悔し涙の先に掴んだ栄光、5ヶ月で駆け抜けた「最高な自分」への挑戦

今回の物語の主人公は小学5年生の平林 杏音(ひらばやし あのん)さん。8スターズを獲得するまで、わずか5ヶ月という異例のスピードで駆け抜けた。その道のりの中には、なかなかクリアできずに悔し涙を流した夜もあったという。しかし、目標に向かって決して諦めなかった杏音さんの強い意志が、この記事には凝縮されている。

「絶対に諦めたくない」涙の数だけ積み上げた自信

ERUTLUCには練習会で取り組んでいる7項目の技能検定がある。この技能検定は自主練習の延長として、子どもたちが主体的に取り組みながらなりうる最高の自分を目指していくことをねらいとしており、技能検定はそれぞれ初級者向けの7級から高難度の1級までで構成される。それぞれの級の内容をすべてクリアするとその級の星をもらうことができるシステムで、この7つの星に、ある条件を達成すると獲得できる幻の星を加えた8つの星を揃えると、『8スターズクラブメンバー』に認定され表彰されるものである。 はじめに、この8スターズを獲得する条件の一つである技能検定について、杏音さんに伺った。

得意だったのは『体幹』と『コーディネーションレイアップシリーズ』でした。体幹は他の種目よりも順調に進んで、一番得意でした。レイアップシリーズは慣れるのに少し時間がかかりましたが、慣れたら自分の身体に感覚が染み付いて、クリアしやすかったです。

体幹メニューが順調に進む一方で、立ちはだかったのが細かな技術を要する種目だった。

逆に苦手だったのは『テニスボールドリブル』です。4級まではクリアしやすかったけれど、3級からはドリブル回数が増えて、テニスボールを壁に当てる位置を工夫したり、自分の立ち位置を調節したりすることが必要だったので、コツを掴むのに苦戦しました。1級の時では、2級の時のドリブルの項目の癖が出てしまって、フロントチェンジを2回にするべきところをフロントチェンジ1回にしてしまいそうになることも多かったです。『ダブルフロントにならなきゃ!』とずっと意識して練習していました。

テニスボールドリブルとは、テニスボールを壁に当ててからキャッチまでに決まった項目のドリブルチェンジを行う必要があり、それを1回やればクリアではなく、複数回ミスなしでやらなければいけない集中力と大きさの違うボールの操作の正確性が求められる。そんな杏音さんが一番大変だった項目があったという。それは一体、なんだろうか。

体幹が得意と言ったのですが、ギャノンプッシュアップだけはなかなかクリアできなくて、一番大変でした。筋力的にも難しかったのですが、板橋コーチに会うたびにアドバイスをもらって、1ヶ月間ひたすら練習してクリアしました。練習の時は、お尻が上がらないように身体を一直線に保つことや、ボールの中心を感じて、自分の手足の真下に来るようにすることで、ボールの上に乗ることが楽な位置になるように、細かいポイントを意識するようにしていました。

技能検定の中では、1級の『ギャノンプッシュアップ(不安定なボールの上に手足を乗せて行う腕立て伏せ)』が最大の壁となったようだ。この種目は筋力的なハードルも高い中で杏音さんはなんと小学5年生の時にクリアしたのだ。

8スターズ獲得に向けてかなりのスピードでクリアをした杏音さん。そんな杏音さんは、なかなかクリアができなくて、悔し涙を流した夜もあったそうだ。しかし、その悔しさを乗り越え8スターズ受賞という成功を掴むことができた。成功の裏に一体、どんな想いがあったのだろうか。杏音さんを動かしていたものとは一体なんだろうか。

悔しくて泣いちゃうこともあったけれど、やっぱり自分で決めた夢は諦められませんでした。だから、また頑張ろうと思って取り組み続けられたんだと思います。

難しい課題に直面したとき、言われたポイントを正確に理解し、どうすればできるかを考え抜いた杏音さん。その裏には、想像を絶する努力があった。 悔しくて泣きながらも、自分で決めた目標から逃げなかった杏音さん。 自分を信じて、取り組んできたからこそ、8スターズ獲得という目標を達成することができたのだろう。1つのことに向かって成し遂げる経験はこれからの杏音さんの人生において、大きな糧となる。その様子を一番近くで見られていた母・あづみさんが語ってくださった。当時の様子をこう語る。

本格的に始めた6月から、10月に受賞するまでの5ヶ月間は本当に凄まじい熱量でした。特に夏休みは、チームの練習が午前・午後とある日でも、夜に体育館を予約して3時間通しでテニスボールドリブルの練習をしていました。疲れて集中力が切れてくると、失敗して泣き出してしまう日もありました。でも、私が『もう今日はやめにしよう』と言っても、本人は『絶対にやめたくない!余計なことを言わないで!』と泣き叫びながら練習を続けていました。自分の感覚を忘れないうちに、すぐ次の練習をしたいと自分から訴えてくる姿に、親の方が圧倒されました。

戦うのは自分自身、勇気と思いやりで「Win-Win」を目指す

8スターズクラブメンバーに認定されるための条件には、技能検定の他にもう1つある。それはエルトラックの練習会に通う子どもたちに配られる冊子『子どものスポーツのすすめ』に書かれている内容をアウトプットすることだ。 エルトラックでは、学んだことをインプットしたりアウトプットしたりすることを大切にしている。杏音さんが特に学びになった話として挙げてくれたのが、『勇気と思いやりのバランス』というお話だ。

印象に残っているのは『勇気と思いやりのバランス』です。みんながハッピーになる『Win-Win』の関係になるためには、勇気と思いやりの両方のバランスが必要です。私はこれまで、思いやりが強すぎて勇気が弱くなってしまうことがありました。

この話は、人との関わりの際に意識すると良いことの1つとして紹介している。大事なことを伝えるには、勇気が必要なことである。しかし、勇気が強すぎて相手がその話を受け取る準備ができていないときは、いうことをあえて控えるバランスも必要になるという話だ。

この話を通じて杏音さんにとって、行動に変化があったという。それは一体どんな変化なのだろうか。「試合に出る順番やローテーションを決めるとき、本当は出たい気持ちがあっても『いいよ、いいよ』と周りに譲ってしまうことがありました。でも、それだと自分だけが我慢する『Lose・Win』になってしまいます。このお話を読んでからは、もし次に同じようなことがあっても、思いやりは大切にしながらも、『自分が出る!』という勇気をもって伝えてみとうと思えるようになりました。

具体的に、チーム内でのコミュニケーションで勇気をもって想いを伝えるようになったという。その行動の変化は、とても大きな壁が立ちはだかるような怖さがあったのではないだろうか。しかし、その壁を乗り越えた杏音さん。その変化が行動を変え、環境を変えていくのではないだろうか。

他にも、成功のピラミッドにある『勤勉さ』の大切さも学んだ杏音さん。 

お昼休みや練習の合間に、お母さんと一緒にページを決めてコツコツ読みました。勤勉に、情熱を持ってやり続けることが成功に繋がるんだと分かったので、3時間の練習も頑張れたのだと思います。」 

自分の性格を客観的に見つめ、冊子の教えを日々の生活やチームの中での振る舞いに結びつけている。この学びが、バスケットボール選手として、そして一人の人間として大きく成長させた。

母・あづみさんも、一番近くでその変化を感じてきた。

最初は挫折するんじゃないかと半信半疑でしたが、彼女は自分で決めたことをやり抜きました。5年生でここまで明確な目標を持ち、行動を変えていく姿には驚かされました。親ができるのは体育館を予約したり、映像を撮ったりするサポートだけでしたが、彼女自身が自分から『次!』と進んでいく姿を見て、本当に素晴らしい機会を与えてもらったと感じています。

練習会で積み重ねた、小さな成功体験

ここからのエルトラックの練習会に通い始めたきっかけや、そこでの思い出、学びになったことについて聞いた。

杏音さんがエルトラックの練習会に通い始めるようになったきっかけは、2歳上の姉の影響だった。 「お姉ちゃんが入った日に練習を見に行って、『私ももっと上手くなりたい!』と思ったのがきっかけです。最初はサンデースクールで、コーチたちとしっぽ取りゲームをしたり、遊んだりしながら、楽しく学べる環境で好奇心が育ちました。

小学2年生からサンデースクール、火曜練習会、そしてステップアップ練習会と3つのクラスを経験してきた杏音さん。それぞれの環境で、多くのコーチや仲間と出会ったことが思い出だという。 

他のお友達が仲良くしてくれて、色々な子とペアを組んだり、上手な子と一緒に練習することで自分も上手くなれたのが嬉しかったです。しっぽ取りのメニューでは、足の速いコーチを目標にして追いかけるのがすごく楽しかったです。

環境に合わせて自らの技術を磨き、仲間からも刺激を受けてきた。そんな中で杏音さんが磨かれた武器があるという。それは一体何なのだろうか。

スキル面では、自慢の足を活かした『プッシュクロス』です。練習でやったドリブルスキルを試合などで使って、相手を抜けたときは最高に嬉しいです。小さな一つ一つの積み重ねが、大きな結果や自信に繋がっているのを感じます。男子選手ともマッチアップしますが、ディフェンスをよく見て技を使い分けることの大切さも学びました。

母・あづみさんは、

板橋コーチは、基礎から実戦で使えるスキルまでを明確に提示してくれます。本人も、検定の項目が実際のプレーのどこに繋がるのかを理解し、納得して取り組んでいました。コーチ陣が一人ひとりをしっかり見て、何が足りないかを寄り添って提示してくれる。そんな素晴らしい大人たちと接することができたのが、彼女にとって大きな財産です。

スキル面も人間性の部分も、杏音さんにとってどれも練習会の外で活かすことができるものばかりなのだろう。そういった、選手一人一人に寄り添い、1週間に1日しか会えない時間が、残りの6日間の時間をさらに彩り良くするものになっていたのだとしたら、私たちにとって、とても幸せなことである。

夢に向かって挑戦し続ける

最後は、杏音さんの未来について。バスケットボール選手としても、人としても成長を続ける彼女は、明確なビジョンをもっている。そんな杏音さんのこれからの未来像について伺った。

得意なプレーはシュートです。また、ドリブルでディフェンスにギリギリまで近づいて切り返すことも得意です。これからの課題は、自分より身長が大きい選手と戦うときの技や判断です。私は139cmとチームでも小さい方なので、もっとドリブルの変化を身につけて、大きい相手をかいくぐれるようになりたいです。

バスケットボールという競技は、身長が高い選手が有利なスポーツであり、その中で杏音さんはどうプレーしているのかを考えている。その意識の高さは、杏音さんの成長を後押ししてくれるだろう。その意識の高さには、杏音さんの中で、達成したい目標があるからであるそうだ。杏音さんの糧になっているものは一体なんだろうか。

憧れの選手は、NBAのクリス・ポール選手だ。


密集地帯でもディフェンスを引きつけ、絶妙なタイミングでパスを出すリーダーシップと、オールラウンドな能力に憧れています。私も、困った時はチームを助けるようなプレーをしながら、コートの中で声をかけられる、常にコミュニケーションを大事にできる選手になりたいなと思います。

そして、将来はプロのバスケットボール選手になりたいです。世界という大きな舞台で活躍して、みんなに信頼される選手を目指します。6年生になったら、自分がいない時でもみんなに声をかけて、チーム全員で優勝したいです!

母・あづみさんは、

私たちが小さかった頃っていうのは将来の夢っていうのをなかなか設定することや、見つけることってすごく難しかった時代だったように思います。ですが、娘たちは自分がしたいことを見つけやすい環境に生まれてきているので、その点将来の夢や目標を小学5年生でも設定できているのは嬉しいなと思います。明確な目標が見えているのであれば、できる限り親としてサポートしてあげたい。この恵まれた環境で、彼女らしく成長していってほしいと願っています。

自分の中で決めた目標、選手像を目指して努力を続けている杏音さん。8スターズを獲得したように、自分を信じてこれから進んでいって欲しい。きっと、ここでの経験が杏音さんを強くしてくれるはずだ。夢に向かって純粋に向かっていく杏音さんをERUTLUC一同、応援している。

最後にメッセージ

最後に杏音さんから、お世話になった方々へ、そして8スターズ獲得を目指す後輩たちへメッセージをいただいた。

板橋コーチへ 

いつも相談に乗ってくれたり、お手本を見せてくれたり、熱心に教えてくださってありがとうございます。コーチが色々なことを教えてくれたおかげで、ここまで来ることができました。これからもよろしくお願いします!

お母さんへ 

毎日忙しい時間を削って、私のわがままな練習に付き合ってくれてありがとう。お母さんがいなかったら体育館に行けないし、映像も撮れませんでした。いつも支えてくれてありがとう。大好きだよ!

8スターズクラブを目指す後輩たちへ 

難しいことがあっても諦めずに、『自分ならできる!』と強く思えば必ず達成できます。その気持ちを大切に、ぜひ頑張ってみてください!

PROFILE

名前:平林 杏音(ヒラバヤシ アノン)

生年月日:2015年02月23日生まれ

出身:千葉県市原市

TEXT_藤田 麗奈

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