くなって、その人の中に8スターズをとった人もいました。そのときに一期一会を感じました。それ以来大切にしている言葉です。

普段自分がいる場所ではないところに踏み出そうとする姿勢の他に、新しい場所でもいろいろな人と出会い、交流し、仲間になろうとする穂崇さん。このような姿勢を身につけられたのはこの『一期一会』という言葉から学び、自分の中に置き換えて行動しようとした勇気が感じられる。

お父さん、お母さんから穂崇さんの将来について、

本人と一緒のところもありますが、やっぱり他の人のことを思いやる気持ちを持ってほしいです。常に謙虚で、名前にも稲穂の『穂』を使っているように『頭を垂れるように』謙虚な心を忘れないでほしいです。どんなにいい結果が出したとしても、いつでも謙虚にいることを意識してこれから頑張って欲しいです。

自分で考える力を持ってほしいなと思います。自分でどうしたほうがいいのか、うまくいくためにどう工夫するのか、考えることは大切なことだと思うので、その力を身につけてほしいなと思います。

多くの出会いと発見を自ら掴み、自分のものにしようとする気持ちの強さや仲間想いな一面は、バスケットを続けていくのにあたって、良い影響をもたらすものであろう。インタビューを通して、その出会いや発見は周りが与えているのではなく、自らの行動で広げ、それを吸収しようとする穂崇さんの意識の高さから得ているものであることを感じることができた。

これから、多くの人と出会い、そこでの出会いや発見が穂崇さんのさらなる成長へと導くことを心から願いたい。

支えてくれた人へのメッセージ

最後に普段お世話になっているコーチや家族への感謝の想いを語ってくれた。

〜穂崇さんより〜

水野コーチへ

 チームとしての動き方を水野コーチには特に教わったので、そういう目を大切にしていき、これからもたくさん指導よろしくお願いいたします。

俊哉コーチへ

 しゅんやコーチには特に感謝しています。アドバイスとかをたくさんしてくれて、それを参考に頑張ってプロになるので、もっとこれからもたくさん教えて下さい。

和輝コーチ

 最初の時間によく1on1をしてくれていて、これからももっと1on1やってください!

小林コーチ

 検定とか外でのプレーを見てくれたりして、すごく自分が成長できるなと思ったので、ありがたかったです。

新垣コーチ

 今の自分があるのは新垣コーチのおかげです。ありがとうございます。

お父さん、お母さんへ

 一番検定を手伝ってもらったので、これからも試合とかで活かせるようにがんばります!

PROFILE

名前:前田 穂崇(マエダ ホタカ)

生年月日:2010年8月2日生まれ

出身:千葉県八千代市

TEXT_藤田 麗奈

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