バスケットボールの家庭教師

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海外プロジェクト スペインコーチツアー特別レポート Vol.1(ピティ・ウルタド氏との会談①) 

2017年5月26日

レバンガ北海道時代に感じたバスケットボールについて

2017年3月10日、スペインコーチツアーにてピティ・ウルタド氏と会談をさせて頂きました。ピティ氏は元レバンガ北海道のヘッドコーチで、現在はスペインでコーチ業やテレビ解説などもされている方です。日本とスペインの両国のバスケットを熟知するウルタド氏の視点からいろいろなお話を聴くことができました。会談の内容をレポートにまとめましたので是非多くの皆さんにご覧頂ければと思います!!!今回は会談レポート第1弾として日本でヘッドコーチとして体験した経験や日本について感じた内容を中心にお届けします。

Piti
出典:Hurtado y Fernando Burgos defienden

ピティ・ウルタド氏について
1999年より指導者のキャリアをスタートさせ、スペインリーグ(ACB)の複数のチームでアシスタントコーチとして活躍。同時に育成年代の指導も行っており、スペイン協会では指導者育成にも関わるなど多方面で活動。
2013-14シーズンNBLのレバンガ北海道のHCに就任。
現在は育成年代の指導の傍ら、バスケットボールのテレビ解説者としての活動も行っている。

日本で働くきっかけをくれたセルヒオ氏

私が日本で働くきっかけをくれたのはセルヒオ氏でした。そのセルヒオ氏のおかげで、レバンガ北海道でヘッドコーチとして1シーズンと半分を経験することができました!その中で、日本という国の良い部分、日本の文化、そして日本人のスポーツに対するメンタリティなどを知ることができました。日本人はシャイなところもあり大勢の時になかなか質問してくれないことが多いですね。ですので今回の会談中も疑問や興味をもったときにはいつでも質問して欲しいですね。

※セルヒオ氏について
Sergio Ruiz Antoran(セルヒオ・ルイス・アントラン)
エルトラックのスペインコーチツアーではお馴染みの現地コーディネーターのセルヒオ氏。
現在はマドリッド近郊で恵まれない環境にいる子どもたちが集う施設を切り盛りし、そこで子どもたちにバスケの指導も行っている。またACB所属のエストディアンテスでも育成年代のコーチを担当している。元はジャーナリストで日本の月刊バスケットボールにも寄稿したり、ACBのゲームのラジオに出演したりと忙しい毎日を過ごしている。
日本にも来日したことがあり、その際は「スペインウィーク」と題し、日本の子どもたちにもクリニックを行った。

国の特徴や選手の特徴に合わせた指導や強みを出していくために

日本のバスケットボールもアメリカから多くの事を学んでいると思います。但し、アメリカ人選手の学び方、またアメリカ人コーチの指導の仕方、そして各国の選手が成長していく過程というのは国によって違うと思います。何故ならそれらには文化的背景が関わってくるからです。だからこそ、アメリカでやっているものをそのまま日本人が真似をしてもうまくはいかないだろうし、それはヨーロッパの国々でも同じことが言えます。ヨーロッパ各国も80年代から変わってきました。アメリカ式の成長のさせ方ではなく、ヨーロッパではコートの中で素早く判断し、決断出来る力というのに注目し、それらを磨いてきています。
黒人選手特有の高い身体能力というのはヨーロッパや日本の人々はあまり持っていないと思います。だからこそヨーロッパの人々に合うもの、日本人に合う別の方法を模索していく必要があるでしょう。その一つの方法として「状況判断の素早さ」や「決断の素早さ」を高めていくということをスペインではアイデアの一つとしています。

日本の練習を見て感じたこと

日本のコーチはすごく勉強熱心で、良い力・能力を持っていると思います。しかし、それが実際の練習の中で生かしきれていないとも感じました。そのように感じた部分の一つとして練習日数も多く、練習時間も長い、それに比べて練習の進み具合が遅いなと感じました。
実際のバスケットボールの試合はだいたい1時間程度の長さです。1日2試合あったとしても2時間強です。その時間の中で全力を出し切れるようにするほうがよりチームとして良い結果を生み出すのではないかと感じました。

また、日本人はミドルショットを決められる選手はたくさんいるが、3Pのロングショットになると確率良く決める選手はとても少なくなります。3Pを決めきるグッドシューターが少ないと感じます。スペインのレアル・マドリッドというチームのセルヒオ・リュルという選手がいますが、シュートを決められる範囲がとても広いためマークにつくディフェンスはかなり広い範囲まで守らなくてはいけません。ディフェンスにとっては非常に守りにくい選手の一人です。

現代のバスケットボールでは試合データから得点の期待値というものが出され、戦術や優先順位などが決められます。ペイント内のシュートやロングレンジ、ミドルレンジの得点期待値を比べるとミドルレンジがどのチームも低くなっています。だからこそ、戦術の中では、ペイント内のシュートもしくはロングレンジのシュートが多くなっていますね。
しかし、日本ではミドルレンジのシュートを練習するシーンを良く見かけます。この状況はロングシューターの育成には繋がりにくいと感じます。

PHh
出典:El entrenador cacereño de balonceso

レバンガでヘッドコーチをしている時に疑問に思ったこと

レバンガ北海道でヘッドコーチをしているときに1試合で2,3回起きていたことがあります。それは選手が3Pだと思って打ったシュートがラインを踏んでいたため2Pになってしまったことが何度もありました。
なぜそういった事が頻繁に起きるのだろうと考えた時に、選手たちはジュニアの時期から、3Pラインギリギリの位置から打つ練習を数多くこなしてきており、3Pラインから離れた位置からのシュートを打つ経験が極端に少ないという積み重ねが、試合の動きの中で意図せずラインを踏んでしまうということに繋がっているのではないかと思いました。これまで積み上げてきた習慣が選手の中に染み込んでいるものであるというバックグラウンドを感じました。

今まで培ってきた習慣や癖というものは選手だけではなく私たちや若いコーチたちにもあります。そのため問題が起きた時になにが原因なのか、なぜその問題が起きるのかというのを今までのバックグランドまで振り返り、理解し、解決に導いていくことが良いのではないのかと考えます。

日本のバスケットボールのより良くしていくために必要なこと

私自身がレバンガ北海道でヘッドコーチとしての経験したり、またジュニアの選手を観ていて感じたことですが、これから日本のバスケットボールをより良くしていくために必要になってくるのは、バスケットボールに対するメンタリティを変えていくことです。
そのメンタリティについて説明をしたいと思います。具体的には、日本の良い文化として、「年上に敬意を表す事や他人にも敬意を表すこと」というものがあります。これは、日本の文化の良い側面でもありますが、ことスポーツという環境の中では、選手の成長を阻害する要因にもなっているような気もします。「先輩に遠慮して、思い切り激しいDFでプレッシャーをかけられない」といったようなことです。そのため、ヨーロッパのクラブと比べて選手自身の成長が遅く、また周囲が成長を促すスピードも遅くなっていると思う。日本の文化とスポーツとの繋がりの考え方については変えていく必要があるだろうと思います。
日本には人間的に素晴らしい選手やコーチがたくさんいます。ただ、コーチとして日本が良くなっていくためにはメンタル的な改革をしていくことも考えて欲しい。

日本に対して想うこと

私は日本がとても大好きです。その中でも北海道や札幌は特に好きです。レバンガ北海道のヘッドコーチとして、たくさんの場所やたくさんの日本人と関わる事もできました。そして、特にブースターの方々にはたくさんお世話になりました。そこから日本人の雰囲気や気質を感じることができ、日本を大好きになりました。
また、機会があれば日本へ観光に行きたいですし、もしチャンスがあればまた日本で仕事がしたいと思っています。




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