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海外プロジェクト スペインコーチツアー特別レポート Vol.7(フエンラブラダ育成責任者 ナチョ・ロディージャ氏インタビュー②)

2017年7月24日

スペインプロリーグ(ACB)所属のフエンラブラダの育成クラブについて

2017年3月10日、スペインコーチツアーにてNacho Rodilla(ナチョ・ロディージャ)氏にインタビューをさせて頂きました。
現在スペインプロリーグ(ACB)所属のフエンラブラダの育成責任者のインタビューレポート第2弾です!

Nacho Rodilla
出典:Nacho Rodilla Gil – Entrenador en Llíria

ナチョ・ロディージャ氏について
・身長2mのポイントガードとしてスペインプロリーグに1部で14年間プレー
・元スペイン代表選手(銀メダル獲得)
・バレンシア在籍時に国王杯で優勝に導く
・現在スペインプロリーグ(ACB)所属のフエンラブラダの育成責任者

  技術以外に強調して伝えていること  

ナチョ氏の指導哲学は「競争心を育むこと」
個人技術や試合で勝つための戦術的なことも教えているが、それ以上に大切だと思うことは、選手たちの競争心を育むことだそうだ。
大会への参加やリーグ戦を通じて勝敗や自分以外の選手と関わることで感じる、「悔しい」という想いや「もっとできるようになりたい」という気持ちに対してコーチとしてサポートすることを心がけている。選手がより成長する時というのは、選手自身にもっと上手くなりたいという想いが芽生えた時である。
  所属選手やスタッフたちのモチベート  
フエンラブラダの育成責任者としてヘッドコーチやアシスタントコーチ、所属する選手たちとの会話をナチョ氏は非常に大事にしている。その会話を通して選手との信頼関係を構築し、バスケットボールに対する姿勢や考え方などにポジティブな影響を与えられていると考えている。
そして良い選手、良いスタッフがいてもそれぞれが向上したいというメンタルがなければ、より良いチームにはなれない。だからこそ自分がコート内外に関わらずサポートをしている。

多くの選手は何かしらメンタルの問題を抱えている。メンタルの問題は選手だけで抱え込ませず、コート内ではコーチたちがメインでサポートし、寮では寮母さんがサポートできるようにフエンラブラダでは取り組んでいる。選手のメンタルが弱っている時は思い通りにいかないことも多く、フラストレーションも溜まりやすい。
その状態を少しでも取り除いてあげるためにもスタッフや寮母さんの存在は選手にとっても大切だと感じている。将来的に良い結果を残す選手は、元々スキルや身体能力に恵まれていないとしても、良いメンタルと高い競争心が備わっている選手であることが多い。

  今後のフエンラブラダのコーチ育成について  
フエンラブラダに来る前までは、このチームは明確な指導方針がなくそれぞれのコーチのやり方で指導を行っていたが、これではクラブ内でのズレができてしまい、選手の成長にもマイナスの影響を及ぼしており、クラブとしての価値を高めることができていなかった。
私がフエンラブラダに呼ばれたのもクラブとしての指導方針の整理と各コーチへの共通理解を促すことを期待されてのことだった。
それまで活動しているスタッフや選手の様子を観察し、これまでの良い部分は残しクラブとして統一できるように、また曖昧な部分は選択基準を設けてクラブとしての統一が図れるようにコーチ共通のプログラムを作成した。

IMG_5604

  良いガードを育てるために必要なこと  
ポイントガードにとって一番大事なのは、チームにとって一番最適な選択ができること。
シュートを打ちたい選手やドライブを仕掛けたい選手が様々いるが、そういった選手はポイントガードには向いていないかもしれない。本能的にチームにとってより良い選択をしようと考えられる選手を発掘したほうがよりチームにとってプラスになることが多いだろう。

この瞬間に何を選んだらいいのかを判断できること、この選手に打たせるべきか、自分が攻撃すべきか、インサイドに入れるべきか。シュートの調子が良い選手は誰か。相手チームに勝っているところはどこなのか。
本能的にチームにとって最善なプレイを判断できる選手を導きだせる賢い選手を育てることがガードの育成にとっては大事だと思っている。コート上の監督としてのメンタリティを持っている選手を育てられると良いだろう。
もちろんポイントガードをやる時には、ハンドリング能力が無ければいけないし、少ないシュートチャンスでしっかり決められなければいけない。周りの状況を見れてどこが優位なのか、リーダーとしてコミュニケーションが取れるという必要条件はいくつかあるだろう。

私が現役だった時の周りのポイントガードは、サイズが小さいがスピードがあって、ディフェンスもでき、得点はあまり取らないという選手が多かった。私の存在はそんな従来のポイントガード像を変えるきっかけにはなったかもしれない。それは私のプレースタイルが得点を取るべきときは得点を狙い、ポストからもプレイしたりと、これまでのポイントガードの在り方を変える存在になっていたと思う。

バスケットボールを始めたときのコーチが、自分は背が大きかったが周りを見ることができたのでセンターではなくポイントガードを勧められたのがきっかけでポイントガードとして成長することができた。
コーチとして背が大きいからセンターと決めるのではなく、その選手自身の特徴であったり、性格であったりを考慮してポジションを選定していけると良いだろう。

  ディフェンスについて  
ディフェンスで大事にしていることは、一人ではなくチーム全員で相手を止めるということ。ハンドワークを多用し、オフェンスに躊躇させたり、ヘルプに行くと思わせて行かないというようなことも練習で多く取り入れている。

これは私自身アイトーコーチから教わったものを活用させてもらっている。
2線のディフェンスはディナイだけではなく、ドライブに対してヘルプするふりをして戻るとか、ピック&ロールやオフボールスクリーンでもただ待っているのではなく身体と手をうまく使いパスに対するプレッシャーをかけたりする。アンダーカテゴリーからディフェンス側からチャレンジさせることで様々な経験を積むことができ、インターセプトなどが多くなったりもする。

  選手とコーチの関係性  
コーチに対する尊敬、敬意が大事である。選手が技術的に上手いからと言って、その選手がコーチより偉くなることはない。実際にプレーしたら現役の選手にコーチが敵うわけがない。コーチも選手としての経験とコーチとして経験を得てその場にいるわけで、選手がコーチより上の立場にいることはない。練習中はコーチの話をたくさん聞くべきであるし、試合で判断するための情報もたくさん聞くべきだと思う。そして最終的にコートの中で決断するのは選手自身である。




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