バスケットを楽しく。そして応援してくれる人に感動を与える選手になる

今回の主人公は笑顔が素敵で周りの人達を明るくしてくれる河地明日香さんである。

中学最後の3年生で見事8スターズを獲得した。明日香さんのバスケットに対する思いや向き合い方は技能検定の取り組みやERUTLUCとの出会いでどう変化したのか。彼女のこれまでの取り組みをここに残していこうと思う。

仲間とともにやり続けた時間

まず、8スターズの技能検定について明日香さんにお話を伺った。

得意だったのはコーディネーションレイアップでした。難しいものもありましたが、楽しみながらすることができたので楽しかったです。コロナ前は、ウォーミングアップの後にすることが多かったのでその時間で練習してクリアしていました。

難しいものも楽しみながら取り組んでいたと話す明日香さん。できないことに向かって進んでいくその姿勢はとても学びたいものである。そんな明日香さんでも苦労したものがあったようだ。

苦労した項目はギャノンプッシュアップで、クリアするのに1ヶ月弱ぐらいかかりました。その前までは中1の時に終わらせていたのですが、ギャノンプッシュアップだけできなくて、最後まで残っていました。全然できないのが悔しくて、たくさん練習をしました。

ギャノンプッシュアップとは、これまで8スターズを獲得してきた人の中でも難易度の高い項目とされており、手足4箇所それぞれボールの上に乗り、そこで腕立てを3回するという高難度の内容である。

楽しいと思って取り組んでいた明日香さんがだが、長い時間をかけてもクリアできないことに悔しい思いをたくさんしていたようだ。その悔しい思いやなかなかできない葛藤から、何が明日香さんを奮い立たせたのだろうか。 

検定の練習は同じ練習先の先輩や友達と一緒に練習していました。だからこそ負けたくないと思っていたので、何回失敗しても諦めずに練習していました。一緒に頑張ろうと思える友達が近くにいたので最後まで取り組めたのだと思います。」 

一緒にいる仲間と競い合いながら共にやってきたからこそ、それが明日香さんの活力に変わり、技能検定のクリアまでこなすことができたのであろう。

苦手だったギャノンプッシュアップも負けたくなかったので、できることから始めようと思い、家でも練習をしていました。まずはボールを減らした状態で練習して、その積み重ねでボールを増やし、回数もこなしていきました。最後は映像をコーチに見てもらって、そこで合格をもらえたのでクリアできたときは嬉しかったです。

ライバルでもあり、仲間でもある友達のおかげで明日香さんは技能検定に合格することができ、そのことに感謝している様子であった。
クリアができずに悔しくても諦めることなく、挑戦し取り組み続ける明日香さんの姿勢はこれから8スターズクラブを獲得しようと思っている選手たちとってお手本となる姿であろう。

技能検定の中には『テニスボールドリブル』といって、テニスボールを使ったドリブルコーディネーションの項目がある。

テニスボールドリブルが上達することは、バスケットボールが上達することに繋がるのかと疑問に思うこともあるだろう。

明日香さんはテニスボールドリブルに取り組んだ成果を話してくれた。

テニスボールの内容は練習していたおかげで、ハンドリング力がついたり、試合中のドリブル力の向上につながったと思います。ハンドリングしながら、テニスボールのことも考えなければいけないので、周りを見る力やボール以外へ意識を向ける力がついたと思います。

検定の合格だけでなく、実際のプレーに活かすことができていたと実感できていることはとてもすばらしいことであり、明日香さんの取り組みとして日頃から上手になるためにということに意識をおいて練習に励んでいることの現れだろう。

技能検定の取り組みに対して母・真澄(ますみ)さんにもお話を伺うことができた。

1年生の時は練習会場に見に行けていたので、そこで見ていました。その後2年生以降は感染症流行の影響で練習をなかなか見る機会が無く、様子が分からないこともありますが、最後の方になると難しいものばかりだったので、クリアするのに時間がかかっていたと思います。

ギャノンプッシュアップに関しては、なかなかできなかったみたいなので、家にボールを持って帰ってきてやっていました。私もやってみましたが、手も足もボールの上に乗らないといけないので支えること自体が難しく、そこからプッシュアップをすると考えるとクリアしたのはすごいと思います。

大きい成長のために、努力より上手くなりたいという気持ちと楽しむこと

8スターズクラブ獲得には技能検定の他に、「子どものスポーツのすすめ」という冊子の内容をアウトプットすることも必要となる。その取り組みの中で印象に残っている話について伺うことができた。

印象に残った話は『中国の竹の話』です。

この話はすぐには伸びることがなかった竹が5年後、一気に25mも伸びるというお話だ。

自分が成長を感じられなかったり頑張っているのに上手く行かない時に、この話から『それは成長するために土台を作っているところだから、今は自分の成長を感じられなくても、努力を続けていけば、大きく成長できる』という励ましをもらっていました。

頑張り続けることが大事であり、悩んだり、苦しんだりした時にこの話を思い出して、ポジティブになることができました。

実際にシュートが入らないときに、フォームを直してもらったりして、最初は打ちづらかったので、ぜんぜん慣れなくて入りませんでした。でも、それはシュートをこれから入るようにするために直しているものと思って、努力しようと思えるようになって頑張れています。日常生活でも勉強とかで同じように考える事ができると思うので、大切にしていきたいです。

明日香さんが話したシュートフォームを変えることはまさしく勇気のいることであり、なかなか成果が出ないことから諦めてしまうことが多いのではないか。

そのことに関して、この中国の竹の話から諦めることからやり続けることへと行動を変え、努力することは容易なことではない。

また、中国の竹の話を大切だと思うことにつながった出来事があったという。それは何なのか、続けて話を聞いていった。

話に合わせて私が好きな言葉なのですが、練習で一穂コーチに頂いた言葉で『努力すれば報われるんじゃない、報われるまで努力するんだ』という言葉がすごく心にささり印象にのこっています。

ここまで『努力』という言葉について沢山語ってくれている明日香さん。そんな明日香さんは『努力』について、どのように捉えているのだろうか。

努力を努力とは思わないです。努力をしようとか、周りから見てがんばっていると思われることではなく、目の前のことを1つ1つこなしていくために練習するし、していこうと思っているだけです。

バスケに関しては、バスケをするのが楽しいからもっとうまくなりたいし、練習したいと思っているので、努力したくてしているのではないです。嫌なことでも自分の頭の中では楽しいと考えるようにしています。その気持ちでこれからも楽しむ心を大切にしたいです。

また母・真澄さんからも「子どものスポーツのすすめ」についてお話を伺うことができた。

最初に『練習メニューがあなたをうまくするのではない』というところの話をきいて、気持ちのもち方、やっていることに対して、どういう角度から切り込んでいくのか、と意識することで同じことをやってもそもそもの意識から結果まで違ってくるということを改めて認識できました。

私自身も読み込んだほうがいいなと思うことばかりです。

気持ちのもち方や意識は本当に大事なんだなと思うし、バスケットだけじゃない日常生活のなかでも言える話です。この冊子の内容は様々な気づきを与えてくれるので、考えるきっかけ、行動を変えるきっかけになると思います。」

感謝を行動に移す大切さを学んだ場所

次は明日香さんとERUTLUCとの出会いや練習会に参加して学んだことなど、これまでの活動について伺った。

通い始めたのは。中学1年生の4月からでした。中学生に上がるタイミングで、クラブチームでバスケをしたいと思い、探していました。その時にグラッツに入っていた先輩が誘ってくれて体験に行った時に、練習がすごく楽しくてすぐ入ろうと決心して入ることになりました。

3年間のグラッツは楽しかったです。最初グラッツだけ週3でいっていて、初めは大変かなと思っていましたが、グラッツがない日も練習したいと思い、中学でも部活に入ることにして、毎日バスケットができる生活をしていました。

バスケットを毎日行い、もっとうまくなりたいと思うようになったきっかけや楽しいと思えた理由は何なのだろうか。ERUTLUCの練習会に参加して得たものは何なのだろうか。

グラッツの理念は『感謝の気持ちをもって常にベストを尽くす』です。

その言葉と出会ってからどんな状況でも一生懸命教えてくれるコーチや仲間とか両親、仲間の保護者の方、体育館など練習ができることに感謝をして今できるベストを尽くそうという想いが強くなったし、グラッツに入って、前よりもバスケが好きになりました。だからこそ、もっと上手くなりたい、練習したいと思うようになったんだと思います。

始めはメンタルが弱くて、よく泣いていました。けれど、中学3年生からは厳しいことを言われても負けないメンタルを持てたし、強くなれたと思います。

出会いや日々の練習が明日香さんに感謝の心と強いメンタルを持たせ、もっとバスケットを好きになる環境になったのだろう。インタビューをしながら、明日香さんの想いがものすごく光栄なことであり、嬉しい言葉をたくさん聞くことができた。

他にもコーチとのエピソードでクラブチームに入っているので厳しいこともあるのですが、練習が終わった後に楽しく話しかけてくれるので、嬉しいです。

グラッツのコーチたちや、バスケットができる環境が大好きです。また、朝早い中、お母さんはお弁当をつくったり、駅まで送ってくれたりするので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

と関わる方々への感謝の想いも一緒に聞くことができた。

また母・真澄さんからはグラッツに入会したことによる変化を伺うことができた。

まさに本人も言っていた、感謝する気持ち、ベストを尽くすことにすごく意識をもって取り組み、バスケだけでないところでも意識高くやることができるようになっています。感謝の気持ちはことあるごとに言葉にして言ってくれるようにもなりました。

また今ある状況が当たり前ではないということを自覚できていると思います。親や周りの人達にも言葉で伝えてくれて、それを自分の中で当たり前として行動してくれていることは親として嬉しいですし、私自身も学びたいと思います。

さらに明日香さんから

恵まれている環境が当たり前だと思うと、感謝の気持ちを感じなくなるし、お礼も言えなくなると思います。

そうではなくて今この環境に感謝したいです。バスケットが好きなのはもちろんなのですが、仲間と共にベストを尽くすことで成長しあえることを学んだので、これからも周りの人と一緒に全力を尽くしながらバスケットを続けていきたいです。

アグレッシブな選手へ

ここまで明日香さんの今までの取り組みや学んだことを伺ってきたが、ここからは将来に向けどんなことを思っているかの話となる。

将来に向け、まずはバスケットのプレーを磨いていきたいです。

得意なプレーはディフェンスのアグレッシブさ、ルーズボールに積極的な所です。それに合わせて磨きたいプレーはシュート力、ガードとしてのゲームコントロールです。

高校に入って、先輩とのコンタクトに負けてしまうので、コンタクトしても負けない身体もつくっていきたいです。そのために、身体作りはどこを意識して鍛えるのか考えながらやりたいです。

シュート力については、シュートがすごく入る先輩がいて、その人にワンハンドで打てるように教えてもらいました。そのことを意識して頑張りたいです。

最後にゲームコントロールは高校だとスピードがあがるので、判断のタイミングも早くなると思っています。頭も使いながら失敗から学んで身につけていきたいです。

と次のステップに上がるために具体的に考え、何をすべきなのかまで目標を立てていた。

目標を立てて、1つずつこなしていくと話していた明日香さんらしさが見える。そんな明日香さんには憧れている選手がいるようだ。

Bリーグの川崎ブレイブサンダースに所属している藤井祐眞(フジイユウマ)選手に憧れています。初めて見た時に、あんなにハードワークなディフェンス・ルーズボールへ飛び込みなどをしていてすごいなと思ったのを今でも覚えています。

そこから意識して見るようになり、オフェンスでも体を張るプレーをしてチームの流れを変えたり、チームの苦しい状況を打開するプレーをしていて、こんな選手になりたいと思うようになりました。

この選手のハッスルプレーをまとめたプレー集を見てモチベーションをあげています。この選手を知ってから、ディフェンスも激しくするようになったり、よりルーズボールへ行くようになりました。ベンチにつっこんだこともあります(笑)こういうプレーがチームの流れを良い方向へ変えることに繋がるので、これからも真似して頑張っていきたいと思います。

見ている人に感動を与え、応援される選手になるために

これから高校生という次のステップに進む明日香さんの今後の目標を伺った。

高校でレギュラーに入ってスタメンになり、全国大会で活躍するのが目標です。自分のやるべきことを徹底して、一生懸命プレーすることで周りにいい影響を与えられるようになりたいです。そして、見ている人が感動したり、応援してくれるような選手になれるよう頑張っていきます。

前は自信がないことがありましたが、今はこれまでたくさんの出会いや経験のおかげで自信が持てるようになりました。将来に向けて頑張っていきたいです。

母・真澄さんは

比較的、身体を張ったプレーは得意なので、背は小さいけどルーズボールとかリバウンドなどのチームを盛り上げるプレーをこれからも続けてほしいです。そして、もっと自分に自信をもってプレーしてほしいです。今までは自信なさげなところもあったのですが、力もついてきていると思うので、そこは自分を認めて怪我なく楽しくやっていって欲しいと思います。

そして、バスケだけでなくこれからも互いを認め合い、互いを尊重することを大切に続けていってほしいです。これは今後どこへいっても大切なことであると思うので、そういった事ができる人になってほしいと思います。

明日香さんも母・真澄さんも自信をもってプレーすることをこれからの目標として掲げている。明日香さんも述べているようにたくさんの出会いや経験が糧になり、自信へとつながっていくのだろう。そして、その自信がプレーに現れ、表現したとき明日香さんのプレーから勇気や希望をもらうことができるのであろう。

そんな選手に成るべく挑戦しつづけるこれからの明日香さんを応援したい。

お世話になったコーチにメッセージ

3年間教えてもらったことを生かして、高校でさらにレベルアップして全国の舞台で活躍できるように頑張ります。また、グラッツに入って学んだ『感謝の気持ち』を忘れずに、バスケのこともバスケ以外のことも頑張っていきたいと思います。グラッツのコーチたちやエルトラックのコーチたち、みなさん大好きです。これにすべてが詰まっています。本当にありがとうございました。

PROFILE

名前:河地 明日香(カワチアスカ)

生年月日:2006年9月14日生まれ

出身:神奈川県泉区

TEXT_藤田 麗奈

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