
今回の物語の主人公は現在小学6年生の菊池あおいさん。あおいさんは5年生の2月に8スターズを達成した。獲得までには1年半かかったと言っていた。小学4年生から挑戦してきたその長い道のりの中で、あおいさんがどんなことを思い、日々取り組んできたのか、その姿が感じられる記事になっている。
負けたくない心が導いた
ERUTLUCには練習会で取り組んでいる7項目の技能検定がある。この技能検定は自主練習の延長として、子どもたちが主体的に取り組みながらなりうる最高の自分を目指していくことをねらいとしており、技能検定はそれぞれ初級者向けの7級から高難度の1級までで構成される。それぞれの級の内容をすべてをクリアするとその級の星をもらうことができるシステムで、この7つの星に、ある条件を達成すると獲得できる幻の星を加えた8つの星を揃えると、『8スターズクラブメンバー』に認定され表彰されるものである。
はじめに、この8スターズを獲得する条件の一つである技能検定について、あおいさんに伺った。
「あまり得意じゃないのは2ボールレイアップの1級です。同時にボールを2つ投げ上げてからシュートを決めるのがすごく難しくて、一番時間もかかりました。得意なのは体幹です。」
お父さんはこう振り返る。
「回転するのがあんまり得意じゃなかったなと思って見ていました。2ボール自体の扱いはそれなりにできるんですが、回転が加わった時に前に出なきゃいけない。小柄だと微調整がしづらいので、難易度に加えて体格的な面もあって大変だったのかなと思います。」
そんな課題を乗り越えられたのは、自主練習の積み重ねがあったからだ。家で練習している時にお父さんがそばで見守ってくれ、できた瞬間には笑顔で振り返ってくれた姿が印象的だったという。
技能検定の思い出について尋ねると、あおいさんはこう話してくれた。
「チームの練習が終わって家に帰ってきてからも、暗くなってボールが見えなくなるくらいまでやっていました。泣きながらも『まだやる!』って言って取り組んだこともあって、完璧にできるまで挑戦していました。」
また、ただ合格するだけでなく、「誰が見ても合格できる」と思えるような完璧な動画を撮りたいという意識で取り組んでいたこともわかった。上手くいかない時でも投げ出すことはなく、同じくらいの体格の友達が検定をクリアしたと聞けば「負けたくない」と奮起する。近くに良いライバルがいたことも大きな刺激となり、スクール全体で互いに切磋琢磨し合う雰囲気の中で力を伸ばしてきた。お父さんもインタビューを通して、そんな娘の意志の強さを改めて感じたという。

さらに、長い取り組みの過程については次のように語ってくれた。
「最初は全然できない課題もあったので、テニスボールを使った練習なんかは特に大変でした。だからいきなり全部をやるんじゃなくて、小さなステップに分けて取り組んでいました。『これができたら次はこれ』っていう感じで、自分なりに分解して積み上げていったんです。お父さんやお母さんにアドバイスをもらったり、練習を動画に撮ってスローで見返したりもしました。そういう小さな積み重ねが、最終的に技能検定の合格につながったんだと思います。」
今回のインタビューを通して感じられたのは、あおいさんにとって技能検定は「できるか・できないか」を測るだけのものではなく、自分を成長させてくれる挑戦の場であったということだ。
泣きながらでもボールを手放さずに取り組んだ日々や、ライバルの存在から刺激を受けて奮起した経験。そこには、小柄だからこその難しさを乗り越える工夫や、家族に支えられながら一歩ずつ前に進んでいく姿があった。
合格を勝ち取った背景には、完璧を目指す強い意志と、小さな積み重ねを大切にする粘り強さがある。そうして得られた「星」は、単なる検定の証ではなく、努力と成長の軌跡そのものだといえるだろう。
主体性が導く、新しい挑戦のカタチ
8スターズクラブメンバーに認定されるための条件には、技能検定の他にもう1つある。それはエルトラックの練習会に通う子どもたちに配られる冊子『子どものスポーツのすすめ』に書かれている内容をアウトプットすることだ。
エルトラックでは、学んだことをインプット(知ったり、学ぶこと)したり、アウトプットしたりする(誰かに話す)ことを大切にしている。『子どものスポーツのすすめ』はスポーツをする選手としてだけではなく、これから社会への貢献や活躍に向けて成長していく子どもたちが大人になっても必要になる考え方を学ぶことができる。その内容をアウトプットすることを通じて、あおいさんが印象に残っている話や学びになった話は何だったかを伺った。
この冊子には、これから成長するために大事な考え方や物事の捉え方など、様々なことが書かれている。話を聞くだけでなく、誰かに話すことでより深く理解し、身に付けることができる。
あおいさんに一番印象に残っている話を聞いてみた。
「あなたがと私がの考え方とプラスαの話です。」
「バスケがうまくなりたいと思っていた時にこの話を読んで、仲間やコーチに対して“あなたがこうしないから”と責任を相手に向けてしまうと、気持ちもプレーも前向きにならないと気づきました。逆に“私がこうする”と考えることで、プラスの気持ちになってメンタル的にも良いプレーにつながると思いました。」
実際にその考え方を意識してみると、笑顔でプレーできたり、ミニゲームで仲間と積極的にコミュニケーションをとれるようになったという。さらに「人が期待している以上のことをする」ことを心がけることで、仲間からの信頼も高まり、声をかけた時に「じゃあやってみよう」と受け入れてもらえる場面も増えた。

具体的なエピソードとして、練習中に周りが少しおしゃべりをしている時でも一人で集中して取り組んだり、練習後に自主的にレッグスルーのドリブルやシュート練習を続けたりしたことがある。そうした積極性が積み重なり、「試合に出たい」と思った時に、声や姿勢で周囲に思いを伝えることができた。
お父さんもこう語る。
「根底にあるのは“好き”っていう気持ちなんですよね。だからこそ検定カードの練習だけじゃなく、練習がない日でも自主練や体幹トレーニングを続けられる。それが強みだと思います。冊子の内容にあった“主体性”もまさにそうで、低学年の頃にはなかなか見られなかったけれど、バスケを通じて育まれてきたと感じます。これからは生活の中でもその主体性を発揮できるようになれば、さらに成長していけるんじゃないかと思います。」
「好き」という気持ちが成長の原動力になっていることが伝わってくる。主体性は技術の上達だけでなく、人としての成長にもつながる大切な力である。バスケットボールを通して育まれた主体性が、日常生活の中でも発揮される姿を楽しみた。
怖さが楽しさに変わる時
ここからはあおいさんがエルトラックと出会ったきっかけ、そしてあおいさんが通うスクールでの思い出や学んだことについてまとめていく。
はじめに、あおいさんがエルトラックの練習会に通い始めるようになったきっかけを語ってくれた。
「「同じミニバスの先輩から『いつも練習を頑張っているから、もっと上手くなるために行ってみない?』と誘われたことがきっかけでした。『楽しいよ』と背中を押してもらい、新しい挑戦へと踏み出すことになった。」
実際にスクールを通ったことによって、コーチからのアドバイスを実践に生かしてフィニッシュスキルの向上につながっているという。あおいさんは、
「スクールに通ってからは、コーチに教えてもらったことを意識して練習できるようになって、フィニッシュスキルも上がったと思います。その後も練習したり、ドリブルやハンドリングをやったりして、本当にバスケ尽くしです。
毎日というよりは、常にバスケのことを考えている時間が多い感じ。だから一日24時間、頭の中がバスケ尽くしみたいなんです。」
ERUTLUCのスクールに参加して、多くのことを学び、すべてにおいて変わったというあおいさん。果たしてどんな変化があったのだろうか。
練習会を通じて、あおいさんは人としても成長を感じているという。
「最初は知らない人の中に入るのが怖かったり、初めての場所に緊張したりしていました。でも今は、それが楽しいに変わっています。」
もともと自分のチームでもコミュニケーションが課題だったが、練習会に参加することで少しずつ変化があった。特に、6年生の先輩たちが下の学年に向けて「ドンマイ!」と声をかけてくれたことがきっかけとなり、自分も声を出すことや仲間を励ますことを意識するようになったという。
今では練習中に積極的に声をかけたり、コーチの手伝いをしたり、準備や片付けを率先して行ったりする姿も見られる。そうした小さな積み重ねが、プレーだけでなく人としての成長にもつながっている。
最後に、練習会の中で意識していることについて聞いてみた。
「声を出していないと雰囲気が悪くなっちゃうし、下の学年の子たちも楽しくプレーできないと思うので、盛り上げるように意識しています。金曜日の練習のときなんかは、ライバルもいるから負けないようにドライブを頑張ったりしています。」
また、あおいさんはコートに立っている時だけでなく、コート外での行動にも意識を向けている。プレー以外の場面でも周囲に気を配り、自分にできることを考えて動く姿勢が印象的だった。
あおいさんを練習会に通わせてよかったと感じるエピソードについて伺うと、お父さんはこう話してくれた。
「どうしてもミニバスでは“勝つこと”が大きな目標になるので、練習時間や練習の内容に差が出てしまったり、技術よりも戦術に寄った内容になることもあります。もちろんそれは大切なことなんですが、『もっと純粋に上手くなる練習ができたらいいのに』と思うこともありました。
その点、エルトラックの練習会では、勝ちにこだわらないというわけではなく、“上手くなる”という方向に向かって、いろんな仲間と一緒に取り組める環境があるのがありがたいですね。普段のチームメンバー以外と練習できるのも大きいです。
特に今は最高学年になり、試合で勝つためにどうするかを考える場面も増えていますが、エルトラックでは1対1で守り切る、抜き切るといった個人スキルを磨ける。チームで勝つための経験と、個人の技術を高める練習、その両方ができるのは本当に良い環境だと思います。」
“好き”が原動力
最後は、あおいさんの未来についてまとめていきたい。
バスケットボール選手としても、一人の人としても、これからの成長がとても楽しみなあおいさん。どんな思いを抱いているのか、将来についてじっくりと伺った。
まずは、バスケットボール選手としての現在地について尋ねた。
得意なプレーを聞くと
「スピードで相手を抜き切ること。」と力強く答えてくれた。
一方で、課題として
「体の強い選手に対してシュートをブロックされたり、かわそうとして逃げてしまうことがある」
とも話してくれた。さらに
「ディフェンスも頑張りたい。ボールマンを守ることも、ディナイやヘルプもできるようになりたい。」と、攻守両面での成長意欲を語ってくれた。
今は得意な部分をさらに磨きながら、課題の克服にも力を注いでいるという。具体的には、
「金曜日の練習はディフェンスがハードなので、1対1やディナイを意識して取り組んでいます。オフェンスではそういうディフェンスに対してもシュートを決め切る、止まってからでも押し切ることを意識しています。」
と取り組みを教えてくれた。実戦の中で課題に挑み、少しずつ克服しながら自分のプレーを高めようとする姿勢が、強く印象に残った。

続いて、将来どんな選手を目指しているのかを聞いた。
憧れの存在として名前を挙げたのは「町田瑠衣選手(現:富士通レッドウェーブ所属)と宮崎早織選手(現:ENEOSサンフラワーズ所属)。」
「ボールさばきや片手でのパス、体格が小さいのにブロックされずにスピードで抜けていく姿は本当にすごいです。メンタル的にも強くて、失敗しても諦めずにゴールへ向かう姿勢や、ディフェンスで取り返す姿はとても勉強になります。」
憧れの選手のプレーやメンタルから多くを学び、自分自身のプレーをより磨いているのだろう。プロ選手を参考に、バスケットボールのプレーも人間性の部分も成長していってほしい。
では、あおいさん自身はどんな選手になりたいのだろうか。
「みんなが信頼できたり、『あの子になら任せられる』と思われるような存在になりたいです。 「中学生ではH4Hに所属します。練習試合などでもしっかり挨拶をして、チームの看板を背負っているという意識をもちたいです。服装や態度ひとつで評価が変わると思うので、責任感を大切にしたいです。」
バスケットボール選手としてももちろんだが、人としての振る舞いにも目を向けている姿は、小学生とは思えないほど頼もしい。
そして夢について尋ねると、少し照れながらもこう話してくれた。
「なるべく長い期間、バスケットに関わる人生を送りたいです。身体を動かすことが好きだし、好きなことを長く続けられるようにやりべきことをしっかり、行っていきたいです。」
華やかな舞台を夢見るだけでなく、“好きなことを長く続けたい”という等身大の願いが、あおいさんらしい魅力となっている。
最後に、お父様にもあおいさんへの思いを伺った。
「やっぱり好きなんですよね、バスケが。そんなに好きなことに出会えない人も多い中で、早い段階で夢中になれるものを見つけられたのは本当に幸せなことだと思います。その“好き”がずっと続いてくれればいいなと思っています。親としては細かいことをどうこう言うつもりはなくて、本人が好きでいられるようにサポートしていきたい。これだけ打ち込めるものに出会えていることは、正直、大人から見ても羨ましいし素晴らしいことだと思います。」
家族の温かいまなざしに支えられながら、夢に向かってまっすぐ進むあおいさん。バスケットボールを通じて学ぶ努力や責任感、そして何より“好き”という気持ちこそが、彼女をこれからも大きく成長させていくだろう。
最後にメッセージ
最後にあおいさんからお世話になった方々へ 、8スターズ獲得を目指す後輩たちへ、それぞれにメッセージをいただいた。
・コーチ
「4年生から練習会やキャンプで多くのコーチにお世話になりました。
特に練習会では竜一コーチ、和樹コーチ、そうしコーチ、もんコーチ、練習内容や検定でたくさんのアドバイスをありがとうございました。
そして水野コーチ、いつも技術面精神面で大切なことを教えてくださりありがとうございます。H4Hに内定をもらってからは練習会でも時に厳しい指導をしてくださり、それがとても嬉しいです。H4Hでチームに貢献して、勝たせられる選手になれるよう頑張ります。これからもご指導よろしくお願いします。」
両親へ
「いつも自主練につきあって、アドバイスをくれてありがとうございます。検定の練習も遅くまでつきあってくれて、アドバイスや応援がなかったら8スターズは取れていなかったと思います。連れて行ってもらっている自主練やスクールを一生懸命に、毎回全力で実りのある物にしたいと思っています。食トレもしてくれてとても感謝しています。」
一緒にバスケしてくれる仲間
「1番の支えは家族だけど、チーム・友達は2番目の支えの存在でした。信頼できて、練習を通じていろんな仲間ができました。ライバルで高め会えるし、励まし合えることがありがたかったです。ミニバスももう少しですが、仲間との時間を大切に、感謝を忘れないようにし、励まし合い、お互い高めあっていけるようになりたいです。」
後輩たちへ
「難しくて、くじけそうになるかもしれませんが、仲間に感謝してお互いに高めあってレベルアップ↑頑張ってください。ねばり強くくじけずに進み続けたら、大きな壁も乗り越えられると思うので頑張ってください。応援してます!」

名前:菊池 あおい(キクチ アオイ)
生年月日:2014年3月24日生まれ
出身:千葉県千葉市


