スペインコーチツアー特別レポート Vol.3(ピティ・ウルタド氏との会談③) 

日本文化とコーチングのジレンマ


2017年3月10日、スペインコーチツアーにてピティ・ウルタド氏と会談をさせて頂きました。ピティ氏は元レバンガ北海道のヘッドコーチで、現在はスペインでコーチ業やテレビ解説などもされている方です。日本とスペインの両国のバスケットを熟知するウルタド氏の視点からいろいろなお話を聴くことができました。会談の内容をレポートにまとめましたので是非多くの皆さんにご覧頂ければと思います!!!今回は会談レポート第3弾として皆様にお届けします。



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出典:@PitiHurtado

ピティ・ウルタド氏について
1999年より指導者のキャリアをスタートさせ、スペインリーグ(ACB)の複数のチームでアシスタントコーチとして活躍。同時に育成年代の指導も行っており、スペイン協会では指導者育成にも関わるなど多方面で活動。
2013-14シーズンNBLのレバンガ北海道のHCに就任。
現在は育成年代の指導の傍ら、バスケットボールのテレビ解説者としての活動も行っている。

コーチに影響を与える日本の文化


最近はバスケットボールを意欲的に学んでいるコーチがたくさんいると思います。
ここで一つ質問です。

「皆さんは自分が何かを学んでチームに戻ったとき、その新たに学んだことを練習に取り入れるよう、先輩コーチ(つまり監督や年配のコーチ)に提案することができますか?」

より成長に繋がるポイントがあったとしても、中々言い出しづらいのが現状だと思います。それは何故だろうと考えたときに、日本では先輩、後輩の関係が強かったり、昔から行われていることを大切にしようという文化があったりと、新しいことを始めようと提案することが難しいのではないかと感じます。また先輩コーチが退団し、自分がヘッドコーチとなったときも、昔ながらのやり方を変えずに引き継ぐことが多いのではないでしょうか。もちろん昔から変わらずに重宝されるドリルなどがあることは事実ですし、そういったものは継続していく価値があります。
しかし、そこで立ち止まってばかりではなく、より良い方法をコーチとして取り入れていき選手の成長に貢献できるコーチが素晴らしい指導者です。




レジェンド選手がいることで


レジェンド選手がいることで、観客の動員数やグッズの売上などはとても上がると思います。人気があるということは技術的にも高く、試合への影響度ももちろん高いわけです。そのため他のチームはその選手を研究してハードにディフェンスをしてきます。
そんな時にチームのコーチは、試合を想定し、練習でマッチアップをする選手にハードなディフェンスをするよう指示をします。しかしディフェンスにつくのが若手の選手だとしたら、ベテランの選手へ真に激しいディフェンスができるでしょうか?それがコーチの指示だとしても、なかなかに難しいと思います。なぜ難しいかというと、それは日本人が幼い頃から年功序列や縦社会といった文化と共に生活しているからです。このような文化が自チームの目上の人に本当の意味でのハードなディフェンスを行うことを難しくさせていると自分がチームを指揮していた時に感じました。

普段からハードなディフェンスを経験していなければ、試合の中で対応することは難しいでしょう。よりチームを向上させられるように年齢や経験に関わらずお互いがハードにプレーし合えるようなコーチ側の問いかけとレジェンド選手の取り組み方というのを見せられるとより良いでしょう。




選手のエゴについて


選手のエゴについて皆さんはどのように考えますか?
チームのレジェンドやエースの選手、学校の上級生や大学であれば4年生などは個人のエゴを強く持ちやすいです。そのような問題をどのようにマネジメントするかは指導者の力量を求められる部分でもあります。コーチとして各個人のエゴをマネジメントしなければならないが、エゴは選手個人の問題であり、個人が解決する部分も多い。その時にコーチが個人のエゴに影響されチームが振り回されてチームの進歩を止めることになってはいけません。
コーチの仕事はチームを向上させることです。ある一人の選手がエゴを持っていたとして、その選手に振り回されてはいけない。コーチとしてチームを良くすることを大事にしなければいけない。そんな時に大事になるのはチームとしての優先順位は何かを明確にすることです。




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出典:@PitiHurtado

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